◆ウエスタン・リーグ くふうハヤテ3―5広島(27日・ちゅ~るスタジアム清水)

 現役引退を表明している前DeNAでくふうハヤテの田中健二朗投手(36)が、ラストマウンドを飾った。ウエスタン・リーグ広島戦で、4点ビハインドの8回に5番手で登板。

1回を3者凡退に仕留めた。

 先頭の韮沢を一ゴロ、高木を空振り三振、続くラミレスも空振り三振にし、締めくくった。マウンドを降りる際にはベンチの仲間の出迎えを受ける前に一礼し、最後の勇姿を見せた。

 試合後には引退セレモニーが行われ、田中はスピーチで、「めちゃくちゃ正直なことをいうと、まだまだ投げたかったし、まだまだ勝負の世界にいたかったし、大好きな野球をやりつくしたかったです。ですが、このタイミングで決断しました。そんな僕からの最後のあいさつになります。温かい心で聞いてください」と胸の内を明かした。

 「2008年からプロ野球の世界に飛び込み、今日まで18年間やってこれたことは、とても幸せでした。ケガも多く、なかなか結果が残せなかった若手時代。たくさんの方に指導していただき、いろんな経験をさせてもらった20代後半。手術をしてリハビリから始まった30代。そしてNPBへの復帰を目指してもがいた35歳。

どれも僕にとって、すごい、いい経験になりました」と語った。

 特に、トミー・ジョン手術から復帰した2021年の1軍戦登板では「大きな拍手をいただきました。あのときは涙をこらえてマウンドに上がったのを今でも覚えています」と、ファンへの感謝の思いを口にした。

 2007年春に常葉菊川(静岡、現・常葉大菊川)を初の甲子園優勝に導いた田中。「それがきっかけで、僕はプロ野球選手になれたと思います。そこから18年が経ち、まさかまた静岡で野球ができるとは思っていませんでした。僕の野球人生の最後にふさわしい場所で引退できることを誇りに思います」と、高校時代を過ごした静岡への特別な思いを語った。支えてくれた父や天国にいる母への感謝の気持ちも述べた。

 セレモニーでは、赤堀元之監督やDeNAでも、ともにプレーした藤岡好明投手兼任コーチ、倉本寿彦や家族から花束が贈られ、涙をこらえる姿も見られた。最後にはチームメートに胴上げされ、3度宙を舞った。

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