■EV逆風でも企業価値「トヨタの4倍」のワケ
「テスラなんて私には関係ない」
大半の日本人はそう考えていると思います。でも5年後のあなたの人生にものすごく大きな影響をもたらすとしたら? 読んだ時間を損はさせないのでこの記事をぜひ読んでみてください。
直近のテスラの時価総額は約200兆円。世界的にEVに逆風が吹いていて納車台数も減少したにもかかわらず、テスラの企業価値はトヨタの約4倍と投資家は依然、非常に高い評価をしています。
実はアナリストの分析を総合するとテスラのEV事業の価値は全体の25%程度でしかありません。金額にすればおよそ50兆円でこれはトヨタの時価総額とほぼ同じ水準です。
では投資家はテスラの何を評価しているのかというと、今の企業価値の約半分は今年量産が開始されるロボタクシー事業、そして10~20%はやはり今年の年末に本格稼働が始まると期待されているヒト型ロボットのオプティマス事業の価値、つまりテスラの未来についての期待の分なのです。
天才起業家といわれるイーロン・マスクがぶっ飛んでいるところは、未来のトレンドを読む力にあります。
本当であれば企業の柱であるはずのEV事業では高級車のモデルSとモデルXの生産を終了させて、その工場のキャパシティをまだ開発途上のヒト型ロボットの生産に振り向けたことに世界中の投資家が驚愕しました。
そしてこれは「テスラなんて関係ない」と考えているわたしたちにも大きな影響を与える意思決定です。
■「使い物にならない」が劇的に変わる日
今年はAI界隈では「フィジカルAI元年になる」と言われていて、それまで生成AIに向かっていた投資が、今年は一斉にフィジカルAIに向かい始めました。
よく中国のハイテクショーでヒト型ロボットが展示されて話題になっていますが、あの実用化に向けて世界が動き出しているのです。
フィジカルAIでは日本も2040年に世界シェアの3割を確保すると息巻いていますが、現実的には中国とアメリカが先行しています。その先行組にテスラのオプティマスも入っています。
時間軸を少し先に進めて2030年ぐらいの未来がどうなっているかを考えてみましょう。
その時代、おそらくChatGPTが出現した3年前と同じような「騒ぎ」が起きるはずです。どんな騒ぎかというと、それまで富裕層のおもちゃで使い物にならないと思われていたオプティマスの性能が「急に凄くなった」と言われ始めるのです。
たとえば来年あたりに富裕層が試しにテスラのオプティマスを購入したとして、家の中での使い道は床にモップをかけさせるか、玄関の置き配を部屋の中に運ばせるぐらいでしょう。
使い物にならない理由は、フローリングワイパーのシートは人間がセットしてロボットに渡さなければいけませんし、持ってきた段ボール箱を開くのも人間でないとできないからです。今年や来年前半の時点ではロボットの指先はまったく使い物にならないレベルにしか到達できません。
ところが2030年にそういった評判ががらりと変わります。
■寝ているだけで月30万円入ってくる
役に立たないオプティマスも数カ月ごとにソフトウエアアップデートされて徐々に性能が上がっていくのですが、初期ロットを購入して3年後、その性能が突如爆上がりします。
指先が器用になってオプティマスが自分で封筒を開封したり、床に落ちている細かいゴミを拾ったり、ガラスのコップを洗っても割らないようになります。
そうなったときに私たちは初めて気づくのですが、オプティマスはそれまで指先が不器用だっただけで、頭は人間よりもいいのです。
なにしろ頭脳はChatGPTやジェミニと同じレベルのAIが搭載されているのです。つまり指先の不器用さがなくなった瞬間、オプティマスはわたしよりも優れた働き手になるのです。
私が仮にそのような富裕層だったとしたらどうするでしょうか?
まず最初にやることは夜の間、オプティマスを働きに出すことです。近所にコンビニがありますから、そこで働かせれば時給1200円ぐらい稼いでくれそうです。
家族が寝ている深夜0時から朝8時まで働かせて、朝、私が起きる頃に帰宅するとします。毎日、寝てる間にオプティマスが1万円、1カ月で30万円稼いでくれます。ここがフィジカルAIのいいところで人間と違ってほぼ24時間稼働してくれます。急速充電に30分ぐらいかかるかもしれませんが、誤差範囲内です。
「いや、そんな便利な機械ならあなたよりも先にコンビニが購入するだろう」
と思いますよね。
コンビニや24時間稼働の工場ではそうかもしれません。
■便利なのに自前で導入しないワケ
たとえば工事現場にオプティマスを入れようとしても夜間は無駄ですし、夜間警備の現場では昼間のシフトにオプティマスが不要だったりするわけです。
ですから多くの職場ではオプティマスを自前で購入し導入するのではなく、人間と同じように給料を払ってその時間だけ働かせるようになります。オプティマスのオーナーにとってはオプティマスを所有することでお金を稼ぐことができる未来がやってきます。
この点でもうひとつ重要なことは、テスラを含め世界中のフィジカルAIの製造能力がそれほど大きくはないことです。人類は80億人いますが、ヒト型ロボットの生産能力はこの時代、せいぜい年間1000万台程度でしょう。ですから能力の高いロボットは労働市場ではひっぱりだこになります。
仮に売りに出された役にたたないヒト型ロボットが1台1000万円ぐらいだったとして、それが2030年頃のある日、突然年間で360万円ぐらいお金を稼いでくれるように変わるとしたら、それは富裕層にとって悪くない投資だったといえるようになるのではないでしょうか。
これから5年もすると人間よりも性能のいい働き手が職場に入り込みはじめます。
これは読者のあなたにとっても「自分に関係する未来」といっていいのではないでしょうか。
■ロボットに先がけてやってくるフィジカルAI
さて、ここで時間を2026年に戻してみます。
テスラがロボタクシーの販売を始めるのが今年、2026年のどこかの時点になると期待されています。
実はフィジカルAIの中で最も実用段階に近いのがこの自動運転車です。ヒト型ロボットと違って指先の器用さは求められません。ただただ車を安全に運転できれば商品として完成です。
すでに営業運転を始めているグーグルのウェイモと違い、テスラのロボタクシーは「自動運転2.0」と呼ばれる開発手法でかつカメラだけの情報を頼りに運転をする方法で開発が進められています。
このやり方の利点は2つあります。
ひとつは完成段階でコストが低くなること。ウェイモの自動運転車はレーダーやライダーといったセンサーをたくさん搭載するのですが、ロボタクシーではそのコストがかかりません。
もうひとつの利点は自動運転2.0方式ではデータ学習量がある閾値を超えると幾何級数的に性能が上がることです。つまり今のテスト運転段階でテスラの自動運転がたとえウェイモよりも劣っていたとしても、その能力は急速に高まるのです。
■株、不動産に代わる新たな投資
おそらく今は自動運転の性能向上待ちの状況ですが、いずれ商品としてアメリカ政府に認可されるでしょう。たとえ当初の運転はつたなかったとしても1年後にはその運転性能は幾何級数的にうまくなります。
このようにして2027年頃にはテスラのロボタクシーはアメリカ各地で営業運転を開始する可能性があるのです。
「でも私には関係ないかな」
と思うかもしれませんね。こう考えてみてはどうでしょうか。
イーロン・マスクは2人乗りのロボタクシーを3万ドル未満で販売するとしています。日本円で450万円程度という価格です。これをまだ発売直後でみんなが様子見をしている段階であなたが購入したらどうなるでしょうか?
「銀行の定期預金を取り崩せばそれくらい造作もないけれども、日本に持ってこられないよね」
その通りです。ですから購入したロボタクシーはサンフランシスコで管理してくれる代理人に預けましょう。
日本人でアメリカの不動産に投資をする人は、現地の不動産管理会社に物件を預けて管理してもらいますよね。あれと同じ形で、ロボタクシーを現地の管理会社か管理人に預けて、ロボタクシーとして走らせてもらうのです。
■初期コストは1年かからずに回収できる
サンフランシスコではウェイモの自動運転タクシーが1マイルあたり3ドル程度、ウーバーが(価格は時間帯で変動しますが)だいたい1マイルあたり2ドルで営業しています。
そこにあなたのロボタクシーが仮にウーバーと同じ1マイル2ドルの価格で参入したらどうなるでしょうか。
ロボタクシーは人間と違いほぼ24時間営業できますが、ここではやや堅めに「年間を通して1日12時間営業」と想定してみましょう。充電や修理や社内清掃で稼働できないこともあるでしょうから、保守的に見積もってみます。
時間帯として顧客の多い時間を狙うのと価格競争力があるという前提で稼働率はやや高めの60%で計算します。おそらく年間で4万マイルほど顧客を乗せて運行できるはずです。だとすれば売上は年間で8万ドル(約1250万円)です。
充電の電気代や管理会社の手数料などコストは年間2~3万ドルでしょうか。保守的にみて年間費用を3万ドルで計算してみましょう。
すると年間の利益は5万ドル(約800万円弱)になります。つまりロボタクシーの購入コストは1年かからずに回収できることになります。
■「ファーストペンギン」になる勇気があるか
この話、あくまで現地での管理会社が出現することと、自動車保険でリスクがカバーできることが前提ですが、その条件がクリアされれば2030年まで待たなくても富裕層はロボタクシーという名前のフィジカルAIで儲け始めることができるのです。
なんでこんなぼろ儲けができるのでしょうか?
理由は世の中の大半の人間があなたと同じで「フィジカルAIに懐疑的だから」です。今はまだファーストペンギンに時間面での優位性が存在するのです。
そして2026年中にテスラがロボタクシーを発売したとしたら?
テスラ株を買うよりも先にやるべきことは、あなたがロボタクシーを買うことかもしれませんね。
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鈴木 貴博(すずき・たかひろ)
経済評論家
経済評論家。未来予測を得意とする。経済クイズ本『戦略思考トレーニング』の著者としても有名。元地下クイズ王としての幅広い経済知識から、広く深い洞察力で企業や経済を分析する独自のスタイルが特徴。テレビ出演などメディア経験も多数。
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(経済評論家 鈴木 貴博)

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