香港メディアの香港01は25日、「日本社会の精緻な工芸」と題する文章を掲載した。著者はシンガポールの時事評論家・陳文坪氏。

陳氏は「日本を旅行すると、旅の中で見聞きしたことから多くの学びを得られると感じる人も多いだろう」とし、北海道小樽市に言及。「小樽運河はすでに100年の歴史を持ち、1986年に運河としての役割を終えた後、観光資源として活用されるようになった。運河沿いの倉庫は新たな役割を与えられ、美術館やレストラン、ギャラリー、工芸品店などへと生まれ変わり、多くの観光客を引きつけている」と紹介した。

また、「小樽には旧鉄道の線路(廃線跡)も残されている。新しい列車の運行が始まった後も地元政府はこれを撤去せずに保存し、現在では懐かしさを感じさせる文化の一部となっている。こうした例からも分かるように、古い建物や施設は必ずしも急いで取り壊す必要はなく、残すことで新たな景観を生み出し、観光業にとって豊かで持続可能な資源となり得る」と述べた。

日本旅行で目の当たりにした日本人の「素養」と「工夫」―シンガポール人評論家
小樽

次に、札幌市西区にある白い恋人パークを挙げ、「『白い恋人』は北海道で製造されるチョコレート菓子。名前がとても優雅で、海外でも広く知られている。パーク内はまるで夢のような空間に整備されており、博物館ではチョコレートの誕生や発展の歴史が紹介されている。人々はそこからこの製品に関わる人物や、チョコレートが各時代でどのように変化し発展してきたかを知ることができる。館内には体験エリアもあり、訪れた人が得るものは多い」と紹介した。

また、「『白い恋人』の製造工程は来館者に公開されている。

臨場感のある様子を間近に見ることができるため、毎日多くの観光客が訪れ、その秘密をのぞいている」と説明。「当日の生産数がリアルタイムに表示される仕組みもあり、商品の生産工程全体を見ることができる」とし、「このような取り組みによって、たとえチョコレートが好きでなくても、その製造技術に次第に引き込まれていく。これこそがより多くの消費者に好まれ、広く知られるようになった要因の一つだろう」と論じた。

同氏は続いて、アニメやゲーム、ぬいぐるみなどに言及。「ハローキティ、ドラえもん、ピカチュウといった精巧なキャラクターはいずれも日本から生まれた衰えないコンテンツである。過去30年にわたり絶えず新しいものが生み出され、その魅力は尽きることがない。中でもポケットモンスターは、アニメやゲームがさらに新たな段階へと進んだことを示す象徴的な存在である」と指摘した。

そして、「日本では各地の大型商業施設にアニメ関連の専用エリアが設けられ、最新の商品が次々と登場し、購入者が絶えない。秋葉原ではアニメ産業の規模は非常に大きく、建物全体がアニメ関連商品を扱う商業施設として利用されている例も見られる。こうした点からも、アニメ産業が途切れることなく発展し、強い革新力と優れた成長の見通しを持っていることがうかがえる」と論じた。

同氏は最後に、日本国民の資質に触れた。「日本の街中を歩くと、東京であれ北海道であれ、家の周囲に雑多な物が無造作に積み上げられていることはなく、清潔で整然としており、衛生状態も良好である。

小さな飲食店であっても百貨店であっても、さらには山頂の観光地であっても、その清潔さには満足させられる」と述べた。

その上で、「土地が極めて貴重な日本では、創意工夫によって空間を最大限に活用している。例えばトイレの手洗い器は水洗タンクと一体化されており、流す際の水がそのままタンク上部に流れ、手を洗うことができると同時に、その水は再びタンクに貯められるため節水にもなる。ガソリンスタンドではぶら下げられたホースによる給油方式を採用し、施設自体が無柱構造となっているため、空間の有効活用と資源節約の両方を実現している」と紹介した。

また、「公共施設やトイレにもごみ箱が設置されていないことが多いが、それでも非常に清潔に保たれている。これはその国の教育水準や国民の素養をよく示している」と称賛。「人々はごみを自分の袋に入れて持ち歩き、分別用のごみ箱まで持って行って捨てる。日本社会のいくつかの良い習慣は学ぶに値する。ごみの分別のほか、サービス精神やきちんと列に並ぶこと、受動喫煙の規制、会話の音量の管理などだ」とした。

そして、「家庭は社会の最小単位であるが、社会モラルと密接に関わっている。まず家庭から良い習慣を身につけることを始めれば、誰もが文明社会に向けた相応の進歩と変化をもたらすことができる」とし、「細部から全体を見れば、日本社会・企業・家庭が日常の細かな部分において示している『精緻な工夫』は、一つの文化であると同時に文明の力でもある。香港やシンガポールのように土地が限られた地域にとって、日本の優れた制度や空間活用の工夫は、政策立案において大いに参考にされるべきである」と結んだ。

(翻訳・編集/北田)

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