「ヘリコプターに乗る」というと、報道や災害対応などの業務で利用する専門職や、観光・チャーターで利用する富裕層の乗りもの――といったイメージがあるかもしれません。日本で移動手段として利用される航空便といえば、固定翼機による「飛行機」が一般的だからです。
筆者は2026年5月、カナダのバンクーバーを訪れました。この地域は周辺に大小さまざまな島や入り組んだ海岸線が広がっていることもあり、多様な航空交通が発達しています。そのひとつが、飛行機の定期便のように運航されるヘリコプター便です。今回は、バンクーバーと海を挟んで約60km離れた都市ナナイモを結ぶ定期ヘリコプター便を利用しました。
運賃は143カナダドル(約1万6600円)で、これはセール運賃です。時刻表上の飛行時間は約20分。同区間ではカナダの航空会社「ヘリジェット」が定期便を運航しており、平日は1日6往復が設定されています。
バンクーバー側のターミナルは簡素なプレハブ建築のような施設で、チェックイン時には手荷物の重量を計測します。一方で待合室は一般的な空港以上に快適で、革張りのソファが並び、乗客にはお菓子やジュースも無料で提供されていました。チェックイン締切は出発20分前、搭乗開始は出発10分前です。
使用機材は客室定員12人の「シコルスキーS-76」です。客室は横4席×3列のレイアウトで、操縦席との仕切りはありません。自由席ではあるものの、実際には並んでいる順に後方座席から案内される形で搭乗します。この日は満席での出発となりました。
「ヘリの旅客便」実際どうなの?シートベルトは一般的な旅客機と同様の腰ベルトに加え、肩から掛けるショルダーベルトも装着します。また、機内騒音を軽減するため耳栓を使用している乗客も多く見られました。客室には空調がなく、季節によっては少し暑く感じる人もいるかもしれません。
ヘリコプターからの眺めは、旅客機とはかなり異なります。大きな窓からカナダの街並みや海岸線、フィヨルド地形を見下ろすことができ、その感覚は移動というより遊覧飛行に近いものでした。上空から見ると、バンクーバー周辺の海は想像以上に透明度が高く、美しく感じられます。
約20分の飛行を終え、ナナイモのヘリポートへ到着しました。
なお、このようなヘリコプターによる定期航空路線は日本にも存在します。東邦航空が運航する伊豆諸島の「東京愛らんどシャトル」は、日本で数少ないヘリコプターによる定期航空路線として知られています。

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