全日本プロレスは12日、都内で今月7日に21歳で亡くなった長尾一大心(ながお・たいしん)選手の巡業バス接触事故に関する記者会見を行った。

 長尾選手は5月31日に神奈川県内の道場付近の路上で巡業バスを誘導中に接触事故に遭い腹部が圧迫されたことによる外傷性ショックで神奈川・横浜市内の救急搬送された。

集中治療室で懸命な治療を行っていたが7日に敗血症のため亡くなった。

 会見で十枝利樹取締役は長尾選手は入院中に「全身麻酔を受けた中で集中治療室におりました」と明かし6月中旬以降に病院とご両親の許可を得て選手、スタッフが面会をしたという。その時に「激励したり、ファンの皆様からいただいた言葉を伝える時に一大心君は反応してくれた感じを受けました。お父さま、お母さまも、こんなふうに動いたことはなかったと。非常に親しいスタッフ、選手の問いかけには反応いただいたように感じました。それは、あくまでも私ども、あるいは私の個人的感想なので…」と涙を流し絶句し「それは信じたいと思います」と言葉を震わせた。

 さらに十枝氏は、長尾選手の訃報に現在、団体のスタッフ、選手が心の整理ができていない状況を明かし「ただ、ご両親様は、私どもの辛い思い、悲しみの何百倍、何千倍もご両親はご心痛の中におります。できればマスコミの皆様もご理解をいただいて、対応を我々の選手も、あるいはご両親、ご親族にも対応いただければありがたいと感じております」と頭を下げた。

 全日本は15日の後楽園ホール大会で追悼式を行うが十枝氏は「ご両親にご了解をいただいて、15日の後楽園ホールから献花台を設けさせていただきます」と明かした上で12月31日の代々木第2体育館大会までの全会場で献花台を設置することを発表した。

 さらに福田剛紀社長は10月の北海道巡業で「10月29日に釧路大会がございますので、長尾選手の追悼大会にできればいいということで準備をしているところでございます」とふるさとの釧路市ウインドヒルくしろスーパーアリーナで開催する10月29日の大会を追悼大会にしたい考えを明かしていた。

 長尾選手は、2003年9月13日、北海道釧路市生まれの21歳。小中学校ではアイスホッケー、高校では柔道を経験した。

2023年12月に東京・新木場1stRINGで行われた公開入門テストに合格し24年4月1日に入門。同年10月22日に後楽園ホールでの井上凌戦でデビューした。身長164センチ、体重75キロと小柄な体格も闘志あふれるファイトスタイルで将来が期待されていた。きょう13日は22歳の誕生日だった。

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