週刊文春の報道で、高市首相の陣営が2月の衆院選の期間中に野党候補の中傷動画を作成、配信していた問題が炎上する中、日刊ゲンダイの調べで新たな疑惑が発覚だ。公職選挙法は、選挙期間中に候補者本人による有料広告のネット配信を禁止しているが、複数の自民候補が有料のYouTube広告に出演していたことが分かった。
■“辻立ちクイーン”こと森下千里も動画出演
日刊ゲンダイはこれまで、鷲尾英一郎(新潟4区)、宮崎政久(沖縄2区)両衆院議員の陣営による違法広告疑惑を報じた。今回は、宮城県の全5選挙区から出馬し当選した土井亨(1区)、渡辺勝幸(2区)、西村明宏(3区)、森下千里(4区)、小野寺五典(5区)の5氏が出演する有料広告動画が配信されていたことが分かった。
例えば、“辻立ちクイーン”と呼ばれる森下氏が出演する動画では、ピンクのダウンコートを羽織った本人が「宮城4区の森下千里です」と挨拶。すると、すぐさま「挑戦しない国に未来はありません」と語る高市首相の政党動画に切り替わる。オリジナルの政党動画に収録された「逃げません」といった高市首相の一部発言がカットされ、30秒程度の動画に再編集されている。
他4人の広告動画も構成は全く同じ。カットされた高市首相の発言までピタリと一致しており、個別の陣営ではなく、組織ぐるみで動画を作成、配信したことがうかがえる。広告の出稿者は自民宮城県連で、スポンサーは県内の広告企業A社だ。
見過ごせないのは、動画配信を打ち切った時期にバラツキがあること。小野寺陣営は公示日から3日後の1月30日、西村氏と森下氏は2月5日、土井氏と渡辺氏は投開票前日の7日に配信を停止している。
「広告動画は宮城県連が主導したこと」
いずれにせよ、選挙期間中の有料広告は公選法違反の可能性大。特に、公選法を所管する総務省のガイドラインによると、選挙期間中に許容されるネット広告は、有権者が自らクリックして初めて内容にたどり着く小さなバナー形式だけ。クリックを経ることなく候補者の顔と名前が大写しされた動画を一方的に流す広告は、ガイドラインから逸脱している。
日刊ゲンダイは、県連と5議員の事務所、A社に質問状を送付。広告動画の作成者や目的、金額、違法性の認識などを聞くと、5議員の事務所の見解をまとめた県連が、「選挙期間中は政党等のサイトにリンクを張った政治活動用有料ネット広告が認められている。(今回の動画も)公選法に従った適正なもの」と回答した。総務省ガイドラインについては「ガイドラインの解説は、バナー広告以外は許容しないとする解釈ではない。(日刊ゲンダイ指摘の)バナー広告以外は許されないという理解は違います」と違法性を否定したが、動画作成の経緯など詳細の説明は避けた。一方、県連による動画広告の出稿は認めた。
ある議員の事務所担当者は電話で「広告動画は県連が主導したこと。
公選法に詳しい元東京地検特捜検事の郷原信郎弁護士はこう言う。
「県連の言い分が通用するなら、選挙期間中にどのような広告動画を流してもおとがめなしとなりかねない。結果的に、資金力のある候補ばかりが有利になり、選挙の公平性を阻害している。公選法違反の疑いは拭いきれない」
組織ぐるみで違法な広告動画配信に手を染めていたとは驚きだ。この調子だと、疑惑はまだまだ拡大する可能性がある。
(取材協力=桜井杏里/ジャーナリスト)
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高市陣営の選挙をめぐる疑惑については、関連記事【スクープ!】【スクープ第2弾!】などでも詳しく報じている。





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