◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人0―5西武(22日・東京ドーム)

 巨人・坂本勇人内野手(36)が西武戦で2安打を放ち、通算670度目となるマルチ安打をマーク。歴代9位の川上哲治(巨人)にあと「1」と迫った。

また、交流戦通算335安打とし、栗山巧(西武)が持つ同最多記録まであと「2」とした。同最終戦となる24日のロッテ戦(ZOZO)で複数安打を放てば、ともに“大記録”に並ぶ。チームは西武の4投手の前に今季7度目となる完封負け。同一カード3連勝はならず、貯金が再びなくなり、4位に転落した。

 懐に飛び込んでくるボールを、坂本は「らしい」バットさばきで捉えた。0―0の初回無死一塁。カウント1―0から内角低め146キロ直球に腕をたたんで反応。鋭いライナーを左前へ運んだ。鳥谷敬を抜き歴代単独2位に浮上する交流戦通算334安打目。8打席ぶりの快音に「今日に限っては良かったんじゃないですか」と冷静に振り返った。

 3回先頭では外角直球を流し打って右前へ運び同通算335安打。7回2死一、二塁では四球で好機を拡大した。

唯一、凡退した5回も鋭い当たりの三直で「内容的にも悪くなかった」と納得の4打席だった。試合前練習では普段、グラウンドで行うティー打撃を室内で実施。己と向き合い、今季3度目のマルチ安打と初の3出塁という結果で実らせた。

 長嶋茂雄さんを彷彿(ほうふつ)とさせるような、華麗な三塁守備でも見せた。8回無死一塁で三遊間への強烈なゴロを横っ跳びで好捕。立ち上がり際に左膝をついた状態で二塁へ送球し、間一髪で刺した。4点ビハインドの場面で、確実に一塁でアウトを取る選択もあった。古城内野守備走塁コーチは「もしかしたら併殺すら考えていたのかもしれない。技術以上にその執念を、みんなが学ぶべきところだと思う」と絶賛した。

 17日の日本ハム戦(東京D)で宮西と対戦。400ホールドを誇る左腕と16年6月4日以来、3300日ぶりに対峙(たいじ)した。空振り三振に倒れた坂本は「懐かしいなーと思った。

俺は宮西さんが大学生の時から知ってるからね」。坂本がプロ1年目、宮西が関学大4年生だった07年北京プレ五輪でチームメートとなってからの縁だ。

 翌18日は練習後に三塁側ベンチへ向かい「9年ぶりだったみたいですよ!」と笑顔であいさつ。約5分間の野球談議に花を咲かせた。宮西は「同じ時代を生きて、長くやってきた選手との対戦は感慨深いものがある。勇人は、あのときからすごい選手になると思ってたから、見る目あったでしょ!」とニヤリ。レジェンド同士だからこそ分かち合えるものがある。

 交流戦通算安打の歴代1位・栗山の337本まで残り2本。最終戦となる24日のロッテ戦(ZOZO)で放てば、通算671度目のマルチ安打。神様・川上の記録にも並ぶ。「あと1試合とりあえず勝って。最後1つ勝ってね、(リーグ戦を)再開したいですね」。

チームを押し上げるために、Hランプをともし続ける。(内田 拓希)

◆ヘッド利くように これからはドンドン打つよ…金村義明氏「Point」

 坂本の調子が上がってきたね。これまでは惜しい当たりがファウルになり、打ちたい気持ちが強くて、前に突っ込んだりしていたけれど、第1打席は引きつけて引っ張り、第2打席も引きつけてライトへと、体の感覚とバットの出が合うようになり、ヘッドが利くようになってきた。元々、素晴らしい実績がある選手。これからは、ドンドン打つと断言しておきますよ。

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