小泉今日子の年内休養入りが、注目を集めている。自身の公式サイトで、還暦記念の全国ツアー『KK60~コイズミ記念館~KYOKO KOIZUMI TOUR 2026』終了後、2026年内は休養期間とし、「年内のお仕事は全てお断りさせていただきます」と告知。
2027年以降の問い合わせについても、返答が休養明けになる場合があると説明している。

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小泉は1月24日の神奈川公演を皮切りに同ツアーを開催し、5月10日の沖縄公演でファイナルを迎え、年内休養に入った。その直前、5月2日、3日に行われた東京・日本武道館公演での演出が賛否を呼んでいたこともあり、驚きの声が広がっている。

波紋を呼んだのは、開演前のDJタイムでの演出だった。ミュージシャンで音楽プロデューサーの高木完がDJを務める中、俳優の故・佐藤慶さんによる日本国憲法第9条の朗読音源が流れたという。さらに、会場で放たれた銀色のテープには「戦争反対!!」「平和な世界希望!!」といったメッセージが刻印されていたとの報告もSNS上で散見された。

小泉は以前から政治的な発言でも注目されてきたが、今回はより直接的なメッセージ性を帯びた演出だったことで、評価が大きく分かれた。表現の自由と見るのか、ライブ空間への政治的メッセージの持ち込みに違和感を覚えるのか。今回の騒動は、芸能人の社会的な発信をどう受け止めるのかという問いも投げかけている。

ただ、小泉が賛否を呼ぶのは、今に始まったことではない。80年代アイドルの代表格でありながら、彼女は早くから「与えられたアイドル像」を超えていく存在だった。

デビュー当初は「聖子ちゃんカット」の正統派アイドルというイメージだったが、1983年発売の5枚目のシングル『まっ赤な女の子』の時期には、髪を自らの意思でベリーショートにし、アイドル界に強いインパクトを与えた。
当時は「アイドルは髪型ひとつ自分の意思では決められない」という風潮があったというが、その慣習を打ち壊したと言える。それを機に、当時の主流だった松田聖子のぶりっ子路線、中森明菜の不良少女路線のどちらとも異なる、自分の意思で変化するセルフプロデュースアイドルへと進化していった。

さらに、1986年に刊行された写真集『小泉記念鑑』では、裸にボディペイントを施して紙に転写する「人拓」やレントゲン写真を披露。HIV感染のうわさが流れた際には、陰性の検査報告書をプリントしたTシャツを身につけて登場したこともあった。世間が求める“かわいいキョンキョン”に収まらない姿勢は、たびたび物議を醸してきた。

2024年5月にゲスト出演したラジオ番組『編集長 稲垣吾郎』(文化放送)では、その原点を語っている。セルフプロデュースを始めたころ、見たことのない「女の子像」を作りたいと思ったと回想。そのときヒントになった存在としてシンディ・ローパーを挙げ、「男の子でも女の子でもなく、シンディ・ローパーとして立っている」とし、そこから発想を得たと明かしている。

小泉が見せてきた「型破りなアイドル像」は、単に奇抜なだけではない。誰かに作られたイメージを演じ続けるのではなく、自分の意思で物事を決め、一人の人間としてステージに立つこと。その姿勢が突然のベリーショート、衝撃的な写真集、波紋を呼ぶ言動、そして近年の政治的発信にもつながっているといえる。

だからこそ、彼女の言動は今も賛否が起きやすい。
熱烈な支持者は、小泉が年齢を重ねても自分の言葉を手放さないことに魅力を感じる。一方で、アイドルや女優としての彼女を求める人にとっては、政治的発言や奔放な振る舞いが受け入れづらく映ることもある。永遠に"かわいいキョンキョン"でいてほしいファンと、自由に変化し続ける彼女を支持するファン。そのズレが、今回の「9条演出」をめぐる議論にも表れている。

年内休養については、5月9日付の自身のSNSで「ツアーが終わったら長期休暇をいただくことは何年も前からファンのみなさんにお伝えしていますよね。明日のLive後、年内は旅人のように自由に漂います。が、しかし2027年のお仕事はすでに何件か決まっていたりします。45周年ですからね。楽しみに待っていてください」ともつづっている。節目ごとに自分で大きな選択をしてきた小泉の歩みを考えれば、今回の休養もまた、彼女らしい決断に見える。

60歳になっても、小泉は枠の中におとなしく収まろうとはしない。だからこそ支持され、反発も招く。
それは彼女が今もなお、「懐かしまれる元アイドル」ではなく、時代と摩擦を起こしながら自分の表現を続ける現役のスターであることを示している。

小泉今日子が長く注目されてきたのは、誰かの理想のアイドル像に収まらず、自分自身の選択で前に進んできたからではないだろうか。その姿を「自由」と見るのか、「奔放」と受け止めるのか。今回の賛否もまた、小泉今日子という存在の異質さを物語っている。

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