深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、龍口聯合化学(301209/深セン)が8月15日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2000万株を発行予定で、公募価格は14.95元。
同社は2007年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。アゾ化合物系の有機顔料、顔料生産プロセスで生じる脱水ベースインキの研究開発、生産、販売を主業務としており、主要製品は黄色、赤、橙色の有機顔料および脱水インキで、主に油性インキ、溶剤系インキ、水性インキ、UVインキなどのインキ製品に用いられている。優れた性能、性質により、インキ世界最大手DICをはじめとする中国内外の主要インキメーカーを顧客に持っている。また中国国内をリードする技術を多く持ち、40項目の国家規格、業界規格の制定に参加している。売上構成はアゾ化合物系顔料が約90%を占め、そのうち黄色顔料が最も多くなっている。2020年の中国における同社の有機顔料生産量シェアは5.74%で、業界第6位だ。
中国は現在、世界における重要な有機顔料生産国になっており、世界の生産量の約6割を占めている。生産量は2018~20年にかけて環境保護政策、国際貿易摩擦などの影響を受けて若干低迷したものの、15~20は22万トンで安定的に推移している。今後環境に優しい技術の工場、国際貿易状況の改善、川下産業の持続的な発展に伴い、中国の有機顔料市場は持続的かつ安定的に発展することが見込まれている。世界の有機顔料消費量は22年に40万7000トンに達し、17~22年の年平均増加率は約2.6%となる見込みだ。最も消費量が多いのはEUの9万5500トンで、以下中国の8万3700トン、米国の7万7800トン、日本の2万2000トンとなっている。
中国の有機顔料業界は「グリーン発展」の理念が強調されるなかで小企業の淘汰が進み、2020年末の生産量上位5社の合計生産量が中国国内生産量に占める割合が55%に達するなど、業界構造の成熟が進んだ。また、より環境や安全性を重視した生産工程の研究開発、従来のインキ、塗料、プラスチック以外に液晶、化粧品など新たな分野への試みが進んでいる。さらに、生産ラインの自動化、インテリジェント化による生産効率の工場、さらなる品質の安定、向上も業界内のトレンドだ。
同社は、高い透明度、発色性、光沢を持っており、品質が安定していること、国内外の大手インキメーカーを顧客に持ち、長きにわたる提携関係を築いていること、高い開発力と技術力を持っていること、脱水ベースインキの生産能力を持っていることなどを強みとする一方、売上規模が小さいこと、生産能力向上、新製品・技術開発などを行うための資金調達手段が限られていることがボトルネックとなっている。また、生産プロセスで一定量の廃水、廃ガス、固形廃棄物を排出することから環境保護対策を重視する必要があること、危険物に属する化学薬品を用いるため安全上の事故が起こりやすいこと、原材料価格の上昇および供給不足の発生、売上の40%以上をDICに依存していること、市場競争の加速などが経営上のリスクとして存在する。
2021年12月期の売上高は5億5194万元(前期比16.81%増)、純利益は6721万元(同13.51%増)。22年1~6月期の売上高は3億2508万元(前年同期比22.89%増)、親会社株主に帰属する純利益は4157万元(同20.79%増)。(編集担当:今関忠馬) (イメージ写真提供:123RF)