ふらっと こども電話相談室

TBSラジオで長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」(1964年~2008年)のコンセプトを受け継いだコーナーです。パンサーの向井慧が「電話のおにいさん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。

今回の質問は・・・

あれが食べたいなあと思ったときに、まだ食べていないのに口の中でその味がするのはなぜですか?(東京都 ゆうりくん 9歳 小学3年生)

(回答した先生)鈴木隆一さん/OISSY株式会社代表、味博士

向井おにいさん:ほう! これはゆうりくんが実際に感じてることなんですよね。どういうときにそうなります?

― 寝ようかなと思ったときに、なかなか眠れなくて、なにかが食べたいなってぱっと思いついたときに、口の中でなんかその味が・・・。

向井おにいさん:ほおー。なにを思い浮かべたときにその味になりましたか?

― 焼きそばなど。

向井おにいさん:へへへ(笑)。焼きそば食べたいなあって感じてたらなんとなく口が焼きそばの味になった経験があるんですか。

― はい。

向井おにいさん:ほおう! いや、面白い。

鈴木先生:すごく面白い質問だなと思ってまして、すごく感受性が豊かだなと思うんですけどね。
まず、人間が味を感じる仕組みを簡単に説明すると、舌に味を感じるセンサーがあって、それが脳に情報を送り込むんですね。それで脳でおいしさとか味とかを認識しているんです。ゆうりくんが「食べていないのに口の中でその味がする」ということは、味覚、舌には特に刺激がないのに、脳の中だけでシミュレーションができているということで・・・、ちなみに焼きそばは好きですか?

― はい。

鈴木先生:やっぱり好きな食べ物だからすごく味の記憶にこびりついていて、それが思い浮かんだだけですぐぱっと出てくるという状態なのかなと。なにか焼きそば以外に思い浮かんだものはありますか?

― うーん・・・、ないです。

鈴木先生:ああ、そうですか。焼きそばが本当にすごく好きなんだね(笑)。でも結構すごいですね。

向井おにいさん:これ、すごいですよね。ゆうりくん、このことをまわりにしゃべったことはありますか?

― いや、そんなにないですね。

向井おにいさん:お父さんお母さんにこのことをしゃべったことはあります?

― いや、それが・・・なくて。

向井おにいさん:ないんだ。たぶんこの放送を聞いている中にも共感する方はもちろんいるんでしょうけど、すごく羨ましい能力だなと思いますよね。

鈴木先生:すごい。

向井おにいさん:ほかの食べ物で「今、口の中をこういう味にしたいな」と思って、それで思い浮かべるということって、ゆうりくん、あります?

― うーん、いや、あまりないですね。

向井おにいさん:それもないんだ。夜にふっと思い浮かんだ焼きそばの味が口の中にするということって、やっぱり脳に「これが食べたい」という欲求が大きかったり、そのとき食べたものが「おいしかったな!」という思いが強ければ、こういうことというのはある・・・?

鈴木先生:そうですね。すごく感情が動いているときですよね。「まあまあおいしい」ぐらいのレベルだと、そういうことはないと思うんです。でも「これ、すっごくおいしい!」って記憶しちゃうと、その味がよみがえるというような感じかなと思います。まあでも、焼きそばというのはなかなかいいですよね。

向井おにいさん:確かに、味が濃くて。

鈴木先生:焼きそばはよく食べているんですか?

― いやあ、それがあんまり食べてなくて。

向井おにいさん:焼きそばも別に食べてないのお?(笑)

鈴木先生:でも、食べたことは当然あるよね?

― はい。

鈴木先生:うん。それはやっぱおいしかった?

― はい。

向井おにいさん:本当にもう、焼きそば以外、そういうことはないですか?

― いやあ、なんか、なくて。

鈴木先生:でもさ、例えばゆうりくんがすごい高級なごはんに行ったとします。そのときにその味を覚えておけば、「あの味を思い出そう」と思ったときに、思い出せるかもよ。

― はい。

向井おにいさん:もしかしたら、料理人になるのって、おいしいものを脳で感じるこの能力が・・・。

鈴木先生:ああ、多少はあると思いますね。完璧でないにせよ、ある程度記憶できちゃうと思います。

向井おにいさん:その味を再現するみたいな能力に長けていたり、なにかに活かせる能力かもしれないですよね。

鈴木先生:そうですね。食の仕事に就くとか、あるかもしれないですね。

向井おにいさん:ゆうりくん、なんの焼きそばを食べたのを覚えているかな?

― たしか、ソース焼きそば。

向井おにいさん:ソース焼きそばね(笑)。それ、どこで食べたかって覚えてる?

― お母さんに作ってもらいました。

向井おにいさん:ああ、お母さんが作ったソース焼きそばがすっごいおいしかったんだ。食べたいですねえー!

鈴木先生:まあでもあるんですよね、そういうこと。たぶんタイミングもよかったと思うんですよ。いちばんほしいもの、焼きそばが出てきて、「あっ!」って思って・・・。

向井おにいさん:そのときの空腹度とか全部の条件がバチン! と重なって。

鈴木先生:たまに食べるというのはいいかもしれないですね。あんまり毎回食べていると、もう飽きちゃうので。たまに食べるからこそくる感動というか、おいしさがあるかもしれないなと思ったんですよ。

向井おにいさん:その衝撃が強ければ強いほど再現・・・。

鈴木先生:そうですね。記憶がこびりついてよみがえるという。

向井おにいさん:なるほどね、面白い! いやあー、ゆうりくん。

疑問は解決できましたかね。

― はい。

向井おにいさん:いや、よかった。ゆうりくん、ありがとうございました。・・・いやあ面白いですね。

鈴木先生:いやあ、すごい能力。「口の中でその味がする」っていう表現がすごいですよね。ものすごく再現されている感じがするじゃないですか。それがなんでなのかというのは・・・。なんか、すごいなと思ったんですよね。

向井おにいさん:なんか、想像したらよだれが出ちゃうとか、そんなことはあるじゃないですか。でもそれともまたちょっと違う。

味が出てくるって。お母さんの焼きそばがすごくおいしくて、それが残っているというね。

鈴木先生:そうですねえ。まさに「母の味」ですね。

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(回答者プロフィール)鈴木隆一さん。OISSY(オイシー!)株式会社代表。AIを使って人間の味覚を再現するセンサー「レオ」の開発者で、通称・味博士。甘い・しょっぱい・酸っぱい・苦い・旨味という五つの味覚を数値化して、味覚や食べ合わせの研究をしています。食品メーカーの商品開発などにも協力しています。

(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋)

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