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今のドジャースについて語った山本キャスター

MLBもレギュラーシーズン終盤ですが、ナ・リーグ西地区の首位にいるドジャースは、連勝したかと思えば連敗したりと不安定な戦いが続いています。

常勝軍団で盟主の座を守り続け、12シーズン連続でプレーオフ進出中。

昨年もその圧倒的な強さでワールドシリーズまで制したイメージも強いかもしれませんが、"個の力"によるところも大きかったように感じます。特に昨年のプレーオフは、打線の長打力が爆発し、ブルペン陣も覚醒したから勝ち抜けた、という声も大きいようですね。

ドジャースはチーム編成的に、いい"カード"をたくさん揃えることで戦力を上げてきた印象が強いかもしれません。対照的なのは、ナ・リーグ中地区の首位と好調なブルワーズ。機動力を生かした、いわゆるスモールベースボールを心がけ、常に先の塁を狙っているアグレッシブなチームです。

先日、イチローさんがアメリカ野球殿堂入りした際、記者との一問一答のなかでこんな発言がありました。

今のMLBの野球は、(原点に)戻りつつあると思うんですよね。頭を使わなきゃできない、考える野球に戻りつつある――。

そのなかで、ブルワーズの野球は特筆に値し、「今一番強いチームである」と明言しました。

イチローさんはさらに、こう続けました。

「野球というのは、知恵を絞って、考えて、自分の能力を高めていく競技だと思う。じゃないとできない競技だと思うんで。

ただ走るのが速い、肩が強い、打球速度が速い、投げる速度が速いとか、それだけでは測れないものだと思うので。今回、こんな感じの選手だった僕がクーパーズタウンにいることで、それは何かのメッセージになることなのかと思っています」

アメリカでは、スター選手が多くて派手なチームの人気が高い傾向があります。ただ、それだけではいずれ"マネーゲーム"になってしまい、野球という競技の魅力低下につながってしまうのではないか、と危惧する人も多いです。

今のドジャースを見て気づいた阪神の強さ【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第183回
秋の気配に、プレーオフが近づいているのを感じますね...まだまだ暑いけれど。

秋の気配に、プレーオフが近づいているのを感じますね...まだまだ暑いけれど。

最近のドジャースは、記録に残らないミスも多いように感じます。走塁ミスが増えていたり、エラーにならないエラーがあったり、ノーアウト2塁の場面でもホームラン狙いの大飛球で進塁に繋がらなかったり......。つい先日、試合前に大谷翔平選手が異例の走塁練習を行なったことも話題になりましたが、チームとしてもプレーオフを勝ち抜くうえで、細かなミスを減らすことを至上命題と考えているのかもしれません。

あまり小さなミスが目立たない状況は、数年前のヤクルトと重なる部分があると個人的に思っています。

ヤクルトは2021年、22年とリーグを連覇(21年は日本一)しましたが、22年は三冠王に輝いた村上宗隆選手をはじめとした"個の力"が際立ったシーズンだったように思います。小さなミスがあっても、村上選手のホームランで帳消しという場面もよく見ました。そこからチームは低迷しますが、今のドジャースもそれと無縁ではないように思えるのです。

一方、圧倒的な強さで今年のセ・リーグを制した阪神は、攻撃面では中軸の安定感はもちろん、ブルワーズのように積極的に次の塁を狙うアグレッシブさも目立ちましたね。

優勝するには打撃力も必要ですが、それ以上に小さな積み重ねが、チームの強さが長く続くことにつながるのではないかと。

阪神は今年からファームの施設が新しくなりましたし、新たな有望選手も出てくることでしょう。ただ、我がヤクルトも茨城県守谷市の2軍施設が2027年3月に開業予定ですし、今後の巻き返しに大きな期待を寄せています。

それでは、また来週。

今のドジャースを見て気づいた阪神の強さ【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第183回

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

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