1月23日(木)深夜から放送のドラマ特区『ホームルーム』(MBS・毎日放送)第1話。高校教師・愛田凛太郎(通称・ラブリン)(山田裕貴)は、いじめられている生徒・桜井幸子(秋田汐梨)をいつも助けて信頼されていた。愛田は、こう続ける。
愛田「そしてそのために、お前は不幸である必要があるんだ。わかるな?」

生徒をいじめ、自分で助けるマッチポンプ教師
登場人物が変態的すぎるあまり、原作漫画のファンですら「本当に実写化して大丈夫なのだろうか……」と心配していたドラマ『ホームルーム』の放送が、ついにスタートした。いま出演作の絶えない人気俳優・山田裕貴がラブリンを演じ、2019年にドラマ『スカム』でギャラクシー賞を受賞した監督・小林勇貴が撮る。
主人公は、「ラブリン」という愛称で高校生たちに親しまれているイケメン美術教師・愛田凛太郎。愛田が担任を務める3年2組では、メガネをかけた地味な生徒・桜井幸子へのいじめが頻繁に起こっていた。
正義感の強い愛田は、幸子に何かあるとすぐに駆けつけ優しく助ける。幸子は、そんな愛田を“ヒーロー”のように思い信頼している。家庭の事情で一人暮らしをしている幸子。夜になかなか寝付けない幸子に、愛田は定期的によく眠れるカモミールティーを差し入れていた。
ある日、幸子の椅子に接着剤が塗られるいじめが起こった。愛田は「どうせバカなら、せめて正直者であれ」と前置きした上で、クラスの生徒全員を机に伏せさせて言う。
愛田「桜井の椅子に接着剤を塗ったやつ。挙手!」
「挙手!」と言いながら手を挙げてみせた愛田以外、生徒たちは誰も手を挙げない。不良たちは「こんなの小坊でもやんねえよ」と呆れている。でも、正直者はちゃんとここにいた。幸子の椅子に接着剤を塗ったのは、手を挙げている愛田だったのだ。
山田裕貴、つるりとした裸体の気持ち悪さ
学校で幸子をいじめるだけでは済まない。愛田は一人暮らしの幸子の家に入ってベッドの下に潜み、幸子がカモミールティー(おそらく睡眠薬などが入っている)を飲んで眠りについた頃に這い出てくる。しかも全裸で。
幸子が帰宅する前に幸子のベッドにダイブして、うつぶせで枕の匂いを嗅ぎながら服を脱いでいく愛田。匂いを嗅ぐか服を脱ぐかどっちかを選べないほど、欲望に忠実に行動している。その間、愛田の顔がアップで映り続ける。
熟睡している幸子の体のラインに沿って擦り寄る滑らかな動きがアニメ的。人間ってこういう風に曲線に沿ってうねうねっと動けるんだ……と感心してしまった。変態的気持ち悪さも極まると感心になる。
幸子の家にいるときの間は全裸。全裸で添い寝し、全裸で幸子の髪の毛をとかしてあげる。その体の肌の質感は、濡れているわけではないのに変に滑らかだ。
2017年発売の山田裕貴写真集『 歩 』(ワニブックス)での山田自身の体と比べると、愛田は肋骨辺りや肩周りの骨や筋肉の凹凸がなくなってつるりとしている。山田裕貴がそう体作りをしたのか、そう見える撮り方をしたのか。裸体、撮り方、不気味で厳かな音楽と、とにかく裸の気持ち悪さへのこだわりがビリビリと伝わってくる。

放送地域外でも配信で見てほしい「Wゆうき」の本気
幸子「あの日、家庭訪問に来た先生は、私の話を聞いて泣いてくれました。帰り道、ボロボロの自転車に乗って手を振る姿は、まるで救世主・ナポレオンのようでした」
愛田に何をされているのか知らない幸子は、ただただ愛田を信頼している。
『ホームルーム』は、ただ愛田が変態行為の限りを尽くすドラマではない。
1話の終盤、幸子は再び椅子に接着剤を塗られてしまう。しかしその日、愛田は幸子にまだ何も仕掛けてはいなかった。枕に顔をうずめて白目になりかけていた愛田。自分以外の何者かが幸子をいじめている事実に、白目をむいてしまっていた。
愛田「桜井を不幸にして良いのは、俺だけだあー!」
幸子は誰から何のためにいじめられているのか。愛田の行為は幸子や生徒たち、教師たちにバレないのか。エンディングに意味ありげに映った警察。愛田は逮捕されてしまうのか。
映画『全員死刑』やドラマ『スカム』で鮮烈に「巻き込まれ、堕ちていく男」を描いた小林勇貴監督。マッチポンプで幸子のヒーローになり変態的万能感を持っていた愛田に、「巻き込まれ、堕ちていく男」としてどんな結末を用意しているのか楽しみだ。
小林監督のTwitterには、主演俳優・山田裕貴への愛が日々つづられている。「名前が同じ」「家のテーブルがおそろい」と喜び、LINEのやり取りまで公開している。小林監督の主演俳優と映像制作への変態的な情熱を見ていると、原作の解釈と本作の完成度にも期待が持てる。
放送地域が限られていて、配信でしか見られない地域も多いのが残念だ。でも、その渇望感がまたドラマをより面白く見られるスパイスになっている気がしなくもない。山田と小林、「Wゆうき」の本気を、一度は見てほしい。
(むらたえりか)
【配信情報】
・MBS動画イズム:https://dizm.mbs.jp/title/?program=homeroom
・TVer:https://tver.jp/episode/67513317
・GYAO!:https://gyao.yahoo.co.jp/title/5e26831c-7f33-42df-9cc6-06e8fc239b4b
・ビデオパス:https://www.videopass.jp/videos/160777
【作品情報】
ドラマ特区『ホームルーム』(MBS・毎日放送)
出演:山田裕貴、秋田汐梨、富田望生、横田真悠、大幡しえり、若林拓也、綱啓永、ウメモトジンギ、前野朋哉、山下リオ、ほか
原作:千代 『ホームルーム』(講談社「コミックDAYS」連載中)
監督:小林勇貴(映画『全員死刑』、ドラマ『すじぼり』『スカム』など)
脚本:継田淳(映画『HiGH&LOW THE MOVIE』※脚本協力、『全員死刑』、ドラマ『スカム』など)
オープニング主題歌:SHE'S「Unforgive」(Virgin Records)
エンディング主題歌:パスピエ「まだら」(UNIVERSAL MUSIC ARTISTS)
制作:ロボット
製作:「ホームルーム」製作委員会、毎日放送
MBS:毎週木曜夜0:59-1:29 ※2020年1月23日(木)スタート
tvk:毎週木曜夜11:00-11:30 ※2020年1月23日(木)スタート
チバテレ:毎週金曜夜0:00-0:30 ※2020年1月24日(金)スタート
テレ玉:毎週水曜夜11:30-0:00 ※2020年1月29日(水)スタート
※放送日時変更の場合あり
番組公式サイト:https://www.mbs.jp/homeroom_drama/
公式Twitter:https://twitter.com/homeroom_drama
公式Instagram:https://www.instagram.com/homeroom_drama/