◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人5―2西武(21日・東京ドーム)

 鮮やかに打ち返した。新人の一打にファンが沸く。

3回1死。巨人・荒巻悠内野手(22)が与座の初球を左前に運んだ。この日チーム初安打が、自身東京D初安打だ。「気持ち良かったです。気負うことなく、心は熱く、頭は冷静にやろうと思っていきました」。「8番・一塁」で、19日の再昇格後初スタメン初打席での快音。槙原敬之の「遠く遠く」を登場曲に、遠く離れた地元・福岡の仲間にも雄姿を届けた。

 4月29日の2軍戦で右手中指を骨折し、3軍戦を経て13日・ヤクルト戦で2軍戦復帰。そこで2点二塁打を放った際の相手は与座と同じ下手投げの下川で「いいイメージのままいけた」。7回には、「目」でも貢献した。西武・甲斐野から岡田が同点二塁打を放った後の、7回2死三塁。増田陸の決勝弾をお膳立てする貴重な四球を選んだ。

3ボールからフルスイングの空振り。その次のフォークを冷静に見極めた。「けがしても選球眼は衰えない。本領発揮できて良かった」。猛攻の中で、光ったファインプレーだった。

 骨折後は、実戦復帰まで約1か月リハビリ。負傷2日後から左手のみのティー打撃を再開し、ウェートトレも地道に行った。「基礎練習ばかりでしたが、逃げずにやってこれたので、スムーズにいけた」。復帰後の明るい未来を見据えて歩を進めてきた。

 阿部監督は荒巻の四球に「冷静に低めを見送って、あのつなぎがあったからこそのホームラン」と評価し、「(3ボールから)待てのサインは出していないので。空振りはしましたけど、勇気持って振れたので、それだけでいいんじゃないですかね」と語った。ドラ3ルーキーが、存在感を示した。

(田中 哲)

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