西武・今井達也投手(27)がポスティングシステムによる今オフの米大リーグ挑戦を視野に入れていることが26日、関係者への取材で分かった。この日、チームは日本ハムに敗れてCS出場の可能性が完全消滅。

今井は代理人を通じて球団と水面下で交渉を行っており、シーズン終了後にも直接話し合いの場が持たれるもようだ。NPB屈指の右腕を巡っては、MLBの評価も高く、球団が容認した場合には争奪戦が予想される。

 レオの剛腕・今井が海を渡る可能性が出てきた。以前から強いメジャー志向を持ち、代理人を通じて球団にポスティングシステムを使った挑戦希望の意思を伝えているもよう。球団はシーズン後に直接、本人の意思を確認した上で、容認か否かの方向性を出す見通しだ。

 24年オフの契約更改ではメジャー願望について聞かれ、「プレーしている国だったり環境だったり、そういうのは気にせずに、とにかくレベルの高い投手を目指すことしか今は頭にない。今は日本のプロ野球で一番を目指すことだけを考えている」と、シーズンに集中する意向を示していた。順調にいけば来年中に国内FA権、再来年に海外FA権を取得見込み。球団は来季も今井をエース格として期待しているが、過去には森慎二(06年)、松坂大輔(07年)、牧田和久(18年)、菊池雄星(19年)のポスティングを容認した経緯もある。

 27歳と若い先発右腕への米球界の評価は極めて高い。米スポーツ専門局ESPNは9月に「今オフMLB挑戦が見込まれる選手」の一人として挙げ「細身でありながら日本最速の先発。山本や今永という小柄な投手がMLBでも活躍していることも後押し」と報道。

総額2億ドル(約300億円)を超える契約になるという声も紹介された。ポスティングとなれば西武にも多額の譲渡金が入る。

 今井は作新学院3年の16年夏の甲子園で優勝投手となり、同年ドラフト1位で西武入団。23年に初の10勝をマークすると、24年には最多奪三振のタイトルを獲得。独特の脱力投法から放つ最速160キロの直球とスライダーを軸に、日本を代表する投手に成長した。

 9年目の今季は23登板で9勝5敗、防御率1・77。6月17日のDeNA戦(横浜)では球団新の1試合17奪三振をマークした。今季は毎試合のようにメジャースカウトが“今井詣で”を繰り返したように米国の注目度は高い。レオのエースの動向に熱視線が集まる。

 ◆ポスティングシステム NPB選手が海外FA権取得前にMLBに移籍する制度。所属する日本球団が容認した場合、NPBが球団からの申請を受理してMLBに伝え、メジャー全30球団に通知された翌日から45日間、交渉が可能。申請手続き期間は11月1日から12月15日まで。

契約総額に応じてMLB球団から、所属の日本球団へ譲渡金が支払われる。23歳だった昨オフにロッテから同制度でドジャースに移籍した佐々木のように、25歳未満の場合はマイナー契約しか結べず、契約金などの総額が制限される。

 ◆今井 達也(いまい・たつや)1998年5月9日、栃木県生まれ。27歳。作新学院では16年夏の甲子園でエースとして54年ぶりの優勝に導き、U―18日本代表入り。同年ドラフト1位で西武に入団。2年目から先発に定着し、23年から2年連続10勝。24年には187奪三振で初タイトル。180センチ、80キロ。右投右打。今季年俸1億8000万円(金額は推定)。

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