読者の皆様、すっかり秋も深まってきましたね。秋といえば食欲に芸術、そして読書です。
そこで今回は『The Elder Scrolls V: Skyrim』が「Special Edition」としてリマスターされた記念に、ゲーム内で読める四百ほどの書物から名著10冊をピックアップ、そしてそこから見えてくる本作の世界「タムリエル」の歴史的背景や世界観を皆様にご紹介致します!

イン・サイ・ドー!(読者の皆様を惹き付けるシャウト)

◆『オブリビオンの動乱』
著者:プラキス・サーコルム インペリアルの歴史家

――前作のおさらい
タムリエルが第四紀に移り変わろうとしていた第三紀433年、皇帝ユリエル・セプティム7世が暗殺されたことを発端とする、前作『The Elder Scrolls IV: Oblivion』で起こったオブリビオンの動乱をまとめた歴史書です。前作の主人公が如何に活躍したか、何が起こったのかが窺い知れる、前作を知らない人にとっては有益な、知っている人には懐かしさを覚える一冊と言えるでしょう。また本作は第四紀201年が舞台となっております。

◆『子供向けのアヌの伝記』
著者:不明
――TES創世記
タムリエルを擁する本作の世界はニルンと呼ばれていますが、そのニルンの神話の時代を平易な表現で描いた伝記です。世界の創世記でありそれぞれの種族のルーツも記載されています。またエドラとデイドラという本作における神々の創世にも関わる内容となっております。


◆『竜戦争』
著者:トルハル・ビョリック
――かつての時代の戦争
この本ではかつて人とドラゴンとの間で起こった戦争が描かれ、どういった関係にあったかが描写されています。本作で登場する「ドラゴンプリースト」とはどういう存在なのか、またドラゴンの古墳は何なのかが窺い知れる本となっております。

次のページ:同胞団のルーツ、吸血鬼に古き神々

◆『帰還の歌シリーズ』
著者:不明
――同胞団の物語
本作で登場した同胞団のルーツが描かれた書物。対応関係にある書籍は『ユンゴルと海の亡霊』(帰還の歌第二巻のエピソードが掘り下げられている)と『天空の子供たち』の二つで、後者は帰還の歌第二巻でユンゴルが死した際タムリエルでこの世を去った最初の天空の子供として埋葬されたと記述されています。ノルド族の者は自らを天空の子供と信じており、スカイリムの地は、天が大地に息を吹きかけて作った場所とされているとも書かれています。またこの書籍にはノルドの力は発声に込めることができて最も優れた戦士達が“舌”と称されるという記述があり“シャウト”との関連性も記されています。


◆『不死の血』
著者:不明
――吸血鬼にまつわる書
影は薄い存在でしたが本作で登場した「モヴァルス・ピクイン」という吸血鬼が何故吸血鬼になったのか、また本作のDLC「Dawnguard」で登場した上位の吸血鬼「ヴォルキハル」についても言及があります。前作の舞台となったシロディールでの吸血鬼に関する情報、生態などについて記述があり、更にはその他の地域にも吸血鬼が生息しているという事も書かれていて実に興味深い一冊となっております。

◆『シェザールと神々』
著者:帝国図書館 古代神学・古教神秘学芸員補フォースティラス・ジュニアス
――アカトシュ信仰を紐解く
第一紀242年に起こった動乱でアレッシアと呼ばれるドラゴンボーンが最初のシロディール女帝となった事が書かれており、アカトシュ信仰の女教皇となった事が記されています。また、そのアレッシアによって八大神が信仰の対象となった経緯が描かれています。八大神とはアカトシュ・アーケイ・ディベラ・ジュリアノス・キナレス・マーラ・ステンダール・ゼニタールのことを指し、後に帝国を築いた英雄タイバー・セプティムが神格化されタロスと呼ばれるようになり九大神となりました。彼らは「エドラ」と呼ばれる神々で後述する本に詳細が載っております。


◆『エドラとデイドラ』
著者:不明
――二種類の神について
本作において神々はエドラとデイドラに分けられ、エドラは死ぬことがあるがデイドラは異界に追放する事しか出来ないという概要が載っている短い書籍です。エドラとデイドラの系譜やその力についても多少の記述があります。

次のページ:アイレイドという種族、アルゴニアンの生態、そして…。

◆『アイレイド最後の王』
著者:ヘルミニア・シンナ
――謎多きアイレイド
本作のシリーズに共通して存在が示唆されているアイレイドという人種に関する書籍です。アイレイドとは神話時代にシロディールを支配していた存在であること、それは聖アレッシアによって第一紀243年に崩壊したことなどの記述がありアイレイドに関する考察がなされている書籍です。

◆『アルゴニアン報告シリーズ全4巻』
著者:ウォーヒン・ジャース
――通俗娯楽小説から窺えるアルゴニアン
帝都シロディール地方とアルゴニアンの住む地方ブラック・マーシュ地方との交易を通じてアルゴニアン達がどういった暮らしを送っているのかが窺える書物です。
著者のウォーヒン・ジャースは歴史小説家なのでお話自体はフィクションかも知れませんが、信憑性の高い描写や面白みに富む文章で実に読ませてくれる本となっております。

◆『アルゴニアンの侍女 フォリオ版』
著者:クラッシウス・キュリオ
――パンが炉に入らない
DLC「Dragonborn」にて追加された本書は「俺の槍を磨け」という強烈なワードが脳にこびりつく名著です。「好色アルゴニアンメイド」といえばピンと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。「愛しい子よ、時間はたっぷりとあるぞ。たっぷりとな」というパンチラインも堪らない本作ですが、フォリオとは“二つ折り”という製本方法の事を指していて本巻は一巻と二巻を合わせたものとなっております。フォリオ版でない別巻としての『アルゴニアンの侍女』はDLCがなくとも存在していますが、この書物からは異種族間の恋愛が本作のシリーズ世界において成り立つという示唆が読み取れるので非常に為になると言えます。


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いかがでしたか?『The Elder Scrolls V: Skyrim』には400ほどの書物があり、今回ご紹介したもの以外にも物語など名作書籍もたくさんあります。『タララ王女の謎シリーズ全4巻』などは実に読ませてくれるわくわくするような小説ですし『狼女王シリーズ全8冊』は重厚な歴史小説ですし『火中に舞うシリーズ全7巻』は今回取り上げた『アルゴニアン報告』の前編となっております。皆様も時にはプレイの箸休めとしてゲーム内で発見した書籍を読んでみるのも良いかも知れません。何しろ今回全冊読んだところ十時間以上も読みふける事が出来たのですから。それでは良いSkyrimライフ良い読書ライフを!