◆米大リーグ パイレーツ3―0ドジャース(3日、米ペンシルベニア州ピッツバーグ=PNCパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が3日(日本時間4日)、体調不良のため予定されていた敵地・パイレーツ戦の先発登板を回避したが、「1番・DH」でスタメン出場した。5安打で今季8度目の完封負けを喫したド軍で唯一のマルチ安打をマークし、“一刀流”で孤軍奮闘。

万全でない中、優勝争いするチームのために力を尽くした。投手としては、5日(同6日)からのオリオールズ戦での登板が見込まれる。

 周囲の心配を一振りで吹き飛ばした。2点を追う5回先頭。大谷はバローズのチェンジアップを振り抜いた。打球速度108・7マイル(約174・9キロ)。ワンバウンドで中堅右のフェンスに到達する二塁打とした。体調不良で先発登板を回避する中、“一刀流”で敵地を沸かせた。

 7回には左腕シスクの内角ボール球に詰まらされて「イテッ!」と絶叫。しかし、全力疾走で三塁内野安打をもぎ取った。ベストな状態とはほど遠くても、チーム唯一のマルチ安打と孤軍奮闘。続くベッツの右飛で二塁にタッチアップする好走塁も光り、ロバーツ監督は「今の体の状態でも、できる限りのことをしてくれている。

打席で戦い、次の塁を狙い、勝利のために動いてくれて本当にありがたい」と最敬礼した。

 試合開始3時間40分前の午後3時。球団が発表したスタメンに、大谷の名は1番にあっても投手の欄にはなかった。先発登板を予定していただけに衝撃が走った。指揮官は「昨日から体調不良だった」といい、「今も深い咳(せき)が出て、鼻詰まりもあるかもしれない」と風邪の症状だと明かした。

 2日(同3日)の試合前練習ではユニホーム姿でグラウンドに登場。キャッチボールを行ったが、この時に気分の悪さを訴えたもようだ。「その時点で確認したところ、『打つのは大丈夫です』と」。実際に前日には自己&球団最速となる120マイル(約193・1キロ)の46号ソロを打っていたのだから恐ろしい。「しかし、4~5打席に立つことと5回を投げることの負担は比較にならない。脱水症状になるかもしれないし、(登板しても)うまくいかないと判断した」とロバーツ監督は説明した。

 試合後のクラブハウスでは山本と談笑するなど笑顔もあった大谷。

他にも体調が優れない関係者もいる中、薄着の選手が大半の中で上着を羽織って帰路についた。チーム2連敗。同地区2位のパドレスが4連敗で地区優勝マジックは「20」となったが、4日(同5日)にも消滅危機が迫っている。シーズン佳境の9月。ベストコンディションではなくても、力を振り絞っていく。(中村 晃大)

 〇…大谷がオリオールズ戦で菅野と投げ合う可能性が浮上した。次回登板に関してロバーツ監督は試合前、「週末(のオリオールズ戦)に回すことで回復の時間を与えることにした」としたが、試合後は「まだ万全ではないから、いつ登板できるかは決まっていない」と“修正”。菅野は7日(同8日)のドジャース戦先発が決まっており、大谷の体調次第では日米通じて初の投げ合いが実現するかもしれない。

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