通常、プロレス団体の旗揚げには10人近い陣容が必要となってくる。少なくとも2人はいないと試合すら組めないのだが、4月に旗揚げした新しい女子プロレス団体『Rose』はさまざまな要因が重なって、たったひとりでの旗揚げ戦を余儀なくされた。
さらにエースの真白優希が首の負傷で無期限欠場を発表、ルーキーと練習生しか残っていない中、今後も興行を打っていくことを宣言した。いったい、どうやっていくというのか? GMを務める元・女子プロレスラーの工藤めぐみを独占直撃した。

【写真】2026年4月に旗揚げした女子プロ団体『Rose』【2点】

前代未聞のことが、今、プロレス界で起きている。4月に旗揚げしたばかりの女子プロレス団体、ガールズプロレスリングRose(以下、Rose)。男子団体のZERO1の女子部から派生した団体で、ZERO1のGMを務める元女子プロレスラーの工藤めぐみがGMに就任し、道場では若手選手の育成も担当している。

フリーとして活動してきた真白優希をエースに据え、若手選手を率いての旗揚げ……となる予定が、練習生が怪我のため、旗揚げ戦に間に合わず。さらに先日、デビューしたばかりの堀このみも試合で脳震盪を起こしてしまったため、大事をとって旗揚げ戦を欠場。結果として旗揚げ戦は真白優希がたったひとりで闘うという、ちょっとありえない状況となってしまった。 

もちろん、ひとりでは試合ができないので、他団体の選手やフリーの選手に出場してもらって興行を成立させたが、セミファイナルまで団体所属選手がひとりも登場しない、という不思議な空気感は前田日明のリングス旗揚げ戦を彷彿とさせるもの。しかも、肝心のメインイベントでエースの真白優希が敗退してしまうという衝撃の旗揚げ戦となった。

5月に開催された旗揚げ第2戦では堀このみが復帰。ようやく2人体制で再スタートとなったのだが、試合後、真白優希が首の怪我のため、無期限での欠場を発表。
常識で考えたら、デビューから数カ月のルーキーひとりだけでは団体運営は不可能なのだが、なんとRoseは6月27日に板橋で旗揚げ第3戦を開催することを発表。いやホント、これってどうなっちゃうのか? 工藤めぐみGMに今後のビジョンを聞いてみた。

「真白選手の首の調子がよくないことは旗揚げ前からなんとなくわかっていました。ただ、それがすぐに欠場しなくてはいけないほど悪化しているのか、まだまだ治療をしながら闘えるのか、そのあたりのことは外から見ているだけではわからないし、真白選手も旗揚げ前の大事な時期になかなか言い出せなかったと思います。そうやって、頑張ってきた真白選手に私たちも甘えてしまった部分はあります。

まさか、こんなに早く欠場することになるとは、私にとっても想定外だったんですけど、いま私にできることは、ここまで団体のために頑張ってきてくれて、あくまでも復帰に向けて休養に入る真白選手が帰ってくる場をしっかりと守ること。だから6月に板橋大会を開催することを決めました」

現状、ルーキーの堀このみしか所属選手がいない状況。となると、これからは彼女がエースとして活動していくことになるのか?

「いや、さすがに堀にはそこまで背負わすことはできません。今も週5で道場での練習に通っていて、それ以外にもトレーニングをして、毎日、Xで練習動画をあげているんですけど、プロレスラーとしてはまだまだだし、彼女自身も自分のことでいっぱいいっぱいで団体のことまでは考えられないと思うんですよ。今後の成長次第では立ち位置は変わってくるかもしれないですけど、今はじっくり育てる時期だと思いますし、エースとして立てるつもりはありません」 

となると、今後の興行はどうなっていくのか? 堀このみが他団体の大物選手と闘うチャレンジマッチはひとつの軸となるかもしれないが、けっしてメインイベントにはならない。5月の新木場大会では新設されたROSE WORLD CHANPIONSHIPの王座決定戦が行なわれたが、真白優希が敗れ、マーベラスのRIKOが初代王座に輝いた。いきなりの王座流出という大ピンチ。
しかも団体内に次期チャレンジャー候補がいない、という絶望的な状況に陥っている。

「ベルトが外に出てしまったことは逆にチャンスかな、と。これは私の考えですけど、どんどん外で防衛戦をやっていただいても構いませんし、その結果、ほかの選手にベルトが移ってしまっても構わない。これまでRoseと縁がなかった選手がベルトを巻いて、防衛戦のためにRoseのリングに上がってくれる、みたいな展開になっても、こちらとしては問題ないというか、むしろ面白いかなって。

そうやって、どんどんベルトの価値をあげていっていただければと。最終的に価値が上がったところでRoseの選手が奪えれば、それでいいじゃないですか。RoseのベルトにはWORLDの文字が入っているので、日本に限らず、海外にも広がっていってほしいし、真っ白なベルトにどんどん他団体の選手のみなさんに色を付けていってほしいんです。まだRoseのカラーは定まっていないので」

前代未聞の大ピンチをRoseは逆にチャンスと捉え運営してく方向に振り切ったようだ。前例がないので、どうなっていくかは誰にもわからない。つまり、これからは毎興行「どうなってしまうのか?」をリアルタイムで目撃できる、というのがRoseのウリになっていきそうだ。

とはいえ、いつまでも他団体の選手に頼っているわけにもいかない。現在、道場ではデビューを目指す練習生が数名、汗を流している。
さらにチバテレビの番組と連動して、元アイドルからプロレスラーに“転生”するためのオーディションも開催中。オーディションの結果次第では練習生がさらに増えることになり、次世代スター候補生は揃ってくる。そこにエースの真白優希が復帰すれば、団体としての体裁は一気に整う。本当の勝負はそこから。とにもかくにも、そこまでいかにして生き残っていくかが当面の課題となる。

「他団体の選手で、なかなか自分の魅力を発揮できないでいる選手も、ぜひRoseのリングに上がっていただきたいですね。団体が変われば、お客さまも変わりますし、会場の雰囲気も違う。そんな環境で自分の新しい魅力を発揮して、自分の団体に戻ったときに、それを発揮していただきたい。いまのRoseはそういう”場“でありたいと思っています」

【あわせて読む】アジャコング、デビュー40周年興行「地方のプロレス熱を全国に広げていきたい」沖縄開催のこだわり
編集部おすすめ