生成AIを使ったAIエージェントがブームとなってきたが、AI半導体、CPU、HBMだけでなく、大容量高速のDRAM、SSD(NAND)の需要が大きくなってきた。当面は、DRAM、NAND市況は強く、データセンター向けの大容量高速DRAM、SSDの需要好調が予想される。
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)、キオクシアホールディングス(285A、東証プライム)
1.DRAM、NANDの大口価格は引き続き上昇中。
今回はメモリ株を取り上げます。メモリ株はまだ買えるのか、というテーマですが、今から投資しても遅くないと思われる、というのが私の結論です。
DRAMとSSDの国内での店頭販売価格の動きを見ると、いずれも価格が頭打ちになっている感じがします(グラフ1、2)。これはこれらの製品がいずれもパソコン向けだからです。パソコン用メモリカード、パソコン用SSDともにパソコンユーザーや小規模なパソコンメーカーが買えないところまで価格が上昇した可能性があります。
一方で、業務用パソコン向けやサーバー向けのDRAM、NANDはまだ上昇する可能性があります。グラフ3、4はDRAMとNANDの法人向け価格の動きです。DRAMは急騰後動きが鈍っていますが、AIサーバーの需要が大きいため、再度上昇する可能性があります。NANDは法人向け価格が上がり始めたところなので、さらに上昇する可能性があります。
また、調査会社のトレンドフォースによると、2026年4-6月期のDRAM、NANDの大口契約価格は続伸すると予想されています(表1)。
また、AIサーバーに搭載されるメインメモリ(DRAM(DDR5))も大容量化しています。DRAM大手でありHBMメーカーでもあるSKハイニックス、サムスン電子、マイクロン・テクノロジーはNAND生産も兼業していますが、DRAM(DDR5)ウェハの生産を最優先しており、NANDの増産は難しい状況です。NANDの増産余力があるのはキオクシアだけであり、設備投資を増やしていますが、増産できるのは2027年に入ってからと思われます。
そのため、DRAMもNAND、SSDも、需要が増加しているデータセンター向けの大容量高速製品中心に販売単価が上昇していく状況がしばらく続くと思われます。
グラフ1 パソコン用メモリの店頭価格
グラフ2 SSDの店頭価格
グラフ3 DRAMの市況
グラフ4 NAND型フラッシュメモリの市況
表1 DRAM、NANDの大口契約価格上昇率
表2 DRAMのメーカー別売上高と市場シェア
表3 NAND型フラッシュメモリのメーカー別売上高と市場シェア
2.ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)の巨額設備投資によって先端半導体の需要が増加中。
メモリ需要増大、メモリ市況上昇、メモリ各社の業績好調の根っこにあるのは、米国IT大手4社(アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ)にオラクルなどを加えたハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)の巨額の設備投資です。表4はハイパースケーラー上位4社(アマゾン、マイクロソフト、アルファベット、メタ)の設備投資予想ですが、今年は4社合計で前年比71.7%増の7,100億ドル(約110兆円)になる見込みで、2027年も増加すると予想されます。
この巨額設備投資の原資は、ハイパースケーラー4社が毎四半期に稼ぎ出す巨額の営業キャッシュフローです。この営業キャッシュフローから設備投資などの支出を差し引いたフリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローの伸びを上回る設備投資によって今後急速に減少すると予想されます。
しかし、もし2027年になって巨額の設備投資の効果がでて各社の営業キャッシュフローが今のトレンドよりも上向いてフリーキャッシュフローが再び増加することになれば、全くの私見ですが、2028年もハイパースケーラー4社の設備投資は増加する可能性があります。
これは、今回の生成AIブームがAIエージェントのブームに転換しつつあるからです。AIエージェントは企業の情報システムを完全自動化するものです。ただし、現状は推論時にトークンが大量発生するため、その計算費用が想定外に高額なものになったり、想定外のシステム障害が起きたりすることが報告されています。
このAIエージェントをより安く、より使いやすくするために、オープンAIやアンソロピックなどの生成AI開発会社や、ハイパースケーラー4社などが巨額の設備投資、巨額の研究開発投資を続けていると言ってよいと思われます。
今後の注目点はAIエージェントの普及がどこまで続くかです。AIエージェントを組み込んだ自動化された情報システムは、情報システム予算を大幅に削減することができるため(今のところは必ずしもそうなっていませんが)、巨大企業から中小零細企業まで利便性が高く需要が大きいと思われます。クラウドサービス大手3社(アマゾン、マイクロソフト、アルファベット)のクラウドサービス受注残高が増加しているのは、AIエージェントに対する関心が高まっていることも大きな要因と思われます。巨額の設備投資、研究開発によってAIエージェントがより安く、使い易く、安全なものになるならば、生成AI開発会社にとってもクラウドサービス大手3社にとっても、大きな市場になると思われます。
表4 米国のハイパースケーラー設備投資額(暦年)
3.生成AIとメモリの関わり。生成AIが普及するにつれて、DRAMとSSDの大容量高速化が必要になる。
図1はAIデータセンターに設置されているAIサーバーの中にある半導体の階層構造です。
ChatGPTが公開された2022年11月末から昨年前半までは、この中で重要なのはAI半導体とそれに必ず付属するHBMでした。しかし、昨年後半から事情が変わってきました。生成AIを動かす際に、学習とともに推論が重要になるにつれて、CPUの重要性が増してきました。
メモリも重要になってきました。今主流の「HBM3E」の生産にはDDR5ウェハを8枚または12枚積層します。「HBM4」の初期バージョンではDDR5ウェハを12枚積層します。さらにAIサーバーのメインメモリの容量は、最大6~8テラバイト搭載できる仕様のものが販売されています。SSDも同様で、1台のストレージサーバー内の容量が10テラバイト以上のものが販売されています。
生成AIが進歩するにつれて、LLM(大規模言語モデル)が大きくなります。これをSSDに格納しなければなりません。AIに追加学習させたり、RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)によって新たに学習するときに大きなSSDの容量が必要になります。
これらの大量の情報をAI半導体とCPUに送るには、大容量高速DRAMが必要になります。DRAMからAI半導体に情報を送るときには、従来よりもさらに大容量高速のHBMが必要になります。
このように、生成AIが普及し、AIエージェントが普及するにつれ、HBM、DRAM、SSD(NAND)の大容量高速化が必要になるのです。AIエージェントはまだ普及初期であることを考えると、HBMだけでなく、大容量高速DRAMとSSDの需要は今後さらに増加すると思われます。
ところが、最先端DRAMを開発、生産できるのは、SKハイニックス、サムスン電子、マイクロン・テクノロジーの3社のみです。3社とも生産能力増強を行っていますが、DRAMの供給が需要に追いつくのは当面難しいと思われます。ただし、2027年になると一定の増産ができるようになる可能性があります。
最先端NANDは、この3社に加えキオクシアを入れた4社ですが、DRAM大手はDRAM生産を優先しているため、増産余力のあるのはキオクシアのみと思われます。キオクシアも設備投資はしていますが、本格増産は来年になってからと思われます。
このように見ると、DRAMはデータセンター向けに大容量高速品の需要が強く、これに対して大手3社が大型設備投資を行っているため、今年後半から来年にかけて販売数量が増加する展開が予想されます。そして、2027年になるとDRAM市況の上昇が止まる可能性もあると思われます。
一方でNANDは、データセンター向けの高性能品の好調が続くと思われるため、2026年に続き、2027年もNAND市況とSSDの販売単価が上昇する可能性があります。
図1 データセンター用半導体の階層構造
4.メモリ株の業績と株価。循環論か構造論か。
DRAMメーカー、NANDメーカーなどのメモリ株は、これまではサイクリカルストックとして扱われていきました。DRAM、NANDとも市況変動が激しいためです。サイクリカルストックは業績に大きな波があるため、業績のピーク付近では近い将来の業績下降局面を予想して低株価収益率(PER)化する現象が起きることが多いです。
ところが、巨額のAI向け設備投資が続く場合、DRAM、NAND(SSD)に巨大な需要が発生し、それがこの2~3年間伸びると予想されるため、DRAM、NANDの売上高と利益は循環的ではなく構造的に増加し、減りにくくなるのではないかという議論があります。
私はメモリ需要が全て循環的でなくなるとは思っていませんが、生成AI向けに大きな設備投資が続く限り、また、最先端DRAM、NANDの需要が強い限り、循環的な部分が減っていくことがあり得ると考えています。実際に今はそうなってきていると考えています。
その場合、2026年、2027年、場合によっては2028年もDRAM、NANDメーカーの業績拡大が続く可能性があります。もしそうであるなら、メモリ株は今から投資しても遅くないのではないかというのが私の意見です。
5.マイクロン・テクノロジーの楽天証券業績予想を上方修正し、目標株価を530ドルから1,100ドルへ引き上げる。
1)マイクロン・テクノロジーの2026年8月期、2027年8月期楽天証券業績予想を上方修正する。
このような状況分析から、楽天証券ではマイクロン・テクノロジーの2026年8月期3Q(2026年3-5月期、以下今3Q)を、会社予想(レンジ平均値)の売上高335億ドル(前年比3.60倍)、営業利益255.40億ドル(同11.78倍)を上回る売上高360億ドル(同3.87倍)、営業利益276億ドル(同12.72倍)と予想します。
また、2026年8月期通期は前回予想を若干上回る売上高1,180億ドル(同3.16倍)、営業利益852億ドル(同8.72倍)と予想します。
楽天証券の今3Q予想と今期予想が会社予想や前回の楽天証券予想に対して小幅上方修正になるのは、2026年分のDRAM、HBM、NANDの大口ユーザー向けはすでに販売数量が確定していると思われるため、上乗せ余地が小さいと思われるためです。ただし、DRAMとNANDの価格が会社の予想以上に上昇していると思われるため、営業利益予想を小幅上方修正しました。
一方2027年8月期の楽天証券予想は、売上高2,240億ドル(同89.8%増)、営業利益1,680億ドル(同97.2%増)とします。前回予想に比べ大幅上方修正します。2027年もハイパースケーラーの生成AI向け設備投資の伸びが続くと予想されること、DRAM市況は2027年になって高止まりする可能性があるものの、2027年は2026年の設備投資の効果が出て増産が可能になると思われること、2026年、2027年とAIデータセンター向けの需要が大きいデータセンター向け大容量高速DRAM、SSDの販売が増えると思われることを考慮しました。
ただし、2026年8月期は数量増加はわずかで、価格上昇効果が大きいため、営業利益率は大幅に上昇する見込みですが、2027年8月期は価格効果が薄れ、増産が進むにつれて減価償却費が増加し営業利益率上昇を抑えることになると思われます。
表5 マイクロン・テクノロジーの業績
表6 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(四半期)
表7 マイクロン・テクノロジー:新ビジネスユニット別業績(通期)
表8 マイクロン・テクノロジー:テクノロジー別売上高
グラフ5 マイクロン・テクノロジーの設備投資:年度ベース
2)マイクロン・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を前回の530ドルから1,100ドルに引き上げる。
マイクロン・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の530ドルから1,100ドルに引き上げます。
楽天証券の2027年8月期予想1株当たり利益(EPS)125.04ドルに、2027年にDRAM市況が高止まりするリスクを考慮し、想定PER9倍前後を当てはめました。
引き続き投資妙味を感じます。
6.キオクシアホールディングスの2027年3月期は大幅増収増益へ。目標株価を8万5,000円とする。
1)キオクシアホールディングスの2026年3月期4Qは、売上収益2.89倍、営業利益16.07倍。
キオクシアホールディングス(以下キオクシア)の2026年3月期4Q(2026年1-3月期、以下前4Q)は、売上収益1兆28.52億円(前年比2.89倍)、営業利益5,967.95億円(同16.07倍)となりました。前3Qの売上高5,436.31億円、営業利益1,427.54億円と比較しても大幅増収増益となりました。
NAND市場のビット成長率は2025年暦年10%台半ばの伸び、会社側の2026年暦年予想は10%台後半の予想なので、この好業績は昨年後半からのNANDの市況上昇、SSDの販売単価上昇と、AIデータセンター向けの大容量高速SSDが好調だったことによります。特に推論向けが好調でした。このため、前年比、前四半期比ともに大幅増収増益となりました。全社の出荷数量は装置のメンテナンス等で前四半期比約10%減少しましたが、全社の販売単価は、同じくほぼ2倍となりました。
アプリケーション別販売実績を見ると、SSD&ストレージ(パソコン向け、データセンター向け、企業向けSSD、NAND)向けは、前3Q3,004億円、前4Q6,003億円と増加しました。AIデータセンター向けの大容量高速SSDが新製品、高性能品中心に好調でした。特にデータセンター向けは販売単価の大幅上昇に加え、数量も増加しました。
スマートデバイス(スマートフォン、タブレット、テレビ等の民生機器、車載向けメモリ製品等)向けも、同1,863億円→3,373億円と好調でした。販売単価は大幅に上昇しましたが、数量は前四半期比10%台の減少となりました。
その他(SDメモリカード、USBメモリ等の小売り向け製品、ジョイントベンチャー経由で計上されるSandiskグループ向けの売上収益等)向けは、同570億円→652億円と堅調でした。
販売単価の大幅上昇の効果で、営業利益率は前3Q26.3%から前4Q59.5%へ上昇しました。営業利益率の上昇は今1Qも続くと予想されます。
表9 キオクシアホールディングスの業績
表10 キオクシア:アプリケーション別売上高(四半期)
表11 キオクシア:アプリケーション別売上高(通期ベース)
2)サンディスクとの提携関係が今年から変更された。
キオクシアホールディングスは米国のSandiskとNAND型フラッシュメモリの開発、生産に関して提携しています。まず、キオクシア、Sandiskが共同で設立した設備投資JV(ジョイントベンチャー。キオクシア50.1%、Sandisk49.9%の持分)が、キオクシア四日市工場、北上工場へ生産設備を貸与し生産委託します(四日市、北上工場の建屋、インフラはキオクシア保有)。キオクシアがウェハを100%生産し、キオクシア約60%、Sandisk約40%で配分します。これはほぼ原価での配分となります。
今年1月のキオクシアの発表によれば、Sandiskとの契約期日は従来は2029年12月31日でしたが、これが2034年12月31日に5年間延長されました。またキオクシアは、Sandiskに対する製造サービスおよび継続的な製品供給の対価として、2026年から2029年の4年間で総額11億6,500万ドル、円換算で約1,782億円、年間平均約2億9,000万ドル、円換算で約450億円を毎年受領することになります。
会計上は、2026年2月から2034年12月までの約9年間、年間 約1億3,100万米ドル、円換算約200億円の売上収益を追加計上する予定です。これは全額がそのまま営業利益に寄与します。
3)2027年3月期も大幅増収増益が予想される。
会社側の2027年3月期1Q予想は、売上収益1兆7,500億円(前年比5.11倍)、営業利益1兆2,980億円(同28.91倍)です。会社側は全てのアプリケーションで大幅な販売単価上昇を見込んでいます。ギガバイト出荷量も増加すると予想しています。そのため、今1Qは前4Qを大幅に上回る業績となる見込みです。
ハイパースケーラー等の重要顧客との関係強化(LTA(複数年の供給契約)を含む)、エヌビディアを始めとしたAIの重要企業との関係強化等も進める方針です。
設備投資については、増加傾向にあり、2026年3月期2,836.74億円から2027年3月期は4,500億円に増加する見込みです。ただし、SSDの需要が強いため、今の販売単価上昇が今期に鈍化することは考えにくいと思われます。
会社側の今1Q予想と前述した私の状況分析をもとに、キオクシアの2027年3月期を、売上収益8兆2,000億円(前年比3.51倍)、営業利益6兆2,100億円(同7.13倍)、2028年3月期を売上収益11兆円(同34.1%増)、営業利益8兆5,000億円(同36.9%増)と予想します。
2027年3月期は大幅増収増益が続くと予想されます。2028年3月期はNAND市況とキオクシアの設備投資に不透明要因があるため、業績の伸びが鈍化するとしましたが、基調は強いと思われます。
グラフ6 キオクシアホールディングスの設備投資(四半期)
グラフ7 キオクシアホールディングスの設備投資(通期)
4)キオクシアホールディングスの今後6~12カ月間の目標株価を8万5,000円とする。
キオクシアホールディングスの今後6~12カ月間の目標株価を8万5,000円とします。
楽天証券の2027年3月期予想EPS7,888.9円に、想定PER10倍前後を当てはめました。データセンター向けにSSD需要が強いこと、今期も大幅増収増益が続くと予想されることと共に、将来NAND市況が頭打ちになるリスクを考慮しました。
2027年3月期から配当を始めると思われます。楽天証券予想では配当性向を10%程度として、2027年3月期、2028年3月期の配当を700円と予想しました。
強い投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)、キオクシアホールディングス(285A、東証プライム)
(今中 能夫)

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