◆第10回紫苑S・G2(9月7日、中山・芝2000メートル、良)

 秋華賞トライアルの第10回紫苑S・G2(3着まで優先出走権)は7日、中山競馬場で行われ、7番人気のケリフレッドアスクが逃げ切り、重賞初制覇。デビュー4年目の西塚洸二騎手(21)=栗東・フリー=も重賞初Vとなった。

牝馬3冠最終戦(10月19日、京都)へ向かう。

 迷いはなかった。ケリフレッドアスクの手綱を執った西塚は「行く馬がいなければ主張していこうと思いました」。作戦通りハナを奪い切ると、ターフの内ラチ沿いを突き進み、1000メートル通過が1分0秒1のマイペースの逃げに持ち込む。直線の入り口から懸命の右ステッキでパートナーを鼓舞し、迫るジョスランを首差しのいで人馬ともに重賞初制覇となった。「残り1ハロンぐらいまで誰も来ていないと思っていた。最後にルメさん(ルメール)が来て差されるかもと思ったけど、何とかしのいでくれた」と踏ん張りをたたえた。

 恩返しの勝利だ。関東で22年にデビューしたが、翌23年に栗東へ移籍。日本ダービー2勝の藤原調教師に師事して腕を磨いてきた。加えて多くの所有馬に騎乗し、深い縁を感じている広崎利洋オーナーの馬で手にした初タイトル。西塚は「広崎オーナーとは花見のときに『(一緒に)重賞を勝とう』と言っていただいていました。

藤原先生には(今週)3つ勝ってこいと言われて1つしか勝てなかったですが、一番大きいところを勝ててよかったです」と7番人気の伏兵を導き、胸を張った。

 前走は1勝クラスで4着に敗れていたが、一気のステップアップ。広崎オーナーは「次は秋華賞に向かいます」と力強く宣言。8着だったオークス当時から大きく成長を遂げたドゥラメンテ産駒が、3歳牝馬3冠の最終戦で新風を巻き起こす。(石行 佑介)

 ◆ケリフレッドアスク 父ドゥラメンテ、母ディープインアスク(父ディープインパクト)。栗東・藤原英昭厩舎所属の牝3歳。北海道平取町・(株)ASK STUDの生産。通算9戦2勝。総獲得賞金は7206万8000円。重賞初勝利。馬主は広崎利洋氏。

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