深夜の東海道新幹線新富士駅で、停車した列車から列車へ乗り移り、さらにホームへ移動する珍しい光景が見られました。異常時の乗客避難を想定した訓練で、東海道新幹線で3駅にしかない「中継台」、新しい「幅広渡り板」も注目です。

「大雨で熱海~小田原間が不通」の設定

 東海道新幹線の新富士駅(静岡県富士市)で2020年7月16日(木)深夜、駅に停車している列車から乗客が別の列車に乗り移り、さらにそこから新富士駅ホームに降りるという珍しい光景が見られました。

 新富士駅は、ホームがない通過線(本線)と、その両脇にホームを備えた線路(副本線)がある構造。今回、乗客はホームがない通過線に止まった列車から、ホームのある線路に止まった列車へ「渡り板」を使って乗り移り、そしてホームに降りました。

東海道新幹線から東海道新幹線に乗り移る人たち 「渡し板で結ば...の画像はこちら >>

「渡し板」でホームまで移動できるようにされた新幹線(2020年7月16日、恵 知仁撮影)。

 JR東海が、異常時を想定し行った訓練です。「設定」は、大雨による熱海~小田原間の不通を受け、2本の上り列車を新富士駅で運転見合わせにし、ホームのない線路へ止まった列車からも、乗客を安全な場所へ避難させる、というもの。

 JR東海 新幹線鉄道事業本部 運輸営業部長の近藤雅文さんによると、異常時は列車を駅と駅のあいだではなく駅に停車させ、このようにして乗客が安全な場所へ移動できることが大切と考えているそうです。

 なお、訓練ではなく渡し板を使って乗客を降ろしたのは、直近では2018年の台風21号による異常時とのこと。東海道新幹線では、1時間あたりの累計降雨量が60mm以上になるなどすると、運転を見合わせます。

3駅にしかない「中継台」と新しい「幅広渡り板」もポイント

 JR東海が行った今回の訓練は、「中継台」と「幅広渡り板」もポイントです。

 あとから開業した東海道新幹線の新富士駅と掛川駅(静岡県掛川市)、三河安城駅(愛知県安城市)では、通過線(本線)とホームのある線路(副本線)がやや離れており、線路と線路のあいだにある中継台を橋脚のようにして、ふたつの渡り板を使い、列車から列車へ乗り移る形になっています(ほかの駅ではひとつの渡り板で可能)。

東海道新幹線から東海道新幹線に乗り移る人たち 「渡し板で結ばれた新幹線」の目的

新富士駅に設置されている中継台(2020年7月16日、恵 知仁撮影)。

 また、東海道新幹線の列車には1編成16両あたり渡り板が4つ備えられていますが、うち12号車のものは幅広(プラス31cmの75cm)で、車いすに対応しています(使用するのは車いす用の席などがある11号車で)。2020年6月から、東海道新幹線の全列車にこの幅広タイプの渡り板が備えられたそうです(装備開始は2018年から)。

 なお、今回の訓練はJR東海が毎年1回行っている、実際に営業している線路と車両を使っての訓練で、その社員など約100名が参加しています。

編集部おすすめ