バスケットボール男子でプロ17年目のポイントガード・西村文男(千葉J)が12日、2025―26シーズン限りでの引退を発表した。この日、本拠地の千葉・ららアリーナ東京ベイで会見し、「今シーズンで引退をする決断に至りました」と話した。

 14年に千葉Jに加入。歴代最長の在籍年数を誇り、「超ミスター・ジェッツ」と呼ばれる。決断したのは今年4月。「自分のコンディション的にも、(来季から始まる)プレミアのタイミングでもう難しいのかな」と池内勇太GMとの食事で思いを話したという。最初に引退を伝えたチームメートは富樫勇樹。「まだやるんだ」と逆に現役続行に驚かれたという。

 プロキャリアは今季で17年目を迎える。これまでも「引退」の2文字は何度もよぎった。一度目はプロ3年目の11年。大野篤史ヘッドコーチのもとでリーグ優勝した21年には引退と同時に移籍も考えていたと明かした。「恩返しもしたし、やりきったし、違うチャレンジもいいのかな」という思いがあった。そんなときにチーム関係者が「最後までジェッツでやりましょう」と引き留め、「自分の中で大事な1ページ」と分岐点を振り返った。

 その言葉通り、千葉Jでユニホームを脱ぐこととなった。ここまで長いキャリアを歩めたことに対して、ファンの存在が大きかったという。「応援してくれる方がいて、その気持ちが僕に届いていたから頑張ろういう気持ちになれた。応援してくれる方がいなかったら、10年くらいでやめていたと思う。それが大きい」。シーズン前に引退を発表したのも、ファンにラスト1年間を見届けてほしいという思いからだった。

 引退プロジェクトとして「LAST RUNWAY #11」の開催も発表。「ランウェー」にはファッションショーの舞台とともに、滑走路という意味もある。ファッション好きな西村と、千葉Jにふさわしいネーミングとなった。この日の会見は当初、真っ赤なスーツで登場を予定。だが、会見場のバックパネルがチームカラーの赤ということもあり、映えるように上下黒のセットアップを着用した。さらに指輪とブレスレットはメゾン・マルジェラの11のカレンダータグのものを使用。

「ゆかりのあるものをつけた」とおしゃれと同時に背番号へのこだわりも見せた。

 西村のラストシーズンは10月4日、FE名古屋戦(名古屋市枇杷島スポーツセンター)から始まる。「気負わず、いい意味で自分らしくマイペースで。自分が出たときに流れを変えるような選手ではいたい」と見せたい姿を語った。引退試合は西村の意向もあり、来年6月に千葉・船橋アリーナを予定する。「11年間支えてくれたことに感謝。会場に来て僕の最後を見てもらえたらうれしい」とファンへメッセージを送った。

 ◆西村 文男(にしむら・ふみお)1986年9月24日、三重・鈴鹿市生まれ。38歳。小学1年の時、朝練を除いたことをきっかけに競技を始める。北陸高―東海大。2009年ユニバーシアードと東アジア競技大会で代表選出。

同年、JBL日立サンロッカーズに入団し、新人王に輝く。14年、千葉Jに移籍。24―25シーズンには個人通算4000得点と、B1での600アシストを達成した。177センチ、72キロ。

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