仕事のどんな場面でAIは役に立つのか。AI実践家の加納敏彦さんは「最近のAIは日本語の理解も高いので、敬語に悩んだ時はAIに整えてもらうといい。
また、長い文章を“短く・角が立たず・明確な”形に整えるのも得意だ」という――。
※本稿は、加納敏彦『AI時代の入社1年目の教科書』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
■先輩に聞く前にAIに聞け
入社してすぐの頃、あなたは先輩にチャットをしました。
「了解です! あとで送ります。すみません!」
そのまま取引先へのメールにも、似た調子で書いてしまいます。数分後、先輩からそっと言われました。
「社外は“了解です”じゃなくて、“承知いたしました”だね。『すみません』も『申し訳ございません』がいいかな」
悪気はないのに、急に顔が熱くなる。1年目あるあるです。敬語をいち早く覚えると、できる新人になれます。
敬語は、堅くするためではなく、相手への思いやりを“見える形”にするもの。全部を完ぺきに覚える必要はありません。
最初に利くのは、社内外問わず毎日のように使う2つです。
■1.クッション言葉(前に添えるだけで柔らかくなる)

「お忙しいところ申し訳ありませんが」(話しかける)

「恐れ入りますが」(依頼・確認)

「差し支えなければ」(意見を聞く)

「あいにくではございますが」(断る)

「たいへん失礼ではございますが」(伝えにくいことを伝える)
■2.報連相(報告・連絡・相談)で困らない基本フレーズ

あいさつは「お疲れ様です」。お礼は「ありがとうございます」。

上司には「承知いたしました」「かしこまりました」。謝るなら「申し訳ございません」。

ほめられたら「恐れ入ります」。

相談は「ご相談したいことがあり、お時間をいただけますでしょうか」。

自分の動きは控えめに「伺います」、相手の言葉は立てて「おっしゃいました」。

「○○様はいらっしゃいますか」「資料を拝見いたしました」もよく使います。

■「先輩にはNG」4つの言い方を覚える
避けたい言い方も、ここだけ覚えれば十分です。
×了解です→○承知しました/かしこまりました

×すみません→○申し訳ございません

×見ました→○拝見しました

×来ました→○いらっしゃいました
冒頭のチャットも、こう直せます。
「承知いたしました。
恐れ入りますが、15時までにお送りします」
たったこれだけで、社会人としての印象が変わります。
最近のAIは日本語の敬語の理解も高いので、先輩に何度も聞く前にAIに整えてもらうのがおすすめです。「です・ます」の使い方から直して、二重敬語などのミスも見つけてくれます。
◎AIに相談

「次の文章を、①社内チャット用(端的に)、②取引先メール用(件名+本文)に書き分けて。クッション言葉を入れて、誤った敬語があれば直して。(原文を書く)」
敬語は暗記より“型”です。毎日使う言葉から、少しずつ覚えていきましょう。
■「すみません」より「ありがとうございます」
入社して数カ月。あなたは別部署の先輩に急ぎで助けてもらいました。夜遅くまで一緒に確認してもらい、なんとか締め切りに間に合った。最後にあなたは言いました。
「すみません、こんな時間まで……」
先輩は「大丈夫だよ」と返してくれました。

翌日も会ったらお礼を言おうと思っていました。でも、あなたはバタバタして、お礼のメールも送れませんでした。数週間後、また確認が必要になり連絡すると、先輩の返事が遅い。
(あ、あの日のお礼……ちゃんとしてないかも)
あとから気づく。こういう小さな取りこぼしが、人間関係の貯金を減らします。AIで文章も資料も速くつくれる時代です。だからこそ最後に残る差は、仕事の腕より「この人と一緒にやりたいか」です。密な人間関係は、目に見えないけれど一番の財産。
その秘訣が、感謝を言葉にして、しっかり返すことです。
コツはむずかしくありません。お礼は「早さ」と「短さ」が命。長文の美文より、当日中か翌日の短文が利きます。

型は3点だけ。
1.何に対して:何をしてもらったか

2.どう助かった:自分に起きたよい変化

3.次にどうする:自分の次アクション
そして、言いそうになる「すみません」「申し訳ありません」を、「ありがとうございます」に置き換える。
もちろん謝罪が必要な場面は謝ります。でも、謝って終わると相手に“負担感”が残ります。それよりも、最後に感謝に着地すると、関係が進み、より深まります。
■小さな往復で信頼を積み上げる
冒頭の例なら、翌朝にすぐにこう送れます。
「昨夜は◯◯の確認をしていただき、本当にありがとうございました。おかげさまで、今日の提出に間に合いました。教えていただいた手順をメモにして、次回は自分でできるようにします(返信不要です)」
たったこれだけでも、先輩は嬉しいでしょう。あなたも次に頼りやすくなる。信頼は、こういう小さな往復で積み上がります。
とはいえ1年目は、言葉選びに迷って手が止まりがちです。
そんなときはAIに“お礼の骨組み”をつくってもらいましょう。
◎AIに相談

「次の出来事への“お礼メール”を書いて。

『すみません』ではなく『ありがとうございます』を軸に。

①何に対して、②助かった点、③次に自分がすることを必ず入れて。

(出来事を書く/相手:先輩)」
形から入っていいのです。
「ありがとうございます」を先に伝えて、当日中や翌日に一通送る。会ったら笑顔でお礼を伝える。それだけで、あなたのまわりに味方が増えます。
感謝は続けるほど自然になり、信頼の貯金が増えていきます。明日の仕事もラクになります。ぜひ今日から意識してみましょう。
■チャットとメールは短く・はっきり
先輩に社内チャットを送りました。

「◯◯の件ですが、先方から返信が来ていて、こちらとしてはAでもいいかなと思うんですけど、ただBだとこういう点が気になって……あとCの資料も見たら……」
送った直後、「言いたいこと、伝わったかな」と不安になります。案の定、先輩から返ってきたのはこうでした。
「ごめん、結局、何をしてほしい? あと、期限はいつ?」
忙しい相手ほど、長文を読む余裕がありません。あなたの中では筋道が通っていても、相手の画面には“情報のかたまり”に見えてしまうのです。
■チャットは「相手がすぐ動ける形」が正解
社内チャットの目的は、きれいな文章を書くことではなく、相手が次の動きを決められることです。型はこれだけで十分です。
1.用件:相談/確認/共有(結論を端的に)

2.期限:いつまでに返事が欲しいか(できれば時刻まで書く)

3.要点:伝えることは多くても、同時に3点まで(長くなるなら別添にする)

4.質問:OK/NGかなど、YESかNOで答えられる形で
■1通のチャットに用件は1つ、メールは「件名」にひと工夫
「【相談】先方への対応はA案で進めたいです(ただ懸念としてBがあります。○○を考えました)。15時までにOK/NGの返信をいただきたいです」
これだけで、先輩は返しやすい。あなたも迷わず動けます。
ポイントは、「1通=1つの用件」です。補足が長くなるなら、別メッセージにせず、リンクやファイルをつけて、「詳細はここにつけています。いまは結論だけ見てほしいです」と書く。そうすることで、相手の負担が一気に下がります。回答漏れを減らすことができます。
メールは、チャットより少し丁寧にしますが、基本は同じです。違いは「件名」で迷わせないこと。件名で「何の件か/期限/要対応」がわかると、本文は短くても失礼に見えません。
たとえば件名は――「【要確認/本日15時】◯◯社対応:A案で進めてよいか」

本文は――「結論:A案で進めたいです。懸念として、Bがありますが、○○と考えました。判断:15時までに可否をいただけますと助かります」
――これで十分、通じます。
短く書くのが怖いときほど、AIが役に立ちます。長い文章を“短く・角が立たず・明確な”形に整えるのが得意だからです。
◎AIに相談

「次の文章を、

1.先輩へのチャット、

2.メール(件名+本文)に書き分けて。

用件・期限・質問が一目でわかる形にして。(原文/期限を書く)」
短い文章は、雑なのではなく、相手への気づかいです。相手がすぐ動ける形に整えるだけで、返事も仕事も驚くほど速くなります。
今日から“用件・期限・質問”の3点を先に置きましょう。

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加納 敏彦(かのう・としひこ)

AI実践家

AI実践家、コーチ、お金とビジネスの専門家。北海道大学卒業後、大手教育出版社に勤務。33歳で大手金融機関にスカウトされ、ファイナンシャルプランナーに転身。41歳で「完全中立のお金とビジネスの専門家」として再独立。45歳でAIシステム会社のアドバイザーに就任し、生成AI が人の可能性を大きく広げる力を持つことを確信する。著書に『AIで加速する!起業の教科書』(きずな出版)ほか。

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(AI実践家 加納 敏彦)
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