生きるパワーの源になる野菜は何か。医師の石原結實さんは「高い抗酸化作用があるβカロテンの量は野菜のなかでもニンジンと並びトップクラスで、血液の汚れを浄化する効果は野菜でナンバー1とも言われる精がつく野菜がある」という――。

※本稿は、石原結實『超少食健康法 「空腹の時間」が病気を治す!』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
■万病に効く万能薬とされた身近な調味料
みそとしょうゆは日本の伝統的な発酵調味料です。
みそはゆでた大豆や麦に塩と麹菌を混ぜ、木桶などに入れて重しを乗せて数カ月間、発酵・熟成させて作ります。
糖質、脂質、質のいいタンパク質が含まれていて、米を主食とする日本人が不足しがちな必須アミノ酸を補ってくれます。また、強い防腐作用があるので、魚や肉、野菜などのみそ漬けは、冷蔵庫がない時代の貴重な保存食でした。
江戸時代の食の百科事典と言われる『本朝食鑑(ほんちょうしょくかがみ)』には、みそは「腹中を補い、気を益(ま)し、脾胃(ひい)を整え、心腎を滋(ま)し、吐(と)を定め、瀉(しゃ)(腹下し)を止め、四肢を強くし、髭髪を烏(くろ)くし、皮膚を潤し……病後の痩せ衰えを壮(そう)にする……酒毒および鳥魚獣菜菌の毒を解する」とあり、万病に効く万能薬として紹介されています。
しょうゆは大豆、小麦、塩、水を混ぜてしょうゆ麹菌で発酵させて作ります。しょうゆには300種類近くの香りと味の成分が含まれていて、和食に欠かせない調味料のひとつです。
しょうゆもみそも体を温める陽性食品です。
熱い番茶にしょうゆとショウガ汁を少量たらして飲むと、体が温まり胃腸病、冷え、貧血などに効きます。ぜひ試してみてください。
■生命の源になる日本人の主食“米”
和食の主食である米は、最近、糖尿病の要因として悪者扱いされることがあります。
糖質制限がもてはやされているのはいかがなものかと思っているのですが、そもそも“米”が悪いわけではありません。
米には、もみ米からもみ殻だけを取り去った玄米、玄米からぬかを取り除いて胚芽を残した胚芽米、胚芽米から胚芽を取り除いた白米があります。現代の日本で主に食べているのは白米です。
「生き米」と呼ばれる玄米に対して、白米は「死に米」と呼ばれています。胚芽には生命維持に必須なビタミンやミネラル、食物繊維などの有用な成分が含まれています。
白米はそれらの有用な成分をごっそり取り除いてしまった、いわば空っぽの食べ物です。できれば、生きたパワーを持つ玄米を食べるようにしましょう。
ただ、玄米は独特のくせがあったり、食物繊維が多いため消化・吸収しにくかったりします。白米のおいしさをあきらめられないという人もいらっしゃるでしょう。
白米を食べるのであれば、黒ごま塩(黒ごま8に粗塩2の分量を炒めたもの)をふりかけましょう。温め効果がありますし、栄養もアップします。
■“気”を高め生きるパワーが高まる野菜
ニンニク、ネギ、玉ネギ、ニラは同じアリウム属の野菜です。
いずれも刺激的な香りが特徴で、“気”を高めたり、めぐりをよくしたりする働きがあります。これらを摂ると生きるパワーが高まります。
ニンニクは「精がつく野菜」の代表です。古代ギリシャ・ローマ時代から「農民の万能薬」として親しまれてきました。当時の兵士は武運と健康を祈って、出陣前にニンニクを食べたそうです。
過酷な労働に従事した、古代の奴隷を支えたのもニンニクです。エジプトのピラミッドや中国の万里の長城も、ニンニクがなければもっと小規模なものになっていたかもしれません。
ニンニクに含まれるアリシンは、体内でビタミンB1と結びつくとアリチアミンに変化して、体内で有効に使われるようになります。アリチアミンはスタミナ増強、疲労回復効果が高いことがわかっています。
アリシンには血液をサラサラにして血流をよくする働きがあり、ニンニクを食べるとポカポカと体が温まります。
ネギは“気”を高める作用が強いため「根葱は気の義なり。根を賞するに根葱と言う」と古書で紹介されています。

■かぜを引いたら真っ先に摂りたい食材
ネギに含まれる辛味成分はアリインと言い、血管を拡張して血流をよくする働きがあります。体が温まり、発汗、解熱、消炎作用も発揮するため、かぜのひき始めには一番に摂りたい野菜と言われています。疲労回復効果もあるので、かぜの治りかけにも最適です。
ニンニクと同様、ネギも精をつけてくれます。臭いの強いネギ、ニンニク、ニラなどの野菜と酒(またはそれを飲食すること)は葷酒(くんしゅ)と呼ばれ、「葷酒、山門に入るべからず」と言われていたそうです。これは、強壮作用が強く、精がつき過ぎて修行の邪魔になるからとのことです。
玉ネギにもネギと同様に血流をよくする作用があります。精もつけてくれ、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは、「古代エジプトのピラミッド建設では、奴隷に玉ネギとニンニクを食べさせて作業効率を上げた」と記しています。
また、イギリスには台所や病室には、病気を防ぐ「厄除け」として玉ネギが吊るされていました。
玉ネギに含まれる硫化プロピルは、生で食べると血糖値を下げ、加熱すると中性脂肪やコレステロールの代謝を促す作用があります。
ほかにも腸内の善玉菌を増やすオリゴ糖、血液をサラサラにするケルセチンなど、複数の健康に役立つ成分が含まれています。
血糖を下げるのもケルセチンや食物繊維のフルクタンの働きによるものです。
血糖値が高めな人や糖尿病の人は、薄切りの玉ネギとワカメを、しょうゆ味のドレッシングをかけて常食すると予防や改善に役立ちます。
■解毒に役立つ「ナンバー1」の野菜
ニラもまた血流をよくし、精がつく野菜です。
また、高い抗酸化作用があるβカロテンの量は、野菜のなかでもニンジンと並びトップクラスです。疲労回復に役立つアリシン、貧血を予防する葉酸、排便をスムーズにする食物繊維、水分の排泄を促すカリウムも含まれていて、体内の老廃物をすっきり出してくれます。
ニラの血液の汚れを浄化する効果は野菜でナンバー1とも言われる、解毒に役立つ野菜です。積極的に食べましょう。

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石原 結實(いしはら・ゆうみ)

医学博士、イシハラクリニック院長

1948年、長崎県生まれ。長崎大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。医学博士。年間365日休むことなく診察・講演・執筆・メディア対応を精力的に行っている。近著に『65歳からは、空腹が最高の薬です』(PHP新書)。



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(医学博士、イシハラクリニック院長 石原 結實)
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