◆JERA セ・リーグ DeNA5―4人(26日・横浜)

 巨人の岡本和真内野手(29)が不屈のアーチを放った。2位・DeNAとの直接対決2連戦の初戦で、5回にエースの東から右越えへ一時同点の15号2ラン。

今季初めて逆方向へ一発を放ち、5戦4発とした。試合は敗れて逆転2位へ後がなくなったが、クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)で対戦する相手に嫌なイメージを植え付けた。

 集中力を高め、岡本がひと振りで仕留めた。2点を追う5回無死一塁。カウント1―1から東の外角142キロシュートを捉えた。右手で押し込んだ打球は切れずに伸びていく。右翼ポール際に吸い込まれた。2位・DeNAとの負けられない一戦で一時同点の15号2ラン。通算250号まであと2本に迫る3試合ぶりの一発だ。「キャビー(キャベッジ)、泉口がつないでくれたので、打ててよかったです」。今季初の逆方向へのアーチで試合を一時振り出しに戻した。

 始まりも4番だった。

両軍無得点の初回2死三塁。カウント2―1から東の真ん中136キロカットボールに反応した。鋭いライナー性の打球が左前で弾み、先制点をもたらした。CS第1Sの相手はDeNA。ポストシーズンでも対戦する可能性がある左腕を打ち砕いた。

 この一戦に懸ける思いは強かった。逆転2位でCS第1Sの本拠地開催を勝ち取るためには、絶対に落とせない直接対決。「点を取れるように頑張りたい」と気合十分で試合に入った。熱い思いをバットに込め、3打数2安打3打点、2四死球。別格の存在感を示した。ただ勝利に結びつかなかったことが笑顔を奪う。「負けたので明日勝てるように頑張りたい」と絞り出した。

 勝負は細部に宿る。残暑が厳しい中での試合が続く。そんな中、岡本は屋外球場での試合前練習では半袖ではなく、必ず長袖のTシャツを着るか、長袖のインナーを着用する。高校時代からの流儀だ。「暑い時は直射日光に当たった方が暑くなるし、疲労もたまりやすくなると調べて知った。だから僕は長袖長ズボンなんですよ」。プレー以外にも気を配る男が、シーズン最終盤の大事な試合で結果を残さないはずがない。

 痛恨の3連敗で2位・DeNAとのゲーム差は3・5。2位奪取へ残り4戦4勝以外は許されない崖っ縁に追い込まれたが、岡本が今季のDeNA戦で打率4割2分6厘、7本塁打、14打点と無双状態であることは明るい材料。CSで対戦することが決まっている相手に改めて恐怖心を植え付けた。前だけ見据えて勝ち続ける。「切り替えるしかない? それしかないやん」と語気を強めた。

不屈の大黒柱がラストスパートをかける。(宮内 孝太)

 ◆宮本和知Point  岡本の一発はさすがの一言。外寄りの球を逆らわずにうまく右翼へ運んだけど、逆方向への長打を見せられると、投手にとって脅威になるんだよね。引っ張られるのは甘く入ったケースが多く、割り切れるものだけど、逆方向に持っていかれるのは球を長く見られていて、投げるところがない感覚になる。東とはCSでもきっと対戦することになると思うけど、嫌なイメージを与えられたはずだよ。今の巨人打線はもう泉口、岡本。打線はこの2人に絶対にチャンスで回そうって気で行ってほしいね。(スポーツ報知評論家)

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