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考察「なつぞら」感動の電話シーンはどこまで現実を再現していたのか。昭和電話事情を振り返ったら凄かった

『ルポルタージュ ああ電話』ダイヤル社)。彦根市でダイヤル自動化が実現したのは1966年だが、それよりも先に彦根と大阪のあいだは名神高速道路や東海道新幹線で往き来できるようになっていた。このほか、ダイヤル自動化以前には、電話がつながらないと通話の申し込みを途中で断って、代わりに電報を打つ人も多かったようだ(藤井信幸『テレコムの経済史 近代日本の電信・電話』勁草書房)。

こうした当時の事情からすると、東京と十勝のあいだでも、実際に電話をかけるとなると、かなりの時間待たされたに違いない。そうした状況は大都市から離れれば離れるほど著しかったというから、下手をすれば、東京から名古屋や大阪に電話するよりもかなり時間がかかったのではないか。ましてや、いったん電話を切って再度かけ直すとなると、当然ながら、あらためて通話を申し込まねばならなかった。実際に千遥がそうしたとすれば、電話がつながるのを待っているあいだに十数年ぶりに肉親の声を聞いた感慨も薄れて、その後の感動の場面もなかったかもしれない。

このあたりは、再現よりも物語の進行を優先せねばならず、悩ましいところではある。進行を妨げないよう、ある程度の簡略化はやはりやむをえないのだろう。江戸時代以前を舞台とする時代劇や大河ドラマなどでは、その手の簡略化が少なくない。たとえば、江戸時代には、庶民や下級武士が、たとえ藩主と面会が許されても、直接口を聞くことはできず、家臣を介して話をせねばならなかった。実験的な試みも多かった1970年代の時代劇「天下御免」では、若き日の平賀源内が高松藩主と面会した際、両者が言葉を交わすたびに、あいだに入った何人もの家臣がリレーしながら伝える様子が戯画的に描かれていた。もちろん、普通の時代劇でこれをやると物語が成立しないので、こうしたシチュエーションでは簡略化して、直接会話させてしまうか、せいぜい家臣を一人置いて話を取り持ったりする。

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「考察「なつぞら」感動の電話シーンはどこまで現実を再現していたのか。昭和電話事情を振り返ったら凄かった」の みんなの反応 2
  • 匿名さん 通報

    確か「ひよっこ」では電話を繋いでもらうのに数十分も待たされるという描写がありましたね。お父さんの元気そうな声を聞いてみね子が安堵の涙を流す気持ちにすんなりと寄り添うことができました。

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  • 続き 通報

    「まんぷく」のあれは、放送当時もあれはおかしいと批判する人がたくさんいました。先日の「なつぞら」でのシーンは、いちいち待たされる描写をすると間延びする展開だったからあれでよかったかなと思います。

    1
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