第6週「お塩を作るんですか!?」 第32回 11月6日(火)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」32話。塩つくる萬平さんがエルメスの広告のように見えてしまった
イラストと文/木俣冬

32話のあらすじ


昭和21年6月。
泉大津の元・陸軍倉庫に住みはじめた萬平(長谷川博己)と福子(安藤サクラ)と鈴(松坂慶子)と神部(瀬戸康史)。
萬平は倉庫にあった鉄板を使って塩を作ることを思いつく。


萬平さん、塩を作る


「塩といえば赤穂」
やたら滑舌良いこの台詞を何度聞いても笑ってしまう。
あまりに台詞台詞しているので。それも説明台詞。それを真面目にハキハキ言うところが。

ハキハキと、神部とふたり赤穂に向かう萬平。
塩の作り方(熱々の鉄板に海水を蒸発させる)をだいたい予想する神部に「さすが大阪帝大生卒」と褒めるが・・・帝大生でなくとも想定の範囲内なのでは・・・(☆ひとり朝ドラ国防婦人会チェックポイント この説明は28話レビューで)

そして、赤穂。
塩の作り方を学ぶ。
知らない単語がいくつも出てきて、神部はいちいち「それはどういう漢字を」と聞く。
「漢字はこちらで調べます」と萬平。
ふたりとも頭がいいが、
《徹底的に合理的で現場主義の発明家・萬平さん》 
《勉強はできるが実践性に欠ける帝大生・神部くん》
という感じに、それぞれのキャラがくっきり。

「まんぷく」が多くの人に受け入れられやすい(視聴率は高い)理由のひとつは、キャラがものすごく記号化されていることにある。
人間の灰汁はいっさい取り除かれシンプルになったキャラクターたちが、予想どおりのことをやる。予想外のことが起こってもそれは予想の範囲内という親切設計。

だって「塩といえば赤穂」って何か言ってるようで何も言ってない。極めて無意味な台詞だ。
だからこそいやな感じもしないし、いろいろ考える必要がないので、「あさイチ」でも華丸大吉、近江アナはいつもニコニコ穏やかな顔で受けている。「受け」までシンプル化されるのだ。
今、私はまだ関西にいるのだが、「おはよう関西」でも「ハンコの次は塩!」とまたコメントしていた。こちらもじつにシンプル。

萬平さんは発明家 鈴は武士の娘


《夫を無条件に信じ応援するいつも明るい主人公・福子》
《昔の価値観に縛られ、何かと文句ばかり、でも憎めない鈴》
母子は挨拶も兼ねて、着物を食料と代えてもらいに歩き回る。
結局、ハナの夫・水島健作(松木賢三)が地主の息子だったため優遇してもらい、300円にもなる。
でもまだ足りない。鈴の大事な留め袖も手放さないとならない。
ぶつくさ言う鈴に、
「そやけど、萬平さん発明家ですよ」と言う福子。萬平には未来が見えていると信じている。
だが鈴には「行き当たりばったりとしか思えない」。


鈴の決め台詞「私は武士の娘です」は、11月3日(土)BKワンダーランドで行われた、缶詰の男・野呂幸吉役の藤山扇治郎のトークショー内の「まんぷくクイズ」で何回言ったか出題された。
5週までで15回。
数えた人がいたんですね。すばらしい。
つまり今回で16回。
今後もきちんとカウントしていこうかと思う。

塩、完成


5月なのに、真夏のような陽気。さっそく塩作りにとりかかる萬平と神部。
青い海、麦わら帽子に白いシャツに長靴。茶色い革のサスペンダー。
貧しい設定にもかかわらず、なぜか、エルメスの広告かなにかのように見えてしまう長谷川博己。
さすがモデルの仕事もしているだけはある。
シャツをきれいに着こなし過ぎている。
(ひとり朝ドラ国防婦人会チェックポイント)。
もっとも、このきちんと感が、朝には好感度高いのだろう。

そしてあっという間にできる塩(塩作りの工程をきれいに撮っているのはあり)。
できたできたと一同はしゃぐが、ひとり鈴だけは茶色い茶色いと気に入らない。

塩作りといえば「まれ」(16年)。
鉄板で「てっぱん」(10年)。
ちょっとずつ、朝ドラオマージュ、盛り込んでいるのかも。なんたって99作。平成最後の朝ドラだから。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ



「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。 
32話

「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送

3話
4話
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