「東京2025世界陸上」が21日に最終日を迎え大団円の中、閉幕した。アスリートたちの数多の記録、記憶で彩られた今大会。
今大会でTBSは、4人の女性アナを実況担当に起用。14日に行われた女子100メートル障害予選を担当した上村彩子アナから始まり、15日の女子400メートル障害予選を佐々木舞音アナ、18日の女子5000メートル予選を日比麻音子アナ、20日の女子20キロ競歩を篠原梨菜アナが伝えた。
普段は「Nスタ」などを担当する日比アナは、落ち着いた口調で展開を追った。残り2周になった時、上位8人が決勝進出という一戦で「先頭集団は9人。変動が大きいですね」と冷静に指摘。ゴール後、田中希実(ニューバランス)と山本有真(積水化学)が健闘をたたえ合うシーンでは「山本の思いは田中に引き継がれます!」とこの日一番の力を込めた。
入社10年目を迎えた日比アナは開幕前、スポーツ報知のインタビューで「実況も含めて女性アナウンサーの概念を変えていくというか、自分が現役として改革を続けていく。今までの女子アナみたいなイメージを改革していくというのは、引き続き目標ではありますね」と意気込みを語っていた。2021年からクイーンズ駅伝を実況するなど経験を積んできた。
女性アナの実況起用は、世界陸上に限ったことではない。中央競馬では24年3月3日の中山3Rで、初めて女性によるJRA場内実況が流れた。担当したのはラジオNIKKEIの藤原菜々花アナ。それまで女性アナがパドックや中継の進行を務めることはあっても、レース実況を担うことはなかった。目まぐるしく動く18頭(フルゲート)を口で追うのは高度な技術が必要で、テレビもラジオも男性アナが中心だった。
また今年の箱根駅伝では、日本テレビの杉野真実アナウンサーが女性アナとして初めて中継所実況を行った。往路と復路の平塚中継所でタスキリレーを生中継。同局の杉原凛アナも5、6区の小涌園前の実況を担った。
女性アナはこれまで、沿道リポートやインタビューの起用がほとんどだった。杉野アナは箱根駅伝の「日本の女性実況の道を切り開く活躍」が評価され、日テレ系列局のアナウンサーを表彰する「第46回NNSアナウンス大賞」でテレビ部門の大賞を受賞している。
「なぜ女性実況が今まであまりなかったのか」と話していた日比アナ。今回の世界陸上における女性アナの実況について、SNS上では「落ち着いた感じの実況もいい」「聞きやすい」と好意的に受け止める声が相次いだ。