ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートペアで日本史上初めて金メダルを獲得した三浦璃来、木原龍一(木下グループ)組が17日、現役引退を表明した。2人で出場した2度目の五輪で、日本フィギュアスケート界に歴史を刻んだ「りくりゅう」。

ショートプログラム(SP)5位からの逆転劇は、日本中を感動の渦に巻き込んだ。

 三浦、木原組はこの五輪、団体、個人で4度の演技に臨んだ。団体はSP、フリーともに1位を獲得して日本の銀メダルに貢献。今季GPファイナルを制し、優勝候補筆頭としての力をみせつけていた。だが、まさかが起きたのは2月15日、個人のSP。自慢のリフトでミスが出て、73・11点で5位発進した。失意に暮れた「りくりゅう」。ただ、逆転可能な点差と報道陣から問われると、力強い言葉が返ってきた。

 「本当にありがとうございます。勇気が出る言葉を。今やるしかないので、気持ちを切り替えて、明日また2人で、チームで。調子が悪いわけじゃないので。

明日は必ずここで、いつものような『りくりゅう』の感じでお話できるように必ず戻ってくるので、待っていてください。必ず戻ってきます」(木原)

 翌16日、午前の公式練習。木原は前日の悔しさから、氷上でも涙が止まらなかった。「何で泣いているか、分からない」という木原に、三浦は「赤ちゃんだね」と言った。結成7年、2人の絆は固い。三浦が「今日は、龍一君のために滑るね」と声をかけると、木原は「璃来ちゃんのために。お互いが、お互いのために滑ろう」と前を向いた。伝説のフリーに向け「りくりゅう」が動き出した。

 勝負のフリー。古代ローマを舞台とする映画「グラディエーター」を演じた。サイドバイサイドのジャンプ、スロージャンプ、全ての要素を完璧にこなして、世界最高得点を塗り替える158・13点をマーク。現行の採点制度となったトリノ以降、史上最大の逆転劇・6・90点差をひっくり返して五輪チャンピオンとなった。

演技後は約20秒、氷上で歓喜のハグ。三浦は木原に「今日マジで泣いてばっかじゃん」と言い、笑った。

 ペア、カップル競技で日本史上初めて獲得したメダルが金メダル。三浦が「皆さんがいなければここまでたどり着くことができなかった」と言えば、木原も「先輩方がつないでくれたものが僕にも回ってきて、4大会つなぐことができた。今までのペアの先輩方に心から感謝したい」と語った。「りくりゅう」が、日本フィギュアに新たな時代をもたらした。

 ◆木原 龍一(きはら・りゅういち)1992年8月22日、愛知県生まれ。33歳。中京大卒。4歳からスケートを始め、シングルで11年世界ジュニア男子代表。13―14年シーズンからペア転向。五輪は高橋成美と組んで14年ソチ、須崎海羽と18年平昌、三浦璃来と22年北京に出場。

174センチ。

 ◆三浦 璃来(みうら・りく)2001年12月17日、兵庫県生まれ。24歳。大阪・向陽台高から中京大卒。スケートは5歳から。15―16年シーズンからペアに転向し、市橋翔哉と組む。19年8月に木原龍一と新ペアを結成。幼少期に空手経験があり、得意技は回し蹴り。146センチ。

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