『ロキ』第4話 死んだはずがドラマシリーズの主役まで。ロキは「負けるが死なない」
(C)2021 Marvel

とうとう第4話にたどり着いた『ロキ』。滅びゆく星で明かされたのはシルヴィの真実、そしてヴィランを主役にした『ロキ』ならではのグッとくるセリフの応酬だった。


【『ロキ』前話レビュー】謎の女ロキとたどり着いたのは滅びゆく星! 破滅大盤振る舞いの展開に震える

「TVAは嘘をついている」 生まれる疑念、ロキとメビウスの運命やいかに

紆余曲折あったものの、ラメンティスから脱出するシャトルまでなんとかたどり着いたロキとシルヴィ。しかし乗り込めると思ったところでシャトルに隕石が激突し、唖然呆然……となったところまでが前回。今回は、崩壊寸前のラメンティスでシルヴィが自分の過去を回想するところからスタートする。

まだ「ロキ」だった子供の頃、いきなり変異体としてまだ一介のTVA隊員だったラヴォーナに捕縛されたシルヴィ。しかしシルヴィは激しく抵抗し、ラヴォーナのタイムパッドを奪って逃走する。以降、何度もTVAの追手から逃れつつ、シルヴィはカタストロフィの影に隠れて生きてきたのだった。

終わりの時が近くラメンティスで、初めて自分以外のロキであるシルヴィの身の上話を聞いたロキ。シルヴィに「ロキは負ける運命なのか」と問われたロキは、「負ける時もあるが決して死なない」と話す。

『ロキ』第4話 死んだはずがドラマシリーズの主役まで。ロキは「負けるが死なない」
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と、その時、逃走したロキとシルヴィを追っていたTVAのモニターに巨大な分岐イベントの反応が現れ、TVAは2人の居場所を検出する。ロキとシルヴィはTVAに再び捉えられるが、そのおかげで辛くもラメンティスの終末から逃げることができたのだった。

捕らえられたロキは、メビウスによってシルヴィとは別の監獄に放り込まれる。監獄の中は過去のアスガルド。そこに現れたのは、『マイティ・ソー』シリーズに登場した女戦士レディ・シフである。
遠い昔にロキがシフの髪を切るいたずらをした時にコテンパンに復讐された瞬間を、この監獄では無限ループされるのである。というわけで、ロキはループするたびに毎回ボコボコにされることに……。

監獄で自分がナルシストであり、一人になることを恐れていることを認めさせられたロキ。そこでメビウスは、ロキを監獄の外のシアタールームに連れ出し、自分の元から逃げたロキを改めて尋問する。嘘ばかりつくロキに辟易したメビウスはまたもロキを監獄に戻そうとするが、そこでロキは「TVAは嘘をついている」「TVAの全員が変異体だ」と自分がシルヴィから聞いた内容をメビウスに話す。自分の感じていた違和感とこのロキの言葉によって、メビウスはある行動に出ることを決意する。

前回シルヴィによって明らかになった、「TVAの職員はタイムキーパーが作り出したわけではなく、よそで別の人生を生きていた変異体」「このことをTVAは黙っている」という衝撃の事実。今回はこれに加えて、シルヴィがなぜTVAを目の敵にし、タイムキーパーを倒そうとしているのかがついに明らかになった。

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この事実をロキも知ったことで、TVAの内部でも次々に疑念が。メビウスはラヴォーナとの会話で疑いを持ち、そして2話でシルヴィ捕獲に同行したTVAのハンターB-15は、シルヴィの手によって過去の記憶を呼び起こされる。

そしてついにその姿を現したタイムキーパー。『ロキ』は全6話の予定なので物語は後半戦に入ったことになるが、折り返し地点なのにもうクライマックスのような盛り上がりである。


Disney+(ディズニープラス)
▲『ロキ』Disney+(ディズニープラス)にて配信中


『ロキ』第4話 死んだはずがドラマシリーズの主役まで。ロキは「負けるが死なない」
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ロキというキャラクターを的確に捉えたセリフに注目!

今回は中盤以降の展開にも驚かされたが、特にグッときたのは冒頭、ロキとシルヴィが会話するシーンだろう。自分の半生をかけてTVAへの復讐を計画してきたのに、あと一歩のところで自分と同じ「ロキ」によって妨害され、ついにラメンティスごと死ぬことに……。そんな状況で発された質問が「ロキって負ける運命なの?」だったのは、なかなか重い。

この質問は「他にもロキは平行した時間軸にたくさんおり、彼らも常に負け続けるのか?」という点も前提に含んでいるのだが、それと同時に「スーパーヒーローものの悪役は、常に負けなくてはならないのか?」というニュアンスも盛り込んでいるように思える。

それに対し、悪役としては変則的なキャラクターであるロキは「負けることもあるが死なない」と答える。この「負けるが死なない」という点は、マーベルの映画シリーズでのロキというキャラクターを端的に捕らえたセリフだと思う。

『ロキ』第4話 死んだはずがドラマシリーズの主役まで。ロキは「負けるが死なない」
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思えば、たしかにロキは今までロクな目にあってこなかった。自業自得ではあるのだが、しかしそのひねくれ方の源流には、オーディンの息子ではないという出自も関係している。陽気な兄に対抗するも負け、故郷が壊滅した挙句に最後にはサノスに殺されるという、不遇といえば不遇なキャラクターである。

しかしロキは逆境にあたっても常に減らず口を叩き続け、一度は死んだはずなのにとうとう自分が主役のドラマシリーズまで制作されてしまった。負けたけど死なず(というか「一回死んだけど時間軸を操作して生き延びた」が正解か)、元気に裏切りの機会を探しているわけである。おそらく全てのロキの中でも相当しぶとい方であろうこのロキの言葉には、なんとも言えない説得力があった。

『ロキ』第4話 死んだはずがドラマシリーズの主役まで。ロキは「負けるが死なない」
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しかも、今回の第4話ではポストクレジットシーンが挟まっていた。
これはできれば実際に観てほしいのだが、「負けるが死なない」を地でいくシーンとなっている。口数の多い嫌味なナルシストだが、どこか憎めず諦めが悪い……。そんなロキとロキたちの物語がどういう結末を迎えるのか、ラスト2話を早く見たいところである。「ヴィランを主役にしたドラマ」として、納得のいく結末を見せてくれそうな気がしている。
(しげる)

Disney+(ディズニープラス)
▲『ロキ』Disney+(ディズニープラス)にて配信中

作品情報

『ロキ』
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◆配信スケジュール(全6話)
※毎週水曜日 16:00配信開始
第1話:6月9日(水)
第2話:6月16日(水)
第3話:6月23日(水)
第4話:6月30日(水)
第5話:7月7日(水)
第6話:7月14日(水)


Writer

しげる


ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

関連サイト
@gerusea
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