「音楽は苦手」と思い込んで生きてきた53歳の男性が、公園で耳にしたアコーディオンの音色に心を奪われ、気づけば4年間で100万円以上を投じていた。自分の音で人を楽しませる喜びを知ったという50代からの“幸せ散財”が、中年男性の人生にどんな彩りをもたらすのかを追った。

49歳でアコーディオンに目覚めた

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50歳間近にして突如、音楽に目覚めた50代男性もいる。

「俺、人生の9割は音楽は苦手って思ってきたんですよ。そんな自分がアコーディオンができるようになって、ものすごく快感なんです」

そう話す梶原保さん(仮名・53歳)は、土木作業員として働く傍ら毎晩アコーディオンの練習に励んでいる。ハマったのは49歳のときだ。

「花見で行った公園でアコーディオン奏者に出くわし、聞き惚れてしまいました。一緒にいた友人が『弾いてみたい』と言うので、一緒に体験教室に行ってみたら、『こんないい音が出せるんだ』って俺のほうがハマってた」

今も愛用するのは60万円のアコーディオン

梶原さんは“マイアコーディオン”を求めてネットオークションを物色。4万円の中古品を落札したが、届いた品はジャンク品で使い物にならなかった。その後、教室の紹介で今も愛用する品と出合うのだが、ジャンク品との違いに腰を抜かしたとか。

「4万円のもののあとに、10万円の中古アコーディオンも買ってみたのですが、専門店で見せてもらった『キャバニョロ』のものは、“紹介価格”でも60万円もしたんです。ただ、その値段に見合う音色の美しさに惚れ込み、俺はすぐにATMへお金を引き出しに走っていた。今では修理の部品用や軽量型も含めて、計5台を所有しています」

4年間でアコーディオンに費やしたお金は…

4万円のジャンク品から始まった新世界。53歳会社員が100万円超を“幸せ散財”して知った、演奏の喜び
梶原さんのアコーディオン
4年間でアコーディオンに費やしたお金はレッスン代も含めて100万円を超えたが、一時やめようと思ったことも。

「中学ではギターに憧れたけど、コードが覚えられず断念。大学ではサックスに挑戦したけど、学生ローンが残っただけ……。俺には音楽の才能はないので、1年ぐらいでアコーディオンもやめようと思ったんです。なにせ、右手でメロディを弾いて、左手でベースボタンを押さえ、“ふいご”を動かすという3つの動作を同時にこなさなければならない。
ほかの楽器よりも難しいんですよ。

でも、弾いてみたいという友人に1台貸して、あるとき2人で演奏してみたら、自分が上達していることに気づいた。当たり前なんだけど、初心者の友人よりも、明らかに俺の音色のほうが綺麗なんですよ。試しに公園で2人で弾いてみたら子供たちがワーッと寄ってきて、気持ちよくなった。それで、もうちょっと頑張ってみようと」

「中高年のアコーディオン愛好家が増えている」

梶原さん曰く、「近年、中高年のアコーディオン愛好家が増えている」。

一台でメロディとベースラインを奏でる特殊性に加えて、どこか懐しい音色が昭和のおじさんたちを虜にするのだという。

「4年続けてレパートリーは3曲だけ」と、梶原さんは難しさを強調するが……だからこそ、挑戦しがいがあるようだ。

※2026年6月2日・9日合併号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[50代からの[幸せ散財]革命]―
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