◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 私たちは仕事柄、スターと呼ばれる人たちと日常的に接することが多い。プロ野球選手も国民的スターの宝庫。

しかし、カメラマンとして普段から当たり前のように撮影しているので、そのありがたみが麻痺(まひ)している部分もある。

 今年4月19日、オリックス戦の試合前に、選手会による企画「あなたの夢叶えます presented by Bs選手会」の第2弾が行われた。杉本裕太郎外野手の自伝「僕がラオウになる日まで ドラフト10位からの逆襲人生」の読書感想文を本人の前で朗読するというもので、徳村拓翔君と古郡みゆさんが憧れの杉本選手と対面した。

 2人とも緊張の面持ちだったが、特に徳村君は本人が登場する前から震えが止まらなかった。いざ、対面となった瞬間、彼の感情はピークに達した。涙がこぼれ落ち、号泣した。それでも、最後まで感想文を読み終えると、杉本選手は彼をギュッと抱きしめた。緊張から解き放たれ、最後には3人そろって笑顔で昇天ポーズを決めた。

 私たちが取材している杉本選手は、こんなにも愛され、夢を与えているのか。改めて背筋が伸びる思いだった。撮影した写真の先には多くのファンがいる―。このことをいつも意識してシャッターを切ろうと思った。

そして、杉本選手、いつまでも強く子供たちの憧れのラオウでいてください。(写真担当・谷口健二)

 ◆谷口 健二(たにぐち・けんじ) 1992年入社。2001年から写真担当。

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