遺伝子組み換え蚊の放出 / Pixabay
人間にとって一番危険な生き物は何か?クマでもなくサメでもない。実は「蚊」なのである。
その対策として生み出されたのが遺伝子組み換え蚊だ。オスの蚊に組み込まれたキラースイッチがメスと交尾することで発動し、生まれてくる蚊は成虫になる前に皆死んでしまうのだ。
すでに世界各国で導入されており、一定の成果を果たした地域もあるが、野生種と交じり合いよからぬ適応をしてしまったケースも報告されている。
だが人類と蚊との戦いは待ったなしだ。アメリカ、フロリダ州の州当局が、遺伝子組み換え蚊、7億5000万匹の大群を放出する計画を承認したそうだ。
【キラー遺伝子を組み込んだオスの蚊を解き放つ】
イギリスのバイオテクノロジー企業「オキシテック(Oxitec)」は、アメリカ国内で特殊なネッタイシマカを使った屋外実験を行おうとしている。
同社が遺伝子が改変して作り出したネッタイシマカのオスは特別なタンパク質を持っている。交尾をして生まれた子供がメスであれば、その子は死んでしまうのだ。その狙いはデング熱やジカ熱などさまざまな疫病を媒介する蚊を駆除することだ。
先月、米環境保護庁が同計画を承認していたが、これに続き、フロリダ州当局もまたその蚊の大群を今夏フロリダ・キーズに放つ計画を承認したと発表があった。
なお環境保護庁は、来年テキサス州での実施をも承認しているとのことだ。
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【懸念される遺伝子改変蚊の環境への影響】
計画の支持者によれば、遺伝子改変蚊は人の血を吸うことのないオスなので、外に放出しても危険はないという(人の血を吸うのはメスだけだ)
しかしもちろん反対意見もあり、一部保全団体は同計画が環境に与える影響をきちんと確認していないとして、環境保護庁を訴える構えを見せている。また科学者からも、計画に対する懸念の声が聞こえてくる。
国際技術評価センター(International Center for Technology Assessment)のジェイディ・ハンソン氏は、「ジュラシックパークの実験」のようなものだと批判する。
「どのような事態になるのか分かりません。法の定めに反して、当局が環境リスクを真剣に評価することを拒んでいるからです。」
またフロリダ・キーズ環境連合(Florida Keys Environmental Coalition)のバリー・レイ氏は、「フロリダの住民は、遺伝子改変蚊による人体実験に同意していません」と話す。
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【フロリダと蚊の戦いの歴史】
もちろんフロリダ州側にも事情がある。同州は湿地が多く蚊が大量に発生しやすいため、昔から住人の悩みの種だった。
古くは先住民が煙を焚いたり、砂を体に擦り付けるといった虫除けを行ってきたし、白人の入植者もクマの脂肪や燃やした油布を体に塗るといった対策を講じてきた。
最近では、フロリダ州当局によって蚊を駆除するために大量の殺虫剤が撒かれてきたが、それではミツバチのような益虫まで殺してしまうというジレンマがあったという。
今回はフロリダ州当局の承認が得られたわけだが、今後、地元であるモンロー郡の承認が得られると、この計画は実施されることとなる。
References:theguardian/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:遺伝子組み換え蚊を7億5千万匹の放出する計画、フロリダ州当局が承認(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52292041.html











