阪神の優勝争いの最終盤は改めて近本、大山のベテランの存在感の大きさを感じた。熱くなりすぎず、浮足立つことなく、普段通りにプレーする2人が9月中旬に7連敗を喫したチームを落ち着かせた。

打線の中で1番、5番がどっしりしていたからこそ、森下、佐藤の3番、4番も力を発揮することができたのだ。

 投手では高橋、工藤の2人の今季の活躍はベンチの想定以上だったはず。けがに苦しみ続けた高橋が9年目で初めて開幕からローテを守りきり、16勝3敗と13の貯金をつくった。村上が1、才木が5しか勝ち越せていない中で際立つ数字だ。そして8月以降、クローザーに抜てきされた工藤の成長がなければ、ブルペンは相当厳しい状況になっていた。

 「阪神には歴史はあるが伝統がない」。1979年に江川卓との交換トレードで巨人から移籍した小林繁さんの言葉だ。我々、チームメイトの前で発するのを屈辱の思いで聞いた。確かに伝統とは黄金時代を築いて初めて紡がれるもの。球団史上初のリーグ連覇を後輩たちが成し遂げた。直近4年で3度の優勝はまさに黄金時代だ。ようやく歴史も伝統もある球団と胸を張って言えるようになった。

(阪神OB会長=スポーツ報知評論家)

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