◆第11回紫苑S・G2(9月6日、中山競馬場・芝2000メートル)

 秋華賞トライアルの第11回紫苑S・G2(6日、中山=3着馬までに優先出走権)からドリームコアが秋の飛躍を目指す。オークス直前まで管理し、5月に死去した萩原清調教師を“師匠”と慕う田中博康調教師(40)=美浦=にとっても力が入る一戦だ。

 師匠の果たせなかった夢は弟子が引き継ぐ。ドリームコアは、G1初制覇に首差まで迫ったオークス直前に管理していた萩原清調教師が死去。急きょ、大竹厩舎所属で樫の舞台に挑んだが、秋は田中博厩舎に転厩して“再出発”する。「とてもいい馬ですし、これだけの成績を残している馬だなというのは明らかに感じます」と新たな指揮官はパワー、俊敏性、機動力を高く評価する。

 素材はA級でも課題ははっきりとしている。左回りはクイーンCを制すなど4戦3勝、2着1回と力を見せるが、右回りは〈3〉〈9〉着と結果を残せていない。「左右のバランスは聞いていた以上にしっかりあって、回りでパフォーマンスが変わってきそうだなという印象です」と田中博師はジャッジ。“サウスポー”ではレース選択が狭まるため「入厩から時間をいただき、バランスの確認や、一歩踏み込んでの修正でつくれてきたのかなと思います。今週の追い切りで、取り組んでいることがどれくらい生きているか確認したい」と明確なテーマを持って、改善に努めてきた。

 調教師としてのベースを大きく占める存在が、萩原師だった。「うちで勉強しながら(調教師を)目指したらいい」と手を差し伸べた恩人の元へ騎手時代から頻繁に足を運び、ロジユニヴァースで09年のダービートレーナーにも輝いたノウハウを吸収した。「萩原先生は私の師匠のような存在。

毎日というか仕事もプライベートも含めて一番付き合いの深い方でした」。開業後もその関係は続き、午後に萩原厩舎へ行き、一緒に馬体チェックや仕事をする姿をスタッフも見てきた。「その関係を知っていますし、気合が入っているというのもあるでしょう」と田中博厩舎一丸となって、さらなる高みを目指している。

 萩原師が手がけた母ノームコアはヴィクトリアマイル、香港CでG1・2勝。18年の紫苑Sも制しており、母子制覇もかかる。「先生はその一戦で一喜一憂することはなく、冷静に管理をされていた。入厩した時から仕事ぶりを見てくれていると思う。この一戦だけではなく、天国でワクワクするような活躍を見せられたら」。“師匠”が手塩にかけて育てた系譜でG1制覇を目指す「究極の夢」への歩みがここから始まる。(浅子 祐貴)

 ◆田中 博康(たなか・ひろやす)1985年12月5日、埼玉県出身。40歳。06年3月に騎手デビュー。

09年のエリザベス女王杯(クィーンスプマンテ)でG1初勝利を挙げるなど、JRA通算129勝。16年に騎手出身としては最年少の31歳で調教師試験に合格し、フランスの名門アンドレ・ファーブル厩舎などでの研修を経て、18年3月に開業。JRAではレモンポップなどG1・4勝を含む重賞14勝、通算247勝。羽田盃、東京ダービーのフィンガーなどJpn1・9勝もマークしている。

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