◆プロボクシング ▽世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)4団体統一タイトルマッチ12回戦 〇統一王者・井上尚弥(判定)WBA&WBC&WBO同級1位・中谷潤人●(2日、東京ドーム)

 スーパーバンタム級の世界4団体統一王座戦で、中谷潤人(28)は統一王者・井上尚弥(33)に判定負け。2015年4月のプロデビュー以来、続けていた連勝は32で止まった。

また、WBC世界バンタム級王者の井上拓真(30)=大橋=は、元世界4階級制覇王者の井岡一翔(37)=志成=を3―0の判定で下し、初防衛に成功。次戦2度目の防衛戦は同級2位で挑戦権を持つ那須川天心(27)=帝拳=との再戦が濃厚だ。

 尚弥の勝利が伝えられると、レフェリーを挟んで立っていた中谷はグッと唇をかんだあと、惜しみなく祝福の拍手を送った。リングを降りる前には両手を合わせ、四方に頭を下げた。苦しかった、でも、楽しかった36分。お互いが持つ技術のぶつけ合い。キレのある左を何度も紙一重でかわされた。だが、相手の勝負をかけた一打に何度も耐えた。アッパーを打とうとして止めると、尚弥がすぐに反応し、両腕をハンドルを回すようなしぐさをしてみせた。

 どちらかが倒されるのか、緊張が続いた試合は10回に思わぬアクシデント。尚弥の頭が中谷の眉間にヒット。左目付近が切れて流血してしまった。

さらに11回に尚弥の右強打が左目にヒット。足を使ってその場を回避した。ジャッジ3人は尚弥を支持し、15年4月のプロデビュー以来、中谷が続けていた連勝は32でストップ。初黒星を喫し、4団体統一王者と世界4階級制覇の夢は持ち越しとなった。

 試合後、左眼窩(か)底骨折の疑いが浮上した。中谷は11回途中から左目をかばうように左腕のガードを上げていたが、このしぐさは尚弥が19年のドネア(フィリピン)戦で眼窩底骨折を負った時、相手に悟られないように見せたのと同じだ。尚弥も感じ取っていたのかもしれない。

 試合後、中谷は気丈にも5分間だけ記者会見に応じたが、左目に大きなアザ、左頬を大きく腫らして苦しそうな表情を見せた。「たくさんのお客さんの前で戦えたことを光栄に思う。いろんなことを想定して準備してきたので(尚弥の強さに)驚きはなかったが、さすがチャンピオン。ボクシングを作っていくのはうまかった。(尚弥との)駆け引きを楽しみながらやっていた」と振り返った。

会見を終えると検査のため、病院へ直行した。

 初めての挫折にも、中谷の志はまだ半ば。パウンド・フォー・パウンド(PFP、全階級を通じての最強ランキング)1位、4階級制覇…。中谷の夢はまだ、終わらない。(谷口 隆俊)

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