今回のニュースのポイント
2026年4月28日、デンソーはロームに対する株式取得提案の取り下げを本日開催の取締役会で決議しました。2026年3月以降、書面回答や複数回の協議を重ねてきましたが、ローム側の賛同を得るに至らなかったためです。
本文
デンソーは28日、ロームに対して行っていた株式取得提案を取り下げることを発表しました。2026年3月以降、デンソーはロームの取締役会や特別委員会と株式取得に向けた協議を継続。質問への書面回答や実施後の事業構想についても議論を尽くしてきましたが、最終的にローム側の賛同を得ることはできませんでした。デンソーは「本提案を継続することは必ずしも企業価値向上に資するものではない」と判断し、撤回を決めました。
今回の不成立の背景には、半導体産業特有の再編の難しさがあります。パワー半導体やアナログICなど、半導体の技術領域は多岐にわたり、単純に規模を統合すれば強くなるという構造ではありません。また、産業・民生機器に強みを持つロームと、自動車システムに特化したデンソーでは、ターゲット市場や経営の独立性をどう位置付けるかを巡って、戦略的な折り合いに難しさがあった可能性も指摘されています。
しかし、今回の決定はパートナーシップの解消を意味するものではありません。両社はむしろ「協業を一段と進める」方向に舵を切りました。具体的には、2025年5月に合意した戦略的パートナーシップに基づき、アナログICを中心としたデバイスのラインナップ補完や開発連携を深めます。
この戦略転換は、デンソーが「買収による垂直統合」のリスクを避け、柔軟性とスピードを確保できる「協業モデル」を選択した狙いがあるとみられます。巨額投資と高いコントロール権を伴う統合コストを負うより、技術と製造の得意分野を持ち寄ることで効率的に車載半導体の競争力を高める狙いです。車載半導体の供給体制は、自動車価格や供給安定性にも影響するため、今回の判断は産業全体の構造にも波及する可能性があります。
今後は、アナログICを核とした具体的な製品供給の枠組みや、他企業との再編動向が焦点となります。自動車の電動化・知能化が加速するなか、日本勢は「資本統合」だけに頼らず、機能や領域ごとの「分業型連携」を織り交ぜながら国際競争力を維持できるのか、新たな試練の場に立たされています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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