第107回全国高校野球選手権記念静岡大会の決勝から一夜明けた29日、1985年の創部以来、初めて優勝を飾った聖隷クリストファーナインは同校グラウンドで軽い調整を行った。

 優勝を決めた28日は午後4時半に学校に戻り、体育館で待機していた生徒を前に優勝報告会を行った。

1日たったこの日、グラウンド外野のネット越しには、付属小学校の校舎に掲げられた甲子園出場を祝う垂れ幕も見られた。左腕骨折した逢沢開生選手に代わって、主将を務める渋谷海友捕手(3年)は「野球を始めた時からの夢だった甲子園出場を決められてうれしい気持ちもありましたが、今は甲子園で勝ちたい気持ちでいっぱいです」。祝福のメッセージは100件ほど届いたというが、表情は浮かれることなく、すでに視線は次の戦いに向いていた。

 決勝戦で静岡を破った後に上村敏正監督(68)は、「優勝して終わりではない。それは弱いチーム。伝統校は、どう甲子園で勝つかと考えている。もう一回、チームで気を引き締めていかないといけない」と発言。選手たち自身も意識が高まっており、この日はベンチ入りした選手はウォーミングアップ、ジョギングを行った後、それぞれが自身の課題に取り組む練習を行った。

 決勝で1失点完投の力投を見せたエース高部陸投手(2年)は、「家族やいろんな方から『おめでとう』というメッセージをいただきました。そうした方々のおかげで野球ができているのだと、改めて感謝の気持ちを感じました」と笑顔。最速147キロを誇る左腕は、前夜は疲労と優勝の安心感から、ぐっすり眠れたという。

 本大会の開幕は8月5日と、準備期間は限られている。

高部は「初めての大舞台で緊張することもあると思いますが、落ち着いて投げられるように、しっかりと気持ちを整えていきたい」と意気込んだ。

 同校は、2021年の東海秋季大会で準優勝を果たしたものの、2022年春のセンバツ出場はかなわなかった。昨年は初めて進んだ夏決勝で敗れており、ようやくつかんだ甲子園切符。選手たちは強い思いを込めて大舞台に挑む。(伊藤 明日香)

編集部おすすめ