深セン証券取引所のメインボードへの上場を目指している、深セン市豪鵬科技(001283/深セン)が8月24日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2000万株を発行予定で、公募価格は52.19元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2002年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。リチウムイオン電池、ニッケル水素電池の研究開発、設計、製造、販売を主業務とする。リチウムイオン電池の主製品はソフトパックポリマーリチウム電池、円筒型リチウムイオン電池でなどで、ノートパソコンおよび周辺製品、スマート家具、セキュリティデバイス、タブレットコンピューター、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、医療設備、電動二輪車などに用いられている。また、ニッケル水素電池は小売用、パーソナルケア、車載用スマート相互接続端末(T−Box)、照明器具などの分野に利用される。ロジクール、HP、ソニー、ハーマン、フィリップス、パナソニック、LG、ガーミン、広州汽車、DJIなど各分野の大手ブランドを顧客に持つ。
 
 調査会社モルドール・インテリジェンスによれば、世界の電池市場規模は2021年に1054億米ドルに達したとみられ、25年には1688億ドルまで成長する見込みだ。中でもリチウムイオン電池は5G、AI(人工知能)、IoTなどの新しい技術の発展、コンシューマーエレクトロニクス製品需要増、そして新エネルギー自動車産業の急発展に伴い、市場規模が急速に拡大している。調査会社QYリサーチによれば、27年のリチウムイオン電池の世界市場規模は1234億ドルに達し、21~27年の年平均成長率は15.02%に達するとみられる。

 中国では2003年よりリチウムイオン電池や原料、生産設備の国産化が始まり、15年以降に生産量が急速に拡大、今や世界を代表するリチウムイオン生産国となっている。国家統計局によれば20年の生産量は188億4500万個で、市場規模は1980億元(賽迪智庫のデータによる)に達した。また、前瞻産業研究院は、26年に中国のリチウムイオン電池市場規模が2600億元にまで拡大すると予測している。
良好な市場ニーズをバックに、業界内では各メーカーが続々と新工場建設や生産ライン拡充のプロジェクト投資を行っている状況だ。
 
 同社は各分野の世界大手ブランドを数多く顧客に持っていること、電池の生産から回収、再利用までのワンストップ式ソリューションプランを提供可能であること、生産設備の自動化、インテリジェント化を進め、安全かつ品質の安定した生産体制を確保していること、中山大学、ハルピン工業大学、華南理工大学など著名な大学や研究機関と提携して新材料、新技術の開発を進めていることなどを強みとする。一方で、既存の生産能力がフル稼働状態で日々高まるニーズを満たしきれなくなっていること、生産規模の拡大、先進設備の導入に必要な資金の調達手段が限られていることなどがボトルネックとなっている。
 
 また、材料コストが主業務コストの約75%を占めており、コバルト酸リチウムや合金粉などの材料価格高騰が利益に大きく影響すること、特に米国を中心とした国際貿易摩擦の激化、為替レートの変動などが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は33億1799万元(前期比26.46%増)、純利益は2億5388万元(同52.36%増)。22年1~6月期の売上高は17億6140万元(前年同期比7.28%増)、純利益は8684万元(同23.35%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
編集部おすすめ