ここ数年来の株価上昇により、NISAで保有する株式や投資信託の含み益が多額になっている人も増えています。最近は売って利益確定すべきかどうかが議論になっていますが、実際どのように考えるべきなのでしょうか?
NISAで利益が出ている個人投資家が急増
ここ数年来の株価上昇により、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で保有する個別株や投資信託の価格も上昇し、含み益が出ている個人投資家が急増しています。
令和6年の新NISAスタート後に始めた場合でも、積み立てた投資信託の基準価額が買値から30%以上上昇していたり、個別株の場合は2倍以上になっている人もいるでしょう。
ここで一つ問題になってくるのが「NISAで投資している個別株や投資信託で利益が出ている場合、売却するべきか?」という点です。
この点について、最近はいろいろな人がいろいろな見解を述べていますが、筆者としては気がかりなことがあります。
それは、「そもそも株や投資信託を売却するかどうかは、NISAで投資しているものかどうかはあまり関係ない」という点です。
そもそもNISAは単なる「箱」の一つに過ぎない
そもそもNISAというのは、株式や投資信託で得た利益が非課税になる口座であり、単なる箱の一つに過ぎません。
ですから、NISAで投資しているということは、売却するべきかどうかの判断には影響を及ぼさないのです。
細かいことを言えば、例えば売却したら非課税枠が復活するのが翌年以降になるため、安易に売却しない方がよい、といった見解もあるのですが、筆者はそもそも株式や投資信託を売却するかどうかの判断について、税金が非課税かどうかは判断基準にすべきではないと思っています。
例えば同じA株があったとして、これをNISA口座で保有している場合と、通常の口座(特定口座など)で保有している場合とで、売却するかどうかの判断基準に差は生じないはずなのです。特定口座で保有している場合は売却するが、NISA口座で保有している場合は保有を続ける、という考え方がそもそもおかしいと思っています。
ですから、本コラムは、NISAで保有している個別株や投資信託で利益が生じていたら売却すべきかどうか、というタイトルにはしておりますが、実際はNISAで保有していようが特定口座で保有していようが同じ考え方になります。
つまり、どの口座で保有しているかではなく、何を保有しているか、どのような投資スタイルで保有しているかで判断すべきなのです。
投資信託の長期分散積み立て投資の場合は?
例えば新NISAのつみたて投資枠を使って、投資信託の長期分散積み立て投資を行っているが、昨今の株価上昇により、含み益が30%とか40%程度生じているケースで考えてみましょう。
実は長期分散積み立て投資は、「何があっても長期間保有を続ける」ことにより、成果が出ることが過去の実績から有効とされている投資手法です。
ここで利益が出ているからといって売却すると、期待しているリターンが上下にブレることになる点が最大の注意点です。
もし今の時点で含み益が30%あり、売却したとしましょう。
しかし、売却後も価格がどんどん上昇を続けたならば、おそらく買い直しはしないでしょうから、その間のリターンを得られないことになるので、リターンは保有継続した場合より下方にブレます。
つまり、投資信託の長期分散積み立て投資で、タイミングを見計らって売却して利益をより多く得ようという行為は、保有継続することに比べてリターンを上下に変動させてしまうという結果を生じさせます。
そのことが良い、悪いということではなく、平均点を取るつもりで長期分散積み立て投資をしたはずなのに、それがブレてしまうことをよく理解した上で、売却するかどうか考えるようにしてください。
個別株の場合は?
個別株の場合はどうでしょうか? これは、ご自身の投資スタイルによって変わることになります。
もしNISAで個別株投資をしていて、かつ投資スタイルがバイ・アンド・ホールドだとすれば、利益確定のための売却をすることにより、バイ・アンド・ホールドを続けた場合に比べてリターンが上下にブレることになります。
先の投資信託の場合の説明と同様、売却後に株価が大きく下がるならばリターンは上方にブレますが、売却後に株価がさらに大きく上昇を続けた場合にはリターンは下方にブレます。
ですから、このことを踏まえて売却するかどうか、ご自身で考えるほかありません。売ればよいのかどうか?に唯一の正解はないのです。
また、筆者が行っているように、どこまで下がったら売却するかをルール設定している場合は、特に深く考えることはなく、ルールに従って売却すべき時にすればよいだけです。
筆者は25日移動平均線割れで売却としていますが、この方法は結構売却のタイミングが訪れるため、正直申し上げてNISAとは相性が合いません。
そのため、筆者は新NISAで個別株への投資はしておらず、全て投資信託の長期投資に充当しています。
売却した場合、売却後に株価が上昇するか、下落するかにより成果が変わってきます。その点も踏まえた上で、売却するのかどうかご自身で決断する必要があります。
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(足立 武志)

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