深セン証券取引所のメインボードへの上場を目指している、温州源飛寵物玩具製品(001222/深セン)が8月3日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3410万株を発行予定で、公募価格は2日に発表する。
同社は2004年設立の民営企業で18年に株式会社化した。ペット用品およびペット用おやつの研究開発、生産、販売を主業務としている。主な製品はリード用品、射出成形プラスチック玩具、犬用ガムなど。良好な設計開発能力、高い品質で多くの顧客を獲得してきた。ペトコ、ペットスマート、ペッツ・アット・ホームなど米国、欧州のペット用品販売店や、ウォルマート、ターゲットなど国際的な大型小売チェーン店など、欧米、日本といった先進国・地域に販路を拡大している。
世界のペット市場規模は2010年の973億米ドルから20年には1421億ドルと年平均3.85%と安定的な成長を遂げている。中でもペット産業の歴史が長く、世界最大のペット消費市場である米国は351億ドルから580億ドルに増え、年平均増加率は世界全体を上回る5.15%となっている。また、欧州でもペット飼育が人びとの生活にとって重要な一部になっており、その消費市場は20年に397億ドルに達し、米国に次ぐ世界で2番めの市場である。
一方、中国のペット産業は立ち上がりが遅かったが、今世紀に入っての急速な経済成長に伴って急発展期に入っている。市場規模は2010年の140億元から20年には2065億元と、年平均30.88%という世界最高のペースで拡大している。また、消費レベルの向上や、ペットに対する意識の変化に伴い、ペット1頭に対する平均支出も年々増加、19年には前年比10.90%増の約5561元にまで増えた。
世界のペット用品市場規模は2010年の263億ドルから20年には401億ドルと年平均4.29%のペースで増加した。中国市場は10年の22億元から19年には323億元まで拡大している。また、ペット用食品市場規模も世界市場が12年の758億ドルから20年に1036億ドルに、中国市場も10年の100億元から20年には1108億元にまでそれぞれ成長した。
同社は多様化するとともに交代サイクルが短いペット用品市場において、ニーズを的確に捉えたうえで速やかに開発、商品化する能力を持っていること、高い品質管理能力を備えていること、15年以上の経験の蓄積により優れた顧客リソースを持っていること、米国に研究開発と販売の拠点を設けてグローバルな研究、生産、販売体系を構築していることなどを強みとする一方で、国内外の著名なペット用品企業に比べて経営規模が小さく、資金も不足していること、OEM生産が主体であるため自社ブランド製品の売上、知名度ともに低いことなどがボトルネックとなっている。
また、米国向けの売上が全体の6割前後を占めており、米中貿易摩擦の影響を受けやすいこと、市場競争が加速していること、為替レートの変動による利益率の低下、世界情勢の変化に伴う米国、カンボジアなど海外拠点の業績悪化の可能性といった経営上のリスクが存在する。
2021年12月期の売上高は10億6878万元(前期比75.71%増)、純利益は1億5400万元(同82.94%増)。22年1~3月期の売上高は3億4966万元(前年同期比40.36%増)、純利益は6354万元(同58.79%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)