◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 新庄チルドレンの躍動で首位を快走する日本ハム。新庄監督が育てているのは、選手だけではない。

ロッテに今季最多13得点で大勝した9日の試合後。記者1年目の私は「カードが変わり、次戦からはどのような試合をしたいですか」と聞いた。すると指揮官から「その質問は面白くないなあ」とツッコまれ「今日みたいな試合かな」と返された。ありきたりな質問をしてしまった自分を悔いた。

 抜群のコメント力を持つ新庄監督は記者にも質問の質を求める。安直な問いには「センスないなあ」と笑いに変えられることも少なくない。「皆さんだったらどうします? 一人一人オーダーを考えて発表して」と相性や調子、これまでの傾向などを踏まえた課題が出されることもある。取材についていくためには常にチーム状況を把握し、選手同様の準備が求められる。

 過去のことについての質問も嫌う。チームには現役ドラフトで加入した水谷や吉田ら、他チームから移籍して覚醒する選手が多い。そこで「以前は〇〇でしたが」と聞くと「今はファイターズの選手。前のチームでのことは関係ない。

もう、そのこと聞くのはやめにしません?」と返ってくる。日本ハムの一員として受け入れ、選手への愛情を感じる印象的なシーンだった。

 一方、的を射た質問に対しては「ほんとね」「その通り」と深い相づちを打ち、熱心に答える。記者も育てるのが新庄流。心を揺さぶる質問をぶつけるべく、日々の取材に励んでいる。(日本ハム担当・川上 晴輝)

 ◆川上 晴輝(かわかみ・はるき)2021年入社。レイアウト担当を経て日本ハム担当。

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