「9歳の壁」や「小4の算数の壁」という言葉があるように、小学3・4年生で算数につまずく子どもが多いという。子どもがつまずくポイントは? つまずいた子どもに親ができることとは? 瀧先生に算数嫌い化を回避する方法を、自身の子育て経験を踏まえて語っていただいた。

方法1 日常会話に「抽象的な数」を交ぜて理解させる
■分数や小数は会話に出てきづらい
算数でつまずく子に多いのが「国語が苦手」なこと。なぜなら小3、小4からは、それまでの「2羽のアヒルがいるところに3羽のアヒルが来ました。全部で何羽でしょう?」といった、出てくる数字をそのまま足せば正解を導き出せるような単純明快な文章題よりも、より登場人物や状況の設定が複雑で、単純計算では答えが出ないような文章題が増えていくからです。
すなわち、算数の問題を解くために必要な力とは、問題文から正しく情景を思い浮かべる「国語の読み取り力」であったり、論理的な思考力であったりするわけです。
また、小3、小4でつまずく子が多くなるのは、日常で接する機会が少ない概念が多く登場し、理解しづらいと感じてしまうからです。たとえば、「分数・小数」「単位と測定」「角度」がそうですね。塾で「速さ」につまずく子も出てきます。
2羽、3羽といった単純な数は、日常で繰り返し触れる単純接触効果が働くので理解しやすい一方、2/5、0.3、kmやLといった日常で触れる機会が少ない抽象的な数や単位は、単純接触効果が働かないので理解しづらいと感じてしまうわけです。
子どもが理解しづらい抽象的な数や単位は、親子の日常会話に交ぜることで「これが分数か」「これが角度か」と体験させるのがよいと思います。親子の会話例を画像1にいくつかご紹介するので、ぜひ試してみてください。
※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。

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瀧 靖之(たき・やすゆき)

東北大学加齢医学研究所教授、医師

1970年生まれ。
東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。医学博士。東北大学加齢医学研究所臨床加齢医学研究分野教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターセンター長。早生まれの息子の父。脳科学者としてテレビ・ラジオ出演など多数。著書に『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社刊)など。

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(東北大学加齢医学研究所教授、医師 瀧 靖之 構成=本誌編集部 撮影=鈴木啓介 写真=amanaimages)
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