常葉大菊川のエース左腕・大村昂輝投手(3年)は今春のセンバツ以降、公式戦に登板していない。予選を免除されて迎えた春季静岡県大会は背番号1を手にしたが、敗れた準々決勝まで他の投手陣を底上げする方針が貫かれた。

「メンバーに入ることが前提ですが、背番号1を取れるなら取りたい」。2季連続での聖地へ、存在感を示すときが来た。

 2000年以降、静岡県内で春夏連続で甲子園切符をつかんだのは常葉大菊川(07、08、13年)、静岡(15年)、日大三島(22年)の3校だけ。ライバルがひしめく中での挑戦は、静清―池新田の勝者と対戦する2回戦から始まる。

 「打者のレベルが高くなる。周りも研究してくる。一個上のレベルにたどり着かないといけない」。持ち味の変化球が狙われると想定。最速136キロの直球の球威をアップさせることを目指して握りをいろいろ試すと、指の掛かりが良くなったと実感した。強豪校との練習試合でも好投を見せ、投手を指導する黒沢学部長(48)は「ここぞという場面での制球は抜群、投球術もしっかりしている」と信頼を寄せた。

 センバツでは聖光学院(福島)との1回戦に先発。0―0で延長タイブレークに突入し、10回に2点を勝ち越したが、その裏に2死満塁からボークと適時打で追いつかれた。

11回から背番号1をつけた2年生左腕・佐藤大介が登板したが、チームはサヨナラ負けを喫した。「投げ切れていれば勝てた。あの場所にもう一度立ち、今度こそ勝ちたい」。雪辱の夏。成長した大村が公式戦のマウンドに帰ってくる。(伊藤 明日香)

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