安倍首相が読売テレビ・辛坊治郎の番組で野党を批判、参院選で自民党を選ぶようアピール! 明らかな事前運動、放送法違反だ

安倍首相が読売テレビ・辛坊治郎の番組で野党を批判、参院選で自民党を選ぶようアピール! 明らかな事前運動、放送法違反だ
『ウェークアップ!ぷらす』に出演した安倍首相

 金融庁報告書に端を発した年金問題の影響で内閣支持率を落としている安倍首相。NHKが21~22日に実施した世論調査の結果では、内閣支持率は42%で前回より6%も下落。政党支持率でも自民党は5.1%落とした。

 参院選を前に安倍首相も焦り気味らしく、先週末の22日は“お友だち”メディアに出演しまくった。

 まず、辛坊治郎が司会を務める読売テレビの『ウェークアップ!ぷらす』に日本テレビのスタジオから生出演し、その後は加計学園問題を「朝日新聞のフェイク」と断じたこともある夏野剛・ドワンゴ社長が聞き役を務めたニコニコ生放送の番組をハシゴ。夜には櫻井よしこが主宰する極右ネットテレビ「言論テレビ」への出演収録分が放送された。

 しかし、これがひどいシロモノだった。もともと安倍首相のPR媒体と化しているニコニコや「言論テレビ」はともかく、『ウェークアップ!ぷらす』では、参院選前にもかかわらず、事前運動丸出しで、一方的な主張を約45分にわたって繰り広げたのだ。

 たとえば、いま最大の関心事となっている年金問題。司会の辛坊が「公的年金の仕組み全体を見直す考えはあるんでしょうか」と質問すると、安倍首相は「その立論自体がちょっと間違っている」として、こんな話を延々とはじめた。

高齢者が増えていきますから、いまよりは代替率が減っていきますが、そこにはですね、そこのレベルにはしていく。そのかわり、マクロ経済スライドを入れてですね~」

 そう、あの党首討論で見せた「マクロ経済スライド」解説を繰り返し始めたのだ。しかも、そのマクロ経済スライドでどんどん給付が下がっていくことをネグって、マクロ経済スライドのおかげで「将来世代の所得代替率を確保」できるようなことを言いだす始末。こんな話を聞かされて国民に納得しろというほうがどうかしているが、もっと驚いた発言があった。

 安倍首相は「(党首討論で質疑した)4党の方々について若干反論させていただきますと」などと言い出して、党首討論における立憲民主党・枝野幸男代表が提案した総合合算制度と、高所得者優遇の保険料を見直し財源とすることを提案した志位和夫・共産党委員長への猛批判を突如としてはじめたのだ。

「枝野さんが言ってる意見はまったく意味のない意見だと思います」
「共産党が言っている『マクロ経済スライドを止めてしまえ』、これは乱暴な議論ですね」

 そんなに野党党首に言いたいことがあるなら、お友だちメディアに出る前に国会で集中審議を開催したらいいではないか。というか、それ以前に、参院選前のこのタイミングで、特定の政党の党首がテレビにひとりで出てきて、野党の主張を一方的に攻撃する。これって地上波で許されることなのか。

 この安倍首相の暴走には、さすがの辛坊も大慌て。「総理、申し訳ないです。やっぱりちょっと各党の方に来ていただいて論じないと不公平になりますので、ここで総理だけの反論を聞くわけにはなかなかいかないんですが」とフォローせざるを得ないほどだった。

●安倍「北方領土問題は前進する」の数時間後にプーチンが「引き渡しない」

 だが、安倍首相の暴走は年金問題だけではない。外交問題については、現実に起きていることを無視した“パラレルワールド”的主張を繰り広げた。

 何しろ、誰が見ても行き詰まっている北方領土問題について、安倍首相は「前進する可能性はある」とアピールしたのである。しかも、その根拠として述べたのは「2年前の長門合意において、プーチン大統領と平和条約を私たちの手で締結をするという真摯な決意を共有することができた」というもの。

 ところが、この安倍発言から数時間後、プーチン大統領がロシア国営放送に出演し、北方領土の日本への引き渡しについて「そんな計画はない」とはっきりと明言したことが報じられてしまったのだ。「決意を共有した」と思い出に浸っているのは安倍首相だけで、プーチン大統領は安倍首相と過ごした温泉旅館でのことなどすっかり忘れてしまっていたのである。

 これでは安倍首相に良いところなしでマズいと思ったのか、辛坊は北朝鮮問題に話題を振り、安倍首相が「前提条件なし」と方針転換したことについて「北朝鮮のトップは他の国とは何回も交渉を重ねてるのに日本だけは交渉ができていないことに焦りを総理は覚えたのではという報道がありますが、私はねえ、総理の性格からして多分それはないだろうと」とフォロー。「これ、無条件に会うと言いながら、常識的には、どこかで拉致が動くんじゃないかという感触を持ったからではないかと想像するんですが」と質問した。

 すると、安倍首相は、なんと、「それはもちろんそうですね」と返答したのだ。

 え、拉致問題が動く感触を政府は持てているのか──。そう驚いたのもつかの間。安倍首相はこう続けたのだった。

「私だけが会ってないから会おうと努力するって、そんな軽薄な考え方は持ってませんが、極めて、その見方はですね、薄いというか、一面でしか見てない見方なんだろうと思いますが」

 拉致問題が動く感触を持っているかどうかを訊かれているのに、「自分だけが会えていないから焦っているというのは間違いだ!」という主張を繰り出す……。これには辛坊も安倍首相の話に割って入るように「総理、どうでしょう。水面下で何か交渉が進んでいるということは?」と再度、尋ね返したのだが、その答えは、「私自身が向き合わなければならない」。それってほとんど「気合ダー」って言ってるのと同じでは……。

 もはやコントを見ているようだが、外交で成果をあげるどころか失敗ばかり重ねているのだから、こんな展開になるのは当然の話だ。むしろ、誇れるような成果も身のある反論もできないのに、よくもまあヌケヌケとテレビになど出演できたものだと、違う意味で感心するほどだった。

●憲法を議論する政党か審議すらしない政党か、参議院で選んでほしい、と事前運動

 しかし、この日の『ウェークアップ!ぷらす』で、もっとも「この人、何言っちゃってるの?」と強くツッコまざるを得なかったのは、このあとだ。

 辛坊が任期中に憲法改正する意思があるかを尋ねると、安倍首相は「残念ながらですね、憲法審査会において審議がなされていません」と述べ、なぜかイギリスやドイツ、カナダの首相と比較しても自分は長時間、国会に出席しているという主張をはじめ、再び憲法審査会が開かれていない現状を指摘。安倍応援団として改憲に向けてもっと強い言葉を期待していたであろう辛坊は、痺れを切らしたようにまったく同じ質問を畳みかけたのだが、すると、安倍首相はこんなことを言い出したのだ。

「当然、目指していますが、私ひとりでは目指してもですね、それは成し得ない。ですから、今度の参議院選挙においては、審議すらしない政党を選ぶのか、審議をする政党を選ぶのか、それを決めていただきたい。その上においてですね、選挙後にしっかりと議論を進めていきたいと思っています」

 審議する政党がいいか、審議すらしない政党がいいのか、参院選で選んでほしい……ってお前が言うか、という話だろう。

 言っておくが、国会では衆参で3月から予算委員会が開かれておらず、野党が要求している集中審議を与党が拒否しつづけている。ようするに、統計不正や、トランプとの貿易交渉密約問題、F35爆買いとその安全性の問題、景気動向指数が「悪化」に転じたなかでの消費税増税の是非、そして年金問題と、審議すべきことは山ほどあるというのに「審議すらしない」でいるのは、安倍自民党なのだ。

 世論調査でも年金問題には高い関心が寄せられているが、憲法問題をいますぐ審議すべきという声はまったく高まっていない。つまり、国民が強く求めている議題からは選挙前だからと逃げつづけながら、国民から特段の要請もない憲法審査会を持ち出して自民党を「審議する政党」と胸を張るなんて、正気とは思えない。端的に言って、頭がどうかしているのではないか。

●安倍首相だけを単独出演させた読売テレビと辛坊治郎は放送法違反だ!

 いや、問題はそれだけではない。「審議する政党か審議すらしない政党か、参院選で決めろ」という安倍首相の主張は、総理大臣としてではなく、完全に自民党総裁としての発言だ。

 国会の会期延長をせず安倍首相が解散を言い出さなければ参院選は7月21日投開票になると見られているが、そんな選挙まで1カ月を切ろうかというタイミングで、テレビに政党の党首が単独出演して選挙の呼びかけをおこなうのは、放送法違反にあたる行為ではないか。

 実際、冒頭でも紹介したように、年金問題で野党の批判をはじめた安倍首相に対し、辛坊が「各党の方に来ていただいて論じないと不公平になりますので」「総理だけの反論を聞くわけにはなかなかいかない」と述べたが、これも放送法違反になりかねないために発せられたもの。だが、それだけにかぎらず、安倍首相は野党批判をして選挙における自党のアピールを繰り出したのだから、これは完全にアウトだろう。

 いや、選挙前のタイミングだとわかっていながら、安倍首相を単独出演させるテレビ局もテレビ局なのだ。放送法に抵触しかねないとして、野党代表も呼ぶか、安倍首相の出演を見送るのが普通だろう。しかし、御用メディアはそうした問題になる可能性があることをわかっていながら、安倍首相を出演させ、鋭く責任追及するでもなく、言いたい放題のアピールをさせるのである。

 支持率が下がっても「やってる感」で乗り切ればいいと考えている無責任総理に、不公平であることを承知しながら手を貸す御用メディア。こんな状況を、メディアはいつまでつづける気なのだろうか。
(編集部)

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