◆第76回安田記念・G1(6月7日、東京競馬場・芝1600メートル)

 第76回安田記念・G1は7日、東京競馬場の芝1600メートルで行われる。

 大舞台で“絆”の力を見せつける。

デビュー16年目の藤懸貴志騎手(33)=栗東・フリー、写真=は、スズハロームの走りを「重心が低くなって、猫みたいに背骨が動いている感じなんです。あまりいないタイプですね」と表現する。調教でも楽に速い時計が出るように、身体能力は高かったが、不振に陥っていた。

 ターニングポイントとなったのは、コンビを組んで2戦目の睦月Sだ。「返し馬でハミを取って、その前と全然違いました。レースは先生(牧田調教師)と相談して、末脚にかけると決めていました」。最後方から上がり32秒5の脚を繰り出した。9着でも、何かをつかんだ瞬間だった。

 目覚めた同馬は、鋭い末脚を武器に、洛陽S、ダービー卿チャレンジTを連勝。鞍上も21年のマーメイドS以来となる、重賞2勝目を手にした。「この子は頭がいいんです。一戦控えただけで、馬が自分でポジションを決めてくれるようになりました」。

位置取りよりも、馬のリズムを最優先することで、良さを引き出した。

 「調教でコミュニケーションを取るのが好きなんですよ」。追い切り日以外も多くの馬の上で、藤懸の姿を目にすることは多い。「オーナーさんの理解もあって、先生やみんなで良くしようと思ってやってきた。スズハロームが、タイトルを取れたことがうれしいですね」と“仕事人”はうれしそうに笑った。

 自身はこれが4度目のG1挑戦。「やっぱりいいですよね。こういうところを目指すという思いで、ジョッキーを目指したので」。輝きを取り戻した相棒とともに、長い東京の直線を全力で駆け抜ける。(山下 優)

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