第79回カンヌ国際映画祭の授賞式が23日夜(日本時間24日未明)、フランス南部のカンヌで行われ、濱口竜介監督の映画「急に具合が悪くなる」(6月19日公開)に主演した女優の岡本多緒が、フランスの女優ビルジニー・エフィラと女優賞を受賞した。2004年に柳楽優弥、23年に役所広司が男優賞を獲得しているが、日本の俳優が女優賞を獲得したのは初めて。

 岡本は長身(現在176センチ)を生かして14歳でモデルデビュー。2006年に渡仏し仏パリ・コレコレクションに参加した。その後「TAO」の名義で伊ミラノ、英ロンドン、米ニューヨークなど、数々のファッションショーに出演し、トップモデルとして活躍。前髪を切りそろえたなマッシュルームカットは「TAOヘアー」として話題を呼んだ。

 2013年に米映画「ウルヴァリン:SAMURAI」で映画デビュー。海外を拠点にモデル、女優として活動した。23年から拠点を日本に移し岡本多緒として活動。短編映画「サン・アンド・ムーン」では企画・脚本・監督・出演と1人4役を務め、多岐にわたって才能を発揮した。

 今作は介護施設を運営するフランス人女性(エフィラ)と、末期がんの日本人舞台演出家(岡本)による心の交流を繊細に描いた物語。上映時間3時間16分の大作。演じたのはタイトルにある「急に具合が悪くなる」末期がんの舞台演出家。ダブル主演したエフィラと人生の最期をどう過ごすか、という心の交流を、フランス語と日本語を交え、自然体で演じた。

 私生活では15年に雑誌編集長と結婚し、現在妊娠中。カンヌで23日(日本時間24日)に行われたワールドプレミア上映にも参加し「新しい命を授かることが夢だったので、一緒に(レッドカーペットを)歩けて、うれしい。生まれてきたら、自慢しなきゃなと思います」と語っていた。上映後、14分間に及ぶスタンディングオベーションの称賛を受け、現地の専門誌から高い評価を受けていた。

◆三大映画祭(カンヌ、ベネチア、ベルリン)での日本人の男優・女優賞受賞者※敬称略

1961 ベネチア 三船敏郎  「用心棒」(黒澤明監督)

1964 ベルリン 左幸子   「にっぽん昆虫記」(今村昌平監督)「彼女と彼」(羽仁進監督)

1965 ベネチア 三船敏郎  「赤ひげ」(黒澤明監督)

1975 ベルリン 田中絹代  「サンダカン八番娼館 望郷」(熊井啓監督)

2004 カンヌ  柳楽優弥  「誰も知らない」(是枝裕和監督)

2010 ベルリン 寺島しのぶ 「キャタピラー」(若松孝二監督)

2014 ベルリン 黒木華   「小さいおうち」(山田洋次監督)

2023 カンヌ  役所広司  「パーフェクトデイズ」(ビム・ベンダース監督)

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