※本稿は、黒猫ドラネコ『参政党と大陰謀論時代』(文春新書)の一部を再編集したものです。
■熱気に満ちた党員たちの憲法案
短い休憩を挟み、いよいよ「参政党員が考えた最高の憲法」のお披露目だ。全国各11ブロックから集まった方々が、「憲法案」を発表していった。持ち時間はそれぞれ5分間。スクリーンにスライドを映し、解説していくスタイルで進められた。
各支部ブロックの面々が「国防軍を置く」「米作りを中心とした自給自足」「絆を重んじる」「善を奨励し悪を戒める」などを披露し、司会の安達が短く講評していく。
目立ったのは「天皇の治(しら)す国」という言葉で、「シラス」は党員の共通認識らしい。「天皇が国家元首」であり男系継承による世襲というルールも同様だ。「大事なのは天皇・皇室。GHQからの押し付け憲法で日本が未来永劫に続くのかと疑問が出た。創憲運動は大切」と中年男性党員による熱い語りもあった。
それでいてスクリーンに映された「シン・日本国憲法」の文字には「流行りのゴジラなどのトレンドで」という説明もあり、客席から笑いが漏れていた。
■「教育改革」案の中身
「神話を義務教育に入れる」と言い、スライドには「教育勅語、修身、日本古来の精神性を基本とした教育」との文字が並んだ。そして映された「都を京都に移す」の文字に、会場は大爆笑。ただ、それは現在の東京一極集中を解消する意図があるとした解説には、一転して感心の空気になった。「ほおぉ……」じゃねえんだよお前らは。
個人的に一番ヤバいと思ったのは教育制度の改革案だ。それが憲法なのかどうかはともかく、今の6・3・3・4の教育では、多様な人生は送れないという話だった。
発表した党員のおじ様は、戦前の教育制度の解説をしながら「小学校を出たあとに色んな階層で教育する流れで、早いうちから働いたりして自分の人生が選べるんですよね。若いうちから社会に出て多様なシステムで役に立つ人材が日本全体でできるのでは」とのご提案だ。
……ハァ⁉ 今も戦前と同じように小卒で働かせろってか? 何を言っているんだお前は……。いやいやいや、「おお……」じゃねえのよ観衆も。
思わず魂が抜けかけてしまい、次に私の意識が戻った時、スクリーンにはおなじみ「食料自給率100パーセントを目指す」との文字が踊っていた。
■「省庁の廃止」に「藩の復活」
この他、「報道機関を管理する」などが上げられ、「大統領制」と「一院制」「ネット選挙」などが熱く語られた。そして「原点回帰にフォーカス」とのことで、「親である天皇と子孫である国民は一つの家族なんだよ」と解説する、フリーイラスト「いらすとや」を使った図が映された。なんなんだこの幼稚な集会は。不敬だと思うぞ……。
憲法の前文を詩的にするとのことで、大してよくもない声でオリジナル詩吟をたっぷり披露して喝采を浴びる党員もいた。「国民を蔑ろにする政治家や省庁は即刻廃止する!」の提案には大拍手が起きた。こういうふわっとしたポピュリズムで成立する集団なのは言うまでもない。
また、独立国家を宣言して皇室の安定的な継承を期すそうで「全国に50の宮家を配置する」。そして「全ての土地を一旦、公有化。天皇公領と公領に分けて利用権を……」と、あのさ……今さらだけど、どんな権限があってお前らはそれを言ってんだよ。
その次のスライドには「藩の復活」と映されていた。参政党の案は道州制とか大阪都構想とかじゃなく「藩」なのであった。だから、お前らはそれをやってどうするってんだよ。
■世間の見られ方を気にする議員も
司会者から「愛国心に溢れていましたね」などと謎の総評があり、所属国会議員による講評へ入った。衆議院議員になったばかりの党のスターたちの登場だ。
鈴木あつしは都合により欠席したが、初当選の北野ゆうこには党員から温かい拍手が送られ「各ブロックの憲法があれば子どもたちは日本を必然的に好きになると思いました」という超極薄な感想が披露された。
同じく初当選の吉川りなからは、「皆さんは理解できると思いますけど、外に出た時に通じるのか。何言ってんの、神話って何? と伝わらないのが現実。参政党が実現したいことをどう形にできるかは、皆様のご尽力が必要」とのことだった。世間からの参政党の見られ方をよく分かっておられる。
やっぱり最後は神谷が登壇した。「石破首相(当時)は表向きには言わないが何か世界の危機的状況を分かっている気がする」といった話を披露し、「こんな状況でも選択的夫婦別姓が第一だとか。
■「これがやりたくて参政党を作った」と上機嫌
しかし衆院選で3議席獲得できたこともあって、今回の創憲フェスについては「元気をもらいました。勇気をもらいました。そうだよね、これがやりたくて参政党を作ったんだよね、と。みんなの思いだよねと確認できました」と上機嫌。会場からも感動の大拍手が起きていた。
「すぐ形にはならないし、普通の国民に言っても理解すらされない。でもここからやりましょうよ」
「日本がどうしたらいいんだとなった時に、我々の思想や哲学が注目される時が来ると信じてやっていきたい」
ただ、そうは言っても神谷は聴衆に「お詫び」をした。
「分かりやすい言葉に変えたり、なんじゃこの軟弱な政策はと思われるかもしれないけど、そこには選挙を戦う葛藤がある。負けたら国会で発言の機会をもらえない。まず議席をとって国会で思いを形にできるように。参政党の思いが伝わるようアレンジして出していきます」
■党員に政治参加の実感を与える
そして、「『シラス』はどこにいったの『国体』はどこに入っているのと思われるかもしれないけど……」とヘラヘラしながら言うと、神谷の気持ちを理解したかのような爆笑が会場に拡がった。「神谷さんも苦労してんだなと、忖度してくださいね」と笑顔を向け、ひときわ大きな拍手を浴びていた。
実に上手いやり方だ。要は「憲法を創る」との名目で「参政党が思う理想の日本」を党員に議論させ、その思想を強化しつつ、表向きでは一般受けしないことは言わないと予め伝えておく。それは選挙用の政策作りにも繋げられる。こうして「政治に参加している気分にさせる」テクニックは天下一品。この巧みさが参政党にはあるのだ。
この日に出されたアイデアは25年春の党大会で党員に向けて発表された。
----------
黒猫ドラネコ(くろねこどらねこ)
Webライター、漫画原作者
九州出身の40代。ネット上のデマや怪しい案件を観察するのが趣味で、スピリチュアルビジネス、偽医学・疑似科学、反ワクチン、陰謀論などを分析した記事を各メディアに寄稿。登録者2万7000人を超えるメルマガ形式のニュースレターでは潜入ルポなどを定期配信している。
ニュースレター:「トンデモ観察記」
----------
(Webライター、漫画原作者 黒猫ドラネコ)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
