【NBAナビ】4月19日開幕のNBAプレイオフ、まず誰を見れば面白い? 現役Bリーガー松井啓十郎に聞く“推し3選手”と見どころ

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NBAの魅力をナビゲートする連載「NBAナビ」。今回は、4月19日に開幕するNBAプレイオフを前に、現役Bリーガーの松井啓十郎さんに話を聞いた。


元日本代表で、現在はさいたまブロンコスでプレーする松井さんの愛称は”KJ”。小学生の頃からNBAを見続け、マイケル・ジョーダンに憧れ、「NBAに行くには何が必要か」を逆算しながらキャリアを選んできた。さらに、アメリカで“NBAが日常にある環境”も体感してきた。
長年NBAを見てきた視点と、現役選手としてプレーする競技者の視点。その両方を持つ松井さんだからこそ見える、「いまのNBAの面白さ」と、プレイオフの楽しみ方とはーーー。
なお、松井さんも解説を務める「NBA docomo」ではNBAプレイオフを配信。開幕日の4月19日はNBA docomoで無料配信される。



「NBAから逆算してきた」キャリアと原点



――松井さんがNBAを見始めたきっかけを教えてください。



松井:小学校1年生くらいですね。父の影響でバスケットを始めて、お手本として見ていたのがマイケル・ジョーダンでした。NHKでNBA中継を見たり、父が買ってきてくれたジョーダンの特集ビデオを見ていました。そこから自然と、バスケをやるならジョーダンみたいになりたいと思うようになりました。



――かなり早い時期からNBAが身近だったんですね。



松井:そうですね。父がずっと見せてくれていたので。さらに中学2年で渡米してからは、NBAが本当に日常の中にある感じでした。テレビをつければ試合が流れているし、学校の先生も普通にNBAの話をする。バスケットをやっている人だけの話題じゃないんですよね。



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画像: インタビューを受ける松井啓十郎さん
インタビューを受ける松井啓十郎さん

NBAとの出会いは、父の影響とジョーダンへの憧れから始まった。だが松井にとって、それは単なる“好き”にとどまらなかった。「NBAに行くには何が必要か」という視点でキャリアを組み立て、その先にある環境を実際に体感してきた。
テレビをつければ試合が流れ、誰もがNBAを語る――そんな“日常としてのNBA”を知っていること。その積み重ねが、松井の言葉に自然な説得力をもたらしている。



進化するNBAと90年代の面白さ



――昔のNBAと今のNBAで、最も変わったと感じるところは?



松井:やっぱり進化しているなと思います。身体能力も上がっているし、ドリブル、シュート、パスといった全部のスキルが全体的に高くなっている。昔は役割がもっと分かれていたじゃないですか。

ボールを運ぶ人、シューター、インサイドで戦う選手とか。でも今はセンターでもシュートを打つし、ドリブルもするし、何でもできる。そこは本当にレベルが上がっていますよね。



――その一方、面白さという意味ではどうですか。



松井:個人的には、90年代のほうが面白かったですね。チームやコーチの色がもっと出ていたと思うんです。ラン&ガンのチームがあったり、インサイドを強調するチームがあったり、スーパースターに合わせてスタイルが変わったり。今は効率が重視されて、似たオフェンスや似たプレースタイルのチームも増えたので、少し均質化した感じはあります。進化はしているけど、個性のぶつかり合いみたいな面白さは、昔のほうが見えやすかったかなと思います。



――現役選手としてNBAを見るとき、どこに注目していますか。



松井:参考にする選手はいますね。レブロン・ジェームスみたいに規格外の選手は、すごいけど真似しようとしても無理じゃないですか。

だから僕は昔からJ・J・レディックをすごく参考にしてきました。身長もそこまで大きくなくて、飛び抜けた身体能力があるわけでもない。でも長くシューターとして活躍してきた。今も、ステフィン・カリーを見るというより、ダンカン・ロビンソンみたいなタイプを見ています。ドリブルを多くつかず、どうやって効率よく打つか。ボールをもらう前の動きも含めて勉強になります。



いまのNBAは、間違いなく進化している。すべての選手が高いスキルを持ち、ポジションの枠を超えてプレーする時代になった。
一方で、90年代にあった“チームごとの色”や“スタイルの違い”は薄れつつある。効率が重視される現代と、個性が際立っていた時代―――その両方を知っているからこそ語れる視点は、松井ならではのものだ。



さらに現役選手としては、規格外のスターだけでなく“再現できるプレー”にも目を向ける。J・J・レディックやダンカン・ロビンソンのように、身体能力に頼らず結果を残してきた選手たち。

ボールを持つ前の動きや、限られたタッチでいかに効率よくシュートを打つか――そうした細部にこそ、競技者にとってのヒントが詰まっているのだ。



まず見るならレイカーズ。プレーオフの入り口



――では、4月19日開幕のプレイオフで、注目すべき見どころを教えてください。



松井:まず入口としてわかりやすいのは、やっぱりレイカーズだと思います。全員が健康ならかなり面白いですね。ルカ・ドンチッチとレブロン・ジェームスのすごさを同時に見られるのは大きいです。ドンチッチって、見た目の印象だとそこまで速いとか、飛び抜けた身体能力があるタイプには見えないんですけど、それでも得点を量産できるし、試合を支配できる。あの“うまさ”でゲームをつくれるのはすごいですよね。



―――レブロンはどうですか?



松井:レブロンは、年齢を考えてもなお規格外です。NBA選手の現役寿命は4、5年で20代後半から30代前半で引退するところレブロンは現在41歳、現役生活も23年に及びます。この年齢でまだプレーオフの中心にいて、身体能力も含めてあれだけのプレーができる。長くNBAを見てきた人にとってはもちろんですけど、これから見る人にとっても「この選手が特別なんだ」とわかりやすい存在だと思います。

いま見ておく意味がある選手ですよね。



――その中に八村塁選手がいるのも大きいですよね。



松井:そうですね。なので、日本のファンからすると、入り口として入りやすいチームだと思います。八村選手は、スターがいる中で自分の役割をしっかり理解して、そこで仕事を遂行できるのがすごい。目立ちすぎず、でも必要な場面ではしっかり得点も取れる。そういうところも見どころだと思います。さらにヘッドコーチがJ・J・レディックなので、タイムアウト後のセットプレーや、どういう形でシューターを使うのか。そのあたりも面白いポイントだと思います。



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画像: ルカ・ドンチッチ&レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)©2026 NBAE 撮影:Adam Pantozzi/NBAE via Getty Images

ルカ・ドンチッチ&レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)©2026 NBAE 撮影:Adam Pantozzi/NBAE via Getty Images



“誰を見ればいいかわからない”――そんな人にとって、レイカーズは最もわかりやすい入口になる。ルカ・ドンチッチとレブロン・ジェームズ、タイプの異なる2人のスーパースターを同時に見られるだけでも、このチームを選ぶ理由は十分だ。



中でもレブロンは、いま見ておくべき存在だ。

この年齢でなおプレイオフの中心に立ち続ける姿は、それだけで特別な意味を持つ。



さらに、日本のファンにとっては八村塁の存在が大きい。スターが揃う中で役割を理解し、チームの中で機能する。そのうえで必要な場面では自ら得点も奪える“共存できる力”は、NBAの中でも際立つ強みだ。



スーパースターのすごさと、日本人選手のリアル。その両方を一度に体感できるという意味でも、レイカーズはプレイオフの入口として最適なチームと言える。4月19日の開幕初日はNBA docomoで西地区1回戦 ロケッツ vs レイカーズ 第1戦が無料配信される。まずは気軽に触れてみるには絶好のタイミングだ。



松井啓十郎の“推し3選手”



――松井さんの“推し”の選手を挙げるなら誰ですか?



松井:1人目はルカ・ドンチッチですね。やっぱりプレーオフの主役候補ですし、レブロンと同じチームで見られる面白さもあるので、まず注目したい選手です。2人目はビクター・ウェンバンヤマです。もう規格外ですよ。サイズもスキルも普通じゃない。NBAをあまり知らない人でも、一目見て「何この選手」と思うはずです。そういう意味では、初心者にもわかりやすい存在だと思います。3人目はペイトン・プリチャードです。ここは少し競技者目線になりますが、小柄でも体が強くて、シュートも上手いし、中にも入っていける。日本人選手にとっても参考にしやすいタイプだと思います。



【NBAナビ】4月19日開幕のNBAプレイオフ、まず誰を見れば面白い? 現役Bリーガー松井啓十郎に聞く“推し3選手”と見どころ
画像: ビクター・ウェンバンヤマ #1(サンアントニオ・スパーズ)©2026 Getty Images 撮影:Ronald Cortes/Getty Images

ビクター・ウェンバンヤマ #1(サンアントニオ・スパーズ)©2026 Getty Images 撮影:Ronald Cortes/Getty Images



――八村塁選手についてはどう見ていますか。



松井:純粋にすごいと思います。スターがいるチームって、自分ももっとボールをほしがりがちですけど、八村選手はそうじゃない。チームの中で自分の役割を理解して、それをしっかり遂行できる。それでいて、必要な時は自分でも行けて20点も取れる。ああいう“共存できる力”は大きいですよね。



【NBAナビ】4月19日開幕のNBAプレイオフ、まず誰を見れば面白い? 現役Bリーガー松井啓十郎に聞く“推し3選手”と見どころ
画像: 八村塁 #28(ロサンゼルス・レイカーズ)©2026 Getty Images 撮影:Sam Hodde/Getty Images

八村塁 #28(ロサンゼルス・レイカーズ)©2026 Getty Images 撮影:Sam Hodde/Getty Images



――これからNBAを見る人に、どんな見方をおすすめしますか。



松井:むずかしく考えなくていいと思います。NBAって、そもそも“見て面白い”ようにできているので。競技レベルが高いだけじゃなくて、ルールも含めて観る側が楽しめる。だから最初は、レイカーズを見てみるとか、ドンチッチを見てみるとか、ウェンバンヤマに驚くとか、それで十分。そこから自然にハマっていくと思います。



――最後に、もっと日本でNBAを広めるために必要なことは何でしょうか。



松井:見る環境は昔よりずっと良くなっていますよね。SNSもYouTubeもある。でも、見るだけじゃなくて、実際に触れ合える機会も大事だと思います。NBA選手やOBが日本に来てイベントをやるとか、子どもたちが「こんなに大きいんだ」「こんなにシュートが上手いんだ」と体感できるだけでも、いい入口になるはずです。画面の向こうの存在じゃなくて、少しでも身近になること。それがもっともっと広がるきっかけになると思います。



NBAは、戦術や知識がなくても楽しめるようにできているスポーツだ。だからこそ、入り口はシンプルでいい。
レイカーズを見てみる。ドンチッチに注目する。ウェンバンヤマに驚く――その繰り返しの中で、自然とハマっていくはずだ。



画面の中の世界に興味を持ったなら、次は“触れる機会”へ。選手を間近で見ること、空気を感じること。それがNBAをより身近なものにしていく。



プレイオフは、その最初の一歩としてこれ以上ない舞台になる。



【プロフィール】



松井啓十郎(まつい・けいじゅうろう)
1985年10月16日生まれ。東京都出身。さいたまブロンコス所属(B3)。
小学生の頃からNBAに親しみ、アメリカのモントローズ・クリスチャン高校へ進学。その後、コロンビア大学に進み、NCAAディビジョンIでプレーした。日本人として初めて同大学の主力として活躍した選手でもある。卒業後は日本代表としてもプレーし、2012年のロンドン五輪世界最終予選にも出場。B.LEAGUEでは長年にわたりシューターとして存在感を発揮しており、JBL、NBL、B.LEAGUEを通じて4回3ポイントチャンピオンに輝く。NBAを長く見続けてきた視点と、現役選手としての競技者視点の両方を持ち、その言葉には説得力があり、NBA docomo解説者も務める。

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