はとバスが新型の2階建てオープントップ(屋根なし)バスを導入しました。いまや同社の主力商品というオープントップバスで都内を巡るツアーを、その新車で体験。

肌で感じる風が気持ちいい一方で、けっこうスリルもあります。

改造車じゃない! 「純オープントップバス」ゆえの特徴

 はとバスが2021年4月3日(土)から、新型の2階建てオープントップ(屋根なし)バスで都内を回遊するツアーバス(定期観光バス)の運行を始めます。それに先立ち2日(金)に試乗会が行われました。

 今回はとバスが導入したのは、イギリスのいわゆる「ロンドンバス」を手掛けるバンフォード・バスカンパニーがボディを製造した輸入の2階建てバス(エンジンとシャシーはスウェーデンのスカニア製)。はとバスにとっては初めての「オープントップバスの新車」です。

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はとバスが導入した新型オープントップバス「エクリプス・ジェミニ3」(2021年4月2日、中島洋平撮影)。

 2009(平成21)年の開始以来、はとバスのオープントップバスツアーは主力商品に成長しているそうです。同社は現在、国産2階建てバスを改造してオープントップバスとしたものを走らせていますが、国産の2階建てバスは10年以上前に生産が終了。このため海外に新車のオープントップバスを発注したというわけです。

 こうして誕生した「純オープントップバス」、2階の座席配置で大きな変更点としては、ガイド席が最前列から最後尾になったことが挙げられます。従来の座席配置だと、最前列席はバスガイドと近い距離で対面するため販売していなかったそうですが、ガイド席の配置変更で8席分増えたうえ、遮るものなく前方の視界を存分に味わえるようになりました。

 また、雨対策である折り畳み式の幌も、従来よりコンパクトに畳めるようになり、眺めのよい座席も増えているといいます。

実際、今回は折り畳まれた幌がある最後尾席(ガイド席の1列前)に座りましたが、視界は良好でした。

高架上の新幹線車両まで手が届きそう…

 試乗会のツアーは、東京駅丸の内南口を出発し、東京タワーを見学して東京駅へ戻る約2時間の行程です。丸の内から皇居内堀に沿って進み、桜の名所である代官小路を通過する際は、見事な枝ぶりがすぐ頭上に広がっていました。

 桜だけでなく、信号機や巨大な道路標識が、手の届きそうなくらいの位置で通過していく迫力はオープントップバスならでは。ただ、今年は桜の開花が早く、代官小路がすでに葉桜になっていたのが惜しまれます。

「ここから日本の政治の中心地、永田町の官庁街を抜け、東京タワーにまいります」。バスガイドの佐藤かおりさんによる「右に見えますのは……」といった矢継ぎ早な解説も、雰囲気を盛り上げてくれます。

 東京タワー見学の後、バスは首都高に入ります。「ジェットコースターのようなスリルがございます」という佐藤さんの言葉通り、バスが料金所を屋根スレスレで通過すると、スピードに乗って一気に風が強まり、乗客の髪が風のなかで踊り出します。レインボーブリッジの通過中はとりわけ海風の冷たさを感じましたが、それもオープントップバスの醍醐味でしょう。

はとバスの新型「屋根なし2階建てバス」ツアーを体験 首都高走ったらスゴかった!

新幹線もこの近さ(2021年4月2日、中島洋平撮影)。

 東京駅へ戻る直前には、有楽町の東海道新幹線ガードを通過しました。

ここは特に高さスレスレで、新幹線車両が通った際はド迫力。その通過音までダイレクトに響き渡りました。

 はとバスは4月3日(土)から、今回の新型オープントップバスによる新コースを設定します。東京駅から東京タワー、レインボーブリッジ経由で東京スカイツリー、浅草などをめぐるコースで、29日まで土・日・祝の運行が決定しています。

 なお、これまではとバスのオープントップバスには「'O Sola mio(オーソラミオ)」の愛称がデザインされていましたが、今回の新車導入を機に、現行車も全て「Tokyo Open Top Tour」に変更されます。外国人旅行者にもわかりやすい名称にする狙いです。

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