※本稿は、横山光昭・関口博美『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(小学館)の一部を再編集したものです。
■教育費が原因で老後に迷惑をかけることも
子どもの教育費に懸命で、老後資金が貯められない家庭は結構あります。そのひとつがEさんのケース(図表1)です。この場合、まず私たちの取り組みをお話しします。
とはいえ「学費をどう工面するか」について、子どもたちと簡単に話し合えない気持ちも理解できます。些細なことから少しずつ、子どもたちとお金のあり方を話し合い、親の考え方や懸念事項、目指したい姿などを伝えてみてはいかがでしょうか。
その後、時機がきたら改めて場を設け、子どもたちの進路や教育資金の見通し、親はどれくらいサポートできるのか、不足分はどう工面していくのかなど、親子で考え方を共有していくよう助言しています。 Eさんのケースでは、子どもひとりにつき300万円を用意し、残ったお金と毎月の貯蓄は老後資金に回すことになりました。300万円あれば、入学から2年分くらいの学費をまかなえます。18歳で入学すれば20歳までの援助となります。
教育費をかけすぎて老後資金が苦しくなると、最終的に子どもたちの世話にならざるを得ないことが多々あります。
■「オンライン塾」で塾代を削減
文科省の調査(2023年度)によると、高校生の塾の平均費用は公立高校在学生が年間38万1000円、私立は同44万4000円です。意外と少なく感じるかもしれませんが、あくまで平均額。予備校などに通えば、年間50万円前後かかるのが相場です。
さらに、大学受験を控えた高校3年生になると、講座数を増やしたり、夏期講習や冬期講習に通ったりして、100万円程度かかることもザラです。
そこで教育費の削減のためにも検討してほしいのが「オンライン塾」の活用です。スマホやパソコン、タブレットなどで授業の動画を視聴する、新しいタイプの学習方法です。
たとえば、最大手の『スタディサプリ』は高校生向けコースが月額2178円から利用できます。大学受験講座では志望校ごとに対策をした講座が選べるなど、教育DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術を活用した変革)時代の新たな学び方として注目されています。
■〈関口の見方〉オンライン塾には向き不向きがある
現在は、大手予備校の東進ハイスクールや代々木ゼミナール、通信教育のZ会もオンライン塾の運営に乗り出し、選択肢が増えました。月額費用はさほど変わりません。
もちろん、向き不向きがあり、先生と対面して指導を受けるほうが向く子もいます。
それをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかにより、オンライン塾の価値は大きく異なりますが、オンライン塾には無料体験期間もあるので、試しに併用してみてはいかがでしょうか。
■〈Eさんの改善ポイント〉
Eさん夫婦は、住宅ローンを返済しながら、貯蓄もできていました。しかし、教育資金は貯まっていても老後資金の目途は立っていません。そこで、細かな支出を見直し、貯蓄に回す金額をさらに増やしました。また、子どもたちに大学関連費用の一部を自己負担してもらうことの理解が得られたため、教育資金と老後資金をバランスよく貯めていく計画が立ちました。
■家族全員でスマホ代は「月8000円台」
ここで、我慢や苦労をほとんど伴わない「支出削減テクニック」をいくつか紹介します。
いずれも読者の皆さんが実践するかどうかは別として、無料の料金シミュレーションだけでもやってみる価値があるものばかりです。
まずは大きな削減につながりやすい固定費の一つである「通信費」について。大手キャリアのスマホを使っているなら、「格安スマホ」に乗り換えるだけで1台あたり5000~6000円ほど削減できます。
格安スマホの料金は通信量により変わります。メールやLINE、ネット検索などが中心で、あまり動画を見ない人に一般的な3GB(ギガバイト)程度のプランなら、月額1000円以内の契約も可能です(通話料は別)。
通話が多い方なら、5分かけ放題、10分かけ放題のオプションを月額数百円程度で追加する手もあります。大手キャリアとさして遜色ないサービスを受けられ、通信費は半額以下になるケースがほとんどです。
私たちのもとを訪れる相談者も「やってよかった」と一様に口をそろえます。
ご年配の方は格安スマホに「安かろう悪かろう」のイメージがあるかもしれません。ですが、長年使っている私たち家族の意見を申せば、何ら不都合はありません。わが家は家族6人全員が格安スマホを使用し、通信費は合計8000円台で済んでいます。
■「電気・ガス・水道代」削減のコツ
「変動費」にも具体的な削減のコツがあります。原油高や円安、インフレの影響で水道光熱費の負担はますます大きくなりました。電気やガス、水道代など、前年と同じ使用量なのに請求額が高くなり、驚かれる方も多いでしょう。
ここでFさん(64歳)のケース(図表2)を紹介します。雇用延長で働くFさんは、65歳の定年時に退職一時金を受け取る予定です。妻もパートで日中は不在のため、電気料金は夜間帯に割り引かれるプランにしていました。
ところが、時間をかけてタオルだけ、下着だけ、トップスだけ、ボトムスだけと細かくわけて洗濯。電気代も水道代も高くなり、水道光熱費は月額5万6000円に膨らんでいました。
対策は明確。洗濯回数を減らすに尽きます。どうしてもまとめ洗いに抵抗があるなら、風呂などの残り水で簡単に予備洗いしてはいかがでしょうか。まとめて洗濯すれば、確実に電気代も水道代も削減できます。
このほか、シャワーヘッドを節水タイプに換えるだけで、水道代、ガス代とも安くなります。蛍光灯や電球を、よく使う部屋だけでもLED照明に換えると電気代も節約できます。契約プランの見直しによる効果も期待できます。
電気やガス、通信費などは、ネット上でさまざまな無料の料金シミュレーションが可能です。すぐに変更するつもりはなくても、どんなプランを使えばどの程度安くなるのか、把握しておいて損はありません。
■食費は「1週間で管理」がおすすめ
食費は、1週間の予算を決めて管理する方式をおすすめしています。給料日の直後は贅沢、給料日の直前は節約というムラが防げるからです。やり方は簡単。まずは毎月の食費を大雑把に算出しましょう。それを5週間で割った金額を1週間の予算にします。5週目の予算は、2~3日分余る計画です(図表3参照)。
毎週決まった曜日に決まった金額を予算として財布に入れ(またはプリペイドカードやアプリにチャージ)、翌週の同じ曜日にその予算を更新します。使い残しは翌週、好きに使うもよし、貯金に回すもよし。足りなければ翌週の予算から前借りします。
日用品代も同様に週予算で管理すると、ムダが減り、安定しやすくなります。食費や日用品代の安定は、支出全体の安定につながります。ぜひ一度、お試しください。
■〈関口の見方〉わが家の食費は週1万5000円
わが家の食費も「週予算」で管理しています。現在、家族6人で暮らしていますが、食費は週1万5000円(酒代は除く)に決め、その範囲でやりくりします。
週予算にすれば家計簿をつけなくても食費が管理しやすくなり、ムダ遣いも防ぎやすくなります。
■〈Fさんの改善ポイント〉
堅実な収入があるためか、電気やガス、水道を節約の意識なく使い、ふたり暮らしとは思えない水道光熱費でした。
見直し後はなるべく洗濯をまとめ洗いにしたり、シャワーへッドの交換やリビングの照明をすべてLEDに換えたりして、大幅に削減。食費や日用品費は週ごとの予算管理方式に変更し、ムダを減らしました。
年金暮らしになれば収入が減るため、早い時期からコンパクトな暮らしに慣れるよう心掛けましょう。
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横山 光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万6000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は90万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を代表作とし、著作は171冊、累計380万部となる。
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関口 博美(せきぐち・ひろみ)
ファイナンシャルプランナー、DCアドバイザー
看護師を経て、夫・横山光昭の運営するマイエフピーに入社。確定拠出年金(iDeCo、DC)をはじめ、公的・私的年金制度、教育費などの分野を得意とする。6児の母として、育児と仕事を両立してきた。
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(家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭、ファイナンシャルプランナー、DCアドバイザー 関口 博美)

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